<1>
ブリーダーから犬をあっせん販売している事業者から、犬(パグ)を130,000円で購入。ホームページ上では血統書発行となっていて、電話で確認して購入したにも関わらず、4ヶ月経過しても血統書が未だにに届かない。犬は既に到着している。
最近は、手紙を送っても無視され、電話しても出ずメール送っても返事なし。血統書を手にいれるにはどうすれば良いか。
<2>
ヤフーオークションにて157,000円で刀を落札した。題名には「登録証あり・室町時代」とあったのに、商品が届いて登録証を見たら、記載事項(刃渡り、反り)が実物と違っていた。
出品者は「若干の長さの違いはあります。また登録証はニセモノではないので問題有りません」との回答があった。しかし実際には刃渡りは3.5cm長く、反りも0.4cm違う。
教育委員会に照会したら「記載事項に改ざんがあり、登録証も全く別のものが付いている」との回答があり、実際、登録証の目釘穴の項目に後から書き込んだ形跡があった。
これでは銃刀法に違反するので返品し、代金を返して欲しい旨を相手にメールにて送ったが返事無し。電話するも繋がらない。
<3>
エキサイトオークションに出品されていた熱帯魚(アロワナ・164,000円)は、「辣椒紅龍の故郷インドネシアのスモールファーム産に拘り、スペシャルセレクトした極上固体だけを厳選入荷!! ボディー全体が気持ち悪いまでの黒さになった辣椒紅龍の最高レベル!普通に見られる個体とは根本的に違います」だった。
しかし到着してみると、登録票と譲渡し書はあったが、現地での入荷の証明書がなく、メールで確認したところ「この固体に関して、スモールファーム産の為証明書ございません。現地ファームと言いましても文字通りにスモール?というよりも輸出サイティスを持たない生産者、年間に何本の産出出来ない為産出固体は、流通経路は1つではございませんが、ある所に集まってくる所(例えば輸出サイティスファームや現地問屋)でセレクトされた固体である為です」と返って来た。
これでは産地がはっきりせず、価値がなくなってしまう。
<1>は、事業者に連絡したところ、『ブリーダーから血統書が届くのが遅れている、ブリーダーの申請の都合により長引くことがあることは事前に説明している、ブリーダーより血統書が届いたら速やかに送付する』との主張であった。
しかし突然事業者と連絡が取れなくなりサイトが閉鎖された。その後調べたところ、別の名前で営業しているようであった。
<2>は、相談者は、違う刀の登録証なので所有者変更届が出来ず、その刀自体に登録証が無いので、このまま所有していると銃刀法に違反してしまうとのことだった。また、相手方は電話番号を検索システムで探したところ骨董店であることがわかり、同県の骨董商に聞いて確認したとのことだった。
そこで、返品可能と考えられたため、相手方とのあっせんを希望するかを確認したが、その後相談者からの返答は無かった。
<3>は、オークション画面が確認できなかったので、ファームの証明書があると明記されていた取引だったのかが確認できなかった。
しかし、オークション説明にて生産地等について明記がなされているのであれば、もちろんそれら証明は事業者側が行う必要があると考えられること、もし、それら確実ではない生産地等の情報により高値を付けていたのであれば、事業者に上記のような証明を求め証明が出来ないようであれば、その分減額交渉をしてみることからはじめるよう伝えた。
商品によっては、その商品に付随する『紙』が存在し、その『紙』が無ければその商品を取引した意味すらなくなってしまうものも多いかと思う。『紙』の効果にも、いろいろな法律が絡む。
犬をネット上で取引する際トラブルが非常に多いのが、<1>のように血統書が送られてこない、というものである。最近は「ミックス犬」という呼び名にて雑種も人気があるが、やはり高いお金を出して購入するには、血統書が付いている犬を希望するほうが多いことだろう。
血統書は、ブリーダーが、血統書が付いている犬同士から生まれた仔犬の報告を、血統書の番号とともに、血統書認定団体に請求する仕組みになっている。ただ認定団体によって審査が行われるため、血統書発行には時間がかかるとのことである。
インターネット上で売買されている犬たちは、ブリーダーが直販することもあり、実店舗で購入するよりかなり安い価格帯に設定されていることが多い。中には血統書があると見せかけて、血統書が付かない犬をオークション等で売っている悪質なケースも聞く。
今は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(環境省)により、インターネット上で犬を販売する事業者も、動物取扱業者として都道府県知事等の登録が必要になっている。怪しい事業者が減ることでトラブルが回避される方向に動くことを期待している。
刀剣は、都道府県教育委員会(文化庁)での「銃砲刀剣類登録証」が必要で、それが無いまま所持していると「銃砲刀剣類所持取締法」に反する可能性がある。ただ、登録証は教育委員会に申請して手数料を支払うと再交付してもらえる。場合によっては警察の公安委員会で調査される可能性もある。
<2>の件は、相手方が事業者の可能性があり、相談内容どおりであれば、かなり悪質なケースと考えられる。
熱帯魚であるアロワナは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(環境省)における「国際希少野生動植物種登録票」が必要な動物である。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約:サイティス)では規制に応じ附属書
I・Ⅱ・Ⅲの3段階があり、アジアアロワナは現在Ⅱに該当する。
<3>のケースでは、登録票があったが、現地で生産されたという証明書が無いというものであった。アロワナの取引では、登録票と共に産地ファームの証明書が付属する取引が多いようであり、ファームにより価値が変わってくるらしい。また、魚の形、色にも、それぞれ固有の呼び名があり、それによっても価格にかなり差が出るらしい。
そのほかでも、登録票そのものが無いというトラブルや、アロワナを出品していた際のトラブルなど、なぜか動物の中では『アロワナ』関係の相談が目立つ。取引途中においても、生き物であるがゆえ避けられない「死着」があるとともに、オークション取引が盛んでもあり、また取引価格が高額であることも多少関係しているのではないかと思われる。
ただ、犬や猫の取引と異なり、アロワナの相談は受けるたび、奥深い愛好家(マニア)の世界が垣間見られて、それはそれで、なかなか興味深いものがあるのも事実である。