(事例1)
ネット上でパソコンを注文をしたのですが今日になってメールで「適正な価格表示がされておらず誤った価格表示となっておりました」との事で一方的に注文がキャンセルになってしまいました。
注文をした金額で商品の購入をしたいのですが購入は出来ないのでしょうか?
(考え方)
ネット上で事業者が商品を広告するときに表示する価格、その他表示ミスにより注文がなされてしまった場合、注文後、事業者側からの注文キャンセルを受けることがあります。
これは、先ずその契約が成立しているかどうかが問題になります。「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」第4条によると、ネット上における契約の成立時期については特段の定めが無い場合は、申込みに対する承諾の意思表示が申込み者に届いた時点とされています。
また契約が成立してしまっている場合、事業者側による錯誤による契約の無効が主張できるかどうかが問題となります。例えば事業者における価格の間違いは、原則的には重大な過失となり、錯誤による契約の無効の主張は認められない可能性がありますが、例外として、もし注文者側が、当該価格の表示が間違っていることを予め認識の上、注文していた場合は、事業者側は錯誤による無効が認められる場合があります。
平成19年版の経済産業省の「電子商取引に関する準則」に、こういったケースについての詳しい説明、及び判断基準等が公表されています。また、当ECネットワークの前身である次世代電子商取引推進協議会(ECOM)にて、このような見解を出しておりましたのでご案内いたします。
(事例2)
ショップは注文後、メーカーに発注をかけるシステム。
メーカーには在庫が豊富にある商品なのに、取り寄せてもらえない上、注文をキャンセルされました。当初、うそのキャンセル理由が示され、さらにその後の説明も不明確で、理解できる説明をしてくれません。
(考え方)
事業者のサイト上には『全ての商品の手配と出荷を保証していない、メーカーに発注後においても商品をお届けできない場合もある』という内容の注意書きがありました。
そうすると、注文を受け付けた後においても、事業者側にて商品をお届けできない場合があることが予め記載されており、今回は、この記載内容に該当するものと考えられます。メーカーには在庫のある商品であるとのことでしたので、事業者側による何らかの事情によるものだと思われます。
そこで、うそのキャンセル理由が説明されているとのことですから、誠意は無いといえますが、だからといって強制的に、その本当の理由を事業者に求めることも難しいところでしょう。
また、契約成立前であれば、注文を承諾するかどうかは事業者側の自由でもあります。事業者はお客から注文が入っても、それに必ず承諾しなければならないわけでもありません。売買契約は「売ります」「買います」といった双方の意思に合致がなされたときに成立しますので、お客が注文する事業者を選ぶように、事業者側にも注文を受けるお客を選ぶことが出来るのです。
(事例)
家具を扱っているショップから、B品未使用の2段ベットをオークション上にて落札しました。サイト上では綺麗な画像とともに、商品説明には「多少の色ムラ、小キズはありますが使用に差し支えはないのでご安心下さい、B品につきノークレーム・ノーリターン、神経質なかたの入札はご遠慮ください、ご使用に差し支えない不具合はご了承ください」という記載がありました。
しかし実際に商品が届いてみると、ベット上段の足部分に大きな亀裂があり、他にも小キズ以外に複数浅い亀裂があり、サイドの柵は子供が触れば手に刺さってしまう状態の箇所もありました。
メールと電話でショップに連絡して、亀裂などの写真も送りましたが、あくまでも亀裂はキズだと言い張り、B品につきノークレーム・ノーリターンだし、商品の交換は出来ない、今まで一度もクレームがないと言われ、柵の不具合も自分で木を削って修理して使えと言われました。
木を削れば塗装が剥げてしまうから無理だと言うと、B品だからノークレームと言います。スノコも木がザラザラで布団を直接敷くのもしたくない状態です。何よりも子供がケガをしたらと思うと心配です。返品は出来ないのでしょうか。
(考え方)
B品であることは明記されてとのことでしたが、実物は説明にない複数の亀裂や柵に不具合があり、とても使用に堪えうる商品で無い場合、またそのような状態であることを知っていたら取引しないであろうと、客観的に判断されるような場合は、返品及び返金を主張することは可能と考えられます。
また、ノークレームノーリターンとのことですが、例えばサイト上では綺麗な画像を使用し、実際は亀裂等があり使用に堪えない状態のものであることを知っていながら、あえてそれを隠して販売しているような場合や、事業者が消費者との取引の際、いかなる理由があってもすべてノークレームノーリターンであるという条項がある場合は、それらのノークレームノーリターンは無効と判断される場合があります。また、こういった商品を取り扱うプロの事業者であれば、販売する商品に不具合がある場合は、その状態についてより詳細を説明する必要があるとも思われます。
交渉は、先ずは書面による方法、それでも事業者が誠意ある対応をしない場合は、簡易裁判所による少額訴訟等、ある程度強制力のある手段が検討できます。
(事例)
ネット上で、事業者が出品しているオークションより、エンジン、ミッション、エアコン異常無しということで車を落札・購入しましたが、ミッションが完全に駄目になっていました。
