(1)
私は個人で学習塾を経営しており、塾宣伝用のホームページの作成を79,380円で業者に依頼した。 その業者は前払いが必要で、「決済には銀行振り込みかクレジットカード決済かを選んでください」との事だったので、私はクレジットカード決済を選び、この業者のサイトからカード番号、氏名、金額等を入力し送信した。
一回払いで支払いしたので、次月請求書がカード会社から届いたところ、金額が1万強多く請求されていた。業者にメールで問い合わせたところ、為替の関係で誤差が生じたとのことだったが、事前には説明がなかった。そして過剰分の返金は受けられないとのことである。
(2)
DVDをクレジットカードで購入した。サイト上には、自分の使用するクレジットカード会社の場合、クレジットカード決済は為替の影響で請求額に多少の変動がある、という注意書きがサラッとあった。19,800円の商品を購入して請求が21,067円だった。なんと原価の約6.4%にあたる。
これが常識的に「多少」の範囲に入るだろうか。わたしの常識では、ここまで変わるならUSドルでの明記も必要だと思うのだが。
(1)
当該事業者は主に事業者向けのネット開発を手がけており、このケースも事業者間の取引であった。ただ、詳細を確認するため、相談者よりやり取りのメールをもらった。
この事業者自体は、日本支店のほか、韓国と中国にも複数の支店を持ち、決済は韓国の決済代行業者を利用し、請求はウォン建てで行われていることがわかった。決済代行業者のサイトはほとんど韓国語表記である。
ホームページ作成と、検索サイト登録の2つの契約をしており、1回目のホームページ作成料については、79,380円で決済して請求は85,325円、2回目に行った検索サイト登録料については、84,000円が、89,876円の請求になっており、誤差は1回目が5,945円で、2回目が5,876円、合計で11,821円多く請求されていることが分かった。
また、事業者からの説明では、先ず申請した日の韓国でのレートが自動適用され、それぞれ830,650ウォン、784,965 ウォンであるとのことだった。
そして、差額が生じる理由として、海外のカード決済をする場合、申し込んだときと、カード会社が決済するときの、15日から30日程度の間の外国為替の差額が生じ、今回、韓国ウォンと日本円が短期間で変動があったために生じたものであるとのことであった。これは海外でショッピングをするときも同じである、との説明であった。
一方、相談者においては、もし、クレジットカード決済時に為替の関係で誤差が生じる場合があることの説明や注意事項が載っていれば確実に銀行振り込みで支払いをしていた、事業者は海外ショッピングの場合も為替の誤差が生じると言っているが、海外でショッピングするつもりでホームページ作成を依頼したわけではないとのことであった。
この事業者では、直接クレジットカード会社とは加盟店契約ができないため、決済代行業者を利用しているものと思われたが、それは韓国の決済代行業者を利用しているということ、海外の決済代行業者の場合、請求はその国の通貨建てで行われ、それを決済時の為替レートで日本円に換算して請求されること、また、その場合は決済日の為替レートによって、請求される日本円が若干異なってくることが考えられた。
今回は、日本円での決済を、一旦ウォン建てにしてから、さらに日本円に換算して請求され、その間に差額が発生しているものと考えられた。
そこで、当時、日本円とウォンとの間にそこまでの差額が生じる変動が発生していたのかを確認したが、その限りでは、ここまでの差額が生じるほどの変動はなかったように見受けられた。
従って、その差額分には、クレジットカード会社、及び決済代行会社のコストや為替手数料等が含まれている可能性があることを伝え、その請求額については、事業者だけでなく、クレジットカード会社や決済代行業者にも問い合わせを行ってみるよう伝えた。
(2)
このケースも、事業者とクレジットカード会社との間に、海外の決済代行会社が入っており、カード会社への請求はその決済代行会社から行われているものと見受けられた。そして、一旦表記されていた日本円をドルに換算され、さらにそのドルを日本円に換算されて請求される仕組みと見受けられた。
ただ、為替等の変動においては、どこまでが一般的な変動の中に入るのかどうかを一概に判断するのは難しい上、クレジットカード会社によるコストが発生している可能性があるので、その請求額が発生する仕組みを、先ずは利用したクレジットカード会社に問い合わせてみるよう伝えた。
海外通貨での決済は、思わぬ為替の変動を受けて請求額が変わる場合がある上、クレジットカード会社や決済代行会社によっては、為替手数料が別途請求される場合もある。
しかし、利用するサイトによっては、これらがはじめから料金に含まれている場合もあり、これら請求が具体的にどのぐらいになるものなのか、なかなか一概には言えないところが利用者には良く分からない点だと思われる。
その上、決済するクレジットカードの国際ブランドによっては、(2)のケースのように、コストが発生する場合もある。この場合、サイト上でクレジットカード決済を選択しても、自分の利用するクレジットカード会社によって、別途コストが発生するケースと発生しないケースに分かれる。
ただ、実際はそのようなリスクがあることについて、サイト上に詳しく明記されているところは少ないのかもしれない。
また、海外と取引をしていないと思っていても、そこで海外の決済代行会社を利用するということで、その決済の流れは、海外で決済したものと同じような状態になるということが利用者には理解しにくい。
そして、利用したサイトによっては、サイト上で決済を行った日本円が、そのまま翌月に請求されるとは限らないということも、あまり知られていないのかもしれない。
サイト上、「ここでクレジットカード支払いを選択すれば、この額の請求が載った明細が来て、引き落としされるのだろう、一括払いだから手数料もかからないはずだし」と思い込まず、クレジットカード決済について詳細な説明がある場合は、必ずその中身を確認することが必要なのだろうと思う。