第二十五話: カモられる日本人

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第二十五話: カモられる日本人

 相 談 概 要

 先日インターネットのYouTubeというサイトで動画を見ていたら、『999999万人のお客様です』みたいな英語の赤枠画面が出てきて、不用意にクリックしてしまった。そしたら『日本円で200000万があたった』みたいな内容が書かれていて舞い上がってしまい、FREELOTTOというサイトから名前と国籍、クレジットカードの番号を記入してしまった。

友達に相談したところ明らかな詐欺のサイトだということに気づき、あわててクレジットカードを解約したが、FREELOTTOから3000円程の請求がきているとのことだった。海外の会社ということもあってサイトから解約しようにも手段がよくわからず、カード会社や消費者センターにも相談したが、やはりその会社とコンタクトをとらないとどうにもならないとのことだった。
クレジット会社に相談したところ、カードを止めて、そのサイトを開かなければ最低限の被害は防げるとのことである。今、カード会社の方に海外の会社について色々調べてもらっているが、海外の会社ということもあり1ヶ月はかかるとのことだった。正直、不安で仕方なく、これから先ずっと請求が来ると思うと怖くてたまらない。
また、FREELOTTOから宝くじの結果速報のようなメールが送られてくる。

 処 理 結 果

 当該サイトを見るだけでは非常に分かりにくいのだが、高額当選したと見せかけて登録させ、実際は月々クレジットカード払いにて、海外くじを購入させることが目的のサイトと思われること、このようなサイトと取引すること自体、日本国内の法律に抵触する恐れがあるので、取引はしない方が良いということを伝えた。

 サイトとの契約解除の方法について、サイトを見る限り確認ができなかった。ただ、「Contact Us」という連絡手段用のフォームがあり、そこでは送られてくるメールを解除するための選択肢が設けられていたので、そこで「メール解除」のボタンを選択するとともに、連絡欄に『契約を解除して請求を止めて欲しい』旨の英文を相談者に知らせ、そこに入力して送信するよう伝えた。その上で、その画面をコピーして残しておくよう伝えた。

 クレジットカード会社からの請求に関しては、今後の請求を確実に止めるためには、費用はかかるがクレジットカード番号の変更、若しくは今回のように解約をするよう伝えた。
ただ、既に決済済みの料金を救済することは、これらトラブルに関してはかなりクレジットカード会社の対応に差があるため、必ず上手くいくとは限らないが、先ずはクレジットカード会社に対し調査とチャージバック申請を働きかけるよう伝えた。

 解 説

 ある日、エアメールでDM封書が届き、「貴方には○○万ドルの当選金を受け取る権利があります」といった派手なキャッチコピーで目を引いて、当選金を受け取るには登録申し込みを、としてクレジットカード番号を記入して返送させ、実は月々クレジットカード決済で海外の宝くじやロトくじを買うだけの契約であった、文章はすべて日本語だが事務所は海外だった、というトラブルが今までも多く発生し、これらのケースは比較的年齢の高い人がターゲットになっているような感があった。

 これはそのインターネット版で、このエアメールのDM広告でやっている手口と基本的には同じである。ただ、インターネットで広告を出していると言う点、YouTubeなど、今までにこのような広告が出ていたサイトは、比較的若い世代が見るサイトに集中していたことからも、いまや海外くじのトラブルは、年齢の高い人だけでなく、若い世代にも広がってくるようになった。
ちなみにYouTubeというのは米国の動画共有サイトで、無料登録すれば一定時間内の動画をアップロードして共有することができるサービスを提供している。

 少し前のトレンドは「アンチウィルスプロ」とか「エラーセーフ」等のセキュリティソフトの押し売りで、突然、「あなたのPCが脅威にさらされています」といった日本語のポップアップ画面が表示され、チェックボタンをクリックすると勝手にスキャンし始め、ウィルスと思われるものがいくつも発見される。その結果にまったく信憑性は無いが、それに驚いた人が危険を感じて、購入ボタンを押し、そのサイトからセキュリティソフトをダウンロードしてクレジットカード決済をしてしまう、というものである。大体4,500円前後である。セキュリティソフト販売サイトの場合は、日本語でメールサポートが可能なケースもあった。
 どちらも通常のポップアップ広告からサイトに入って購入手続きを行うため、当然、一般のセキュリティソフトでは対処不可能である。

 YouTubeのトップ画面には、以前は、このセキュリティソフトの広告ポップアップが、よく表示されていた。ただ、最近はセキュリティソフトではなく、相談のような海外くじのポップアップ広告に替わっている。特にYouTube日本語版のサイト上では、実によくお目にかかるポップアップ広告である。それを見るかぎり、いかに日本人が狙われているか、というかカモになっているか、ということが良く分かる。それだけYouTubeは日本からのアクセスが多い、ということもいえるのかもしれない。
 Googleが買収するぐらいのYouTubeから、このような広告を締め出すことができないのだろうか、そもそもYouTubeが直接このようなサイトと契約関係にあるわけではなく、複数の広告代理店を経て、広告が表示されているのであると考えられるので、その足跡をたどること自体、容易ではないのだろう。

ただ、いくらだまされたとしても、1度決済してしまった代金を救済するにはクレジットカード会社の協力なくして成り立たない。実際見ていると、実に残念ながら、クレジットカード会社により、その救済の可否に違いがある。クレジットカード業界全体がこのような問題を把握して、会社による差別無く救済されるような仕組みが望まれる。