事業者は、ノークレームノーリターンといいますが、あまりにも事実と違いがあります。
(考え方)
中古車を扱う事業者が、ネットオークションにて安価で中古車を出品し、その状態についての説明不足、若しくは不具合を故意に隠すことにより、届いた車には致命的な欠陥があった、というトラブルが多く発生しています。最近はバイクのケースのほうが多くなっています。
こういった商品の場合、他の商品と異なり、陸送費や名義変更における手間などを考えると、簡単に返品、というわけにはいかない場合があります。また、修理するにしても、購入価格と比較して修理費が高くつき、ひどいケースでは、修理費が購入金額より高額になる場合もあります。
そして事業者側は「現車渡し」と主張し、現車を引き渡したら、後はノークレームノーリターンと押し通される場合もあります。
従って、中古の車やバイクの取引にかかるトラブルは、おのずと解決が困難になるケースが多くなります。実際は、修理費の一部負担など、現実的な解決内容を検討して交渉することになるかと思われます。
こういった商品においては、単に安価だからといってすぐに飛びつくのではなく、オークションは単なる広告と考え、取引前に必ず現車確認をすることをお勧めします。
(事例)
ネットオークションにて、個人から開封済みの福袋を購入しました。
商品説明には「抜き取り、差し替え一切ない」との事だったのですが、届いた物は防虫剤の匂いの付いた古い物が混ざっていました。
返品をお願いしたのですが、「こちらでは差し替えなどしていない。メーカーに苦情を言うように」
の一点張りです。
しかしメーカー側はネットオークションのトラブルに関しては一切関知しないとのです。ネットオークションサイトも同じ回答でした。出品者もそれを知って言ってきているようです。
どのように対処したらいいのでしょうか。
(考え方)
メーカーが福袋に古い物を入れることは一般的には考えられないので、届いた商品はオークションの説明にあるような「抜き取り、差し替え一切ない」という状態とは異なるものと考えられます。
そうすると、この相談者の返品や返金の主張は、基本的には正しいと考えることが出来ます。
ただ、いくらその主張が正しかったとしても、相手がそれを認め、返品・返金等に応じなければ解決は出来ません。最終的には少額訴訟等、裁判所による解決手段が考えられますが、相手が遠方で取引金額も少なければ、訴訟による解決は現実的ではない場合もあります。
また、特にオークションにおける個人間取引の場合は、トラブルが発生しても、このケースにあるように、思ったほど周囲の協力を得られないことがあります。ここが自己責任といわれる所以です。
従って、いくら自分の主張が正しいからといっても、それを前面に押し出して相手にぶつけると、相手の態度が強硬になって結局解決出来ない場合もあります。その場合は必ずしも返品だけではなく、例えば減額や送料は自己負担等、双方譲歩により合意点を見出して、先ずは「解決」することを考えたほうが良いケースもあります。
最初は相手に客観的な事実を伝え検討をお願いし、その返答を見た上で相手の人となりを判断し、どのように交渉していけばよいかを判断するようにします。
(事例)
出品者側ですが、オークションにおいて嫌がらせ入札がありました。
オークションサイトには何度も連絡をしていますが、定型文の回答だけでサービスが改善されません。すでに7件の悪戯があり手数料が発生しています。ID等は変更されていますが、全て同一人物だと思います。
手数料として先月は2万円ほど支払っていますが、オークションサイト側は代金を回収するだけでオークションの管理を行なっていません。オークションを主催するものの立場として必要な対応を怠っているともいえます。
嫌がらせのほとんどは新規IDで、以前はそういった新規IDに対する入札制限があったり、利用には有料会員になることが条件でしたが、今はそうではありません。以前の制度に戻す方法が考えられます。事実、以前の有料会員のみのときはトラブルはありませんでした。
このような状態では他のトラブルが多発するものと思います。行政等における指導はできないのでしょうか。
(考え方)
この段階では、あまり行政等の指導は期待できません。
大手のオークションサイトでは、時にシステムの見直しがされる場合があり、それに伴い、ユーザの中には、思わぬ不利益を被ってしまうケースがあります。特にオークションでは、詐欺の撲滅に力を入れることが多いため、どうしても出品者側に厳しくなる傾向があります。しかし一方で、オークションサイトではオークション参加者は順調に増やしたいため、一時的にでも入札者側のハードルを下げることがあります。結果、このケースのようなトラブルが発生しやすくなる環境になります。
ただ、このようなオークションのシステムそのものに対する苦情は、あまり期待できる解決策が無いのが現状です。基本的には、そのオークションの利用をやめれば、それ以上の費用も発生せずに済みます。従って、残念ながら、サイト側による即時改善は期待できませんが、ユーザの多くがそのシステムに疑問を抱き、オークションサイト側に働きかけ、それが積み重なれば、サイト側による対応の検討が期待できます。
(事例)
昨年末に「3日間のお試し」ということで、海外のアダルトサイトに日本円で数百円分をクレジットカードで支払いました。
