海外の投資プログラム(オートサーフ)への参加資金支払いのため、電子決済口座であるStormPayを利用して資金を3回に分けてクレジットカードにて投資した。
ところがStormPayはこの投資プログラムが米国の法律に違反するという理由で、オートサーフプログラム口座との連携を突然解除(投資プログラムとの口座を凍結してアクセスできなくした)し、結果、投資した資金の回収が不可能になってしまった。
StormPayはこのオートサーフプログラムが、法的に問題がある可能性が高いための処置と理由を述べているだけで、オートサーフプログラムと今後法的な争議に入る気配である。
当方のStormPayへ支払った3回分、合計約60万円はまだ銀行口座からの支払い決済がされていないが、支払いがされる前にクレジットカード会社へ連絡して支払いをキャンセルすることは可能だろうか?クレジットカード会社には、ここ数日間StormPayに関する問い合わせがずいぶん多いとのことである。
あるいはなんらかの方法でこの支払い・契約を解除して支払いを止めることは可能だろうか?
同様の相談が集中的に13件寄せられたこともあり、相談室で内容を確認した時点では、ネット上に「12dailyPro.com」などといった、いくつかのオートサーフプログラム提供者が存在し、これらプログラムが、ねずみ講やマルチ商法のような米国法に抵触する可能性があるとのことで、その決済代行会社であるStormPayが口座を凍結している状況であることが確認できた。
各相談者の投資額も高額であり、クレジットカード決済がほとんどであったので、既に引き落としされた後のケースもあった。
ただ、ねずみ講であれば当然日本国内の法律にも抵触する可能性があり、国内でこのプログラムを勧誘したり、入会した場合は違法行為に該当する可能性もある。
その時点では、一概に相談室では判断できなかったため、相談者への回答として、まだクレジットカード会社からの引落しが済んでいない場合は、早急にクレジットカード会社に連絡を行い、問題が解決するまで一時、請求を止めるよう依頼することを助言した。ただ、残念ながら既に代金が引き落とし済みの場合は、残念ながらクレジットカード会社からの返金は望み薄のようであった。
また、同様の被害者が他にも多数いるようであれば他の被害者と共に声をあげていく必要があることも併せて助言した。
また、相談者は全て日本人であったが事業者が米国であったこともあり、相談室より米国の提携機関(BBB)に問い合わせを行ったところ、日本のメンバーは相談室で取り纏め、それをBBB及びFTCにもっていくように、との提案があった。
しかし、既にそのときの相談室は実証実験終了間近であったため、その取り纏め役が出来なかった。従って、相談室より国際トラブルに関わる、各関係機関に情報提供し、対応を検討してくれるよう依頼した。
この投資プログラムによるトラブルは、その後米国のメディアでも取り上げられ、FBIも調査に乗り出したと報道された。報道内容を見ると、最大手であった12dailyProの場合、「会員」に対し、一連の広告を閲覧するだけで、12日間でメンバーシップ料金の44%の利益を約束していたという。通常考えられない高利回りの投資である。冷静に考えれば、あっという間に破綻するのは目に見えている。
ただ、この利益を現金化していた会員の話はほとんど聞いていない。誰も現金化せずに、電子決済口座上の数字が増えていくのを眺めているうちに、口座が凍結されたものと思われた。オートサーフプログラムを提供していた12dailyProは、合法ビジネスだと説明していたということだが、決済代行を行っていたStormPayは、12dailyProに詐欺の疑いがかけられたことを受け、支払いを凍結したと語っているとのことである。
さて、相談者たちはこういったプログラムをどのようにして知りえたのであろうか。
例えばマルチのような連鎖販売取引や出資話といったものは、多かれ少なかれ事業者若しくは個人から積極的な勧誘を受けて、登録、入金するのが一般的と考えられる。
しかし、この海外の投資プログラムは、ほとんどの会員がネット上で知りえた情報で登録しているものと見受けられた。特に、いろいろな投資話を紹介しているサイトやメールマガジン、個人のブログなど、相談室が確認するだけでもいくつかの紹介サイトが確認できた。つまり、会ったこともない人が紹介している広告内容を見て、自ら高額の投資話に乗るのである。
またこういった投資話を信じる人たちに共通して言えることは、自分たちのやっていることは、決して間違っていないと信じていることである。
これは、例えば海外の投資システムが、日本国内であれば無限連鎖講の防止法や出資法に抵触する恐れがあると考えられるシステムであったとしても、海外の事業者が行っているシステムだから日本の法律は適用されないし大丈夫、といった解釈を勝手にするところである。日本国内で勧誘すれば、その人には日本の法律が適用されると考えられる。また逆に、海外の事業者との取引で被害にあっても、その被害救済のため訴訟による解決手段をとることは現実的には無理である。
しかし、米国では被害者が多数存在するような場合、被害者個人が個々に訴訟を起こすのではなく集団訴訟による救済手段が発達している。スカイビズの時にもこういった救済手段がとられている。もちろん日本で被害にあっても、その集団訴訟に乗ることは可能である。但し、かなりの英語能力と、ある程度の時間が必要になる。
インターネットがグローバルなものであることを、いまや否定するものはいないだろう。そうであれば、こういった海外取引における被害が一斉に発生したときに、その被害者を国内で取り纏め、代行手続きできるような機関が存在することが理想である。
そして、そのときに忘れてはならないのが、救うべき被害と、必ずしもそうではない被害があり、それをどうやって判断するかという点である。
さて、今回の被害はどちらなのだろうか。