3日間が過ぎた頃にサイトを見たところ「会員の期間は終了した」との内容を確認したので、安心していたのですが、昨日カード会社の利用明細を確認したところ、正規メンバー料金が、当月から毎月引き落とされていました。アメリカのサイトなので、どう対処すればよいのかわかりません。また解約の手続きも難しそうなので、まだしておりません。
もしかすると、最初のお試しの時点で、「期間が終了すれば自動的に正規のメンバーになる」というような趣旨の文章があったのかもしれません。
(考え方)
日本語表記ではあっても、アダルトサイトには海外で開設されているものが多く存在しています。多くはアメリカやロシアなどです。
海外のこういったオンラインサービスの提供においては、月会費を必要とするのですが、それでも一定期間は無料、若しくは低額の「お試し期間」が設けられておることが多く、その場合、その期間内に解約手続きを行えば、原則的には「お試し期間」以上の料金はかかりません。
しかし、登録にはクレジットカード番号を必須とし、その間、解約手続きをしなかった場合は自動的に有料会員に移行されます。
先ずは、契約関係にあるサイトと解約手続きを行う必要があります。
しかしパスワードを失念した、エラーが出る等、サイト上で解約手続きが出来ないケースもあります。その場合は、登録を行ったクレジットカード会社に相談します。
また、こういったネット上のサービスにおいて、クレジットカード決済を行っている場合、請求はサイトから直接ではなく「決済代行会社」が間に入っていることがあります。クレジットカード会社から送られてくる明細票を見て、その可能性がある場合は、その決済代行業者に連絡し、解約の意思表示をするという方法もあります。決済代行会社も海外事業者の場合が多いですが、日本語のサポートを行っているところも多くあります。
(事例)
オンラインゲームサービスに毎月一定の利用料を支払い、プレイしていました。
しかし、ある日突然、ゲームアカウントを永久停止処分にされゲームをプレイすることができなくなりました。
ゲームサイトからは、アカウントの永久停止処分の理由としてRMT(リアルマネートレード:ゲーム上で使用する通貨やアイテムの現金取引)を行ったため規約違反、と通告されました。しかし、身に覚えのある話ではなく、アカウントの永久停止処分を解除するように申請しましたが、拒否されました。
ゲームサイトは十分な証拠と言いますが、それをユーザに開示しようともしません。その理由として、運営システム情報や不正取締り手段に関する情報などが多数含まれるとしていますが、そのような理由で証拠の開示の拒否、アカウントの永久停止処分をユーザに課せるものでしょうか? (考え方)
オンラインゲーム上において、このように身に覚えのない理由により、突然ゲームサイトよりアカウントの停止措置を受けたという相談が多く寄せられます。
多くのゲームサイトでは、このケースのようなRMT、及び不正プログラムのゲーム内での使用は、規約上禁じられており、さらに禁止事項に該当の場合は、強制的なアカウント停止措置を行うものとされています。
ただ、相談においては、そのほとんどは「身に覚えが無い」となりますので、果たして本当に違反行為が行われていたのかは、個別に判断していかなければなりません。実際は違反行為があったと限りなく疑われるケースもあれば、ゲームサイト側による「間違い」があったこともあります。
しかし、通常においては、一旦ゲームサイト側よりアカウント停止措置が行われた場合、それを覆すのは容易なことではありません。また、そのアカウント停止措置の理由を、必ずしも該当ユーザに開示する義務を負っているとまでもいえません。
ゲーム利用時には、疑われる行為については用心することに越したことはありません。
しかしどう考えても理不尽な対応をされた場合、自ら戦う方法も無いわけではありません。そういった際の見解については、こちらをご参照ください。
(事例)
誰でもできる、いいお金儲けの情報商材を売っているサイトで、23,000円の商品を申込みました。しかし商品(届いたのは、CD−ROM一枚でした)の内容は、迷惑メールを送るためのソフトや、架空口座の作り方等、およそサイトの広告内容からはわからない、違っている、行なえば犯罪になるというものでした。
商品は理由を記入して、返品しますと書いたメモをCD−ROMに貼り付けて返品したのですが、受け取り拒否で封書のままもどってきています。
(考え方)
このような「儲かる」を謳い文句に販売されている情報商材は、主に個人ブログ等で販売されていることが多く、その他、競馬やパチンコの必勝法、株やFXで儲けるなど、そのほとんどは金儲けが目当ての情報商材がネット上では多く販売されています。
また、中には「儲からなかったら返金します」と堂々と宣伝されている場合もありますが、実際に返金を受けるためには、広告に説明のない、非常に厳しい条件が求められ、結局返金がなされないことがほとんどです。
基本的に情報商材は著作物でもあるので、複製の問題もあり、内容を全て見た上での返金の主張は一般的に困難であるとはいえます。また、そこに書かれている情報の価値にもある程度の主観が伴います。
しかし、その情報商材の内容が、明らかに公序良俗に反するものや、実現不可能であることが誰が見ても明らかであるものであれば、購入の目的は達せられませんので、返金の主張は可能かもしれません。
なにより、ネット上で誰が書いているのかも分からない、それでいて誰でも儲かる情報なんてものは最初から存在しないものだ、と疑ってかかることが一番です。
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