第四十一話: そうなる前に教えて欲しい

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第四十一話: そうなる前に教えて欲しい

 相 談 内 容

 (1)(2)とも同事業者の同プラン。

(1)
 海外の有料レンタルサーバを借りてホームページを作成したのだが、とんでもない利用料金(12040 USD)の請求予定(使用量表示)が来た。おかしいと思ったのでサポートにメールを打ったところ、以下の返事が来た。

 『サポートセンターです。
 いつもレンタルサーバをご利用頂きありがとうございます。

 確認をいたしましたところユーザー様は○プランの限度容量(1000MB)を超えて使用されておりますので追加料金が発生しております。
 この追加料金はトラフィックの追加料金となっており、ファイルの転送量だけでなくメールの送受信、HPを閲覧されたりダウンロードされたり等のユーザー様のHPにかかる全ての容量が対象となっております。
 また、支払額は12040が追加されておりますので、12040ドルとなります。

 今後ともよろしくお願い致します。
 失礼致します』

 12040ドルということは、140万円になる。利用規約には『本契約条項に基づき付加的な料金が発生した場合、その額を算出し、所定の料金に加えユーザーに請求するものとする。ユーザーは請求に対して遅延なく支払うことに同意するものとする』とある。すると、やはり問題は私にあるのだろうか。こんな金額になるならば、はじめから契約なんてしなかった。
 先方の会社がアメリカにありメールでの連絡のみ受付となっている。メールを何回打っても返って来たのは上の一文のみである。この場合やはり利用規約に同意してしまった以上、全額支払わなければならないのだろうか。
 家族になんて説明すればいいのか、もう自分自身が限界である。

(2)
 私はこの事業者のサイトでホームページサーバーレンタル(有料)しているが、今月に入り請求金額が莫大な金額請求が来たので、サイトの方とメールでの詳細請求を依頼した所、納得いかない解説だった。さらに細かい詳細を請求した所、返事が返ってこないので大変困っている。電話連絡しようと思いサイトを見ると電話番号の記載が無く連絡も取れない状況である。

 現在使用しているプランは、○プラン 管理費用月額$250+サーバ利用料月額$150  ×2である。
 サイトとのメールでは

 『1755円   HP1の月額使用料
114021円  HP1の1000MB以上のトラフィック加算料金
1773円   HP2の月額使用料
39558円   HP2の1000MB以上のトラフィック加算料金

 確認いたしました所ユーザー様はプラン1の限度容量(1000MB)を超えて使用されておりますので追加料金が発生しております。
 この追加料金はトラフィックの追加料金となっており、ファイルの転送量だけでなくメールの送受信、HPを観覧されたりダウンロードされたり等のユーザー様のHPにかかる全ての容量が対象となっております』

 というメールが来て以来、事業者からの返信はない。

 現在私のHP容量は
HP1 38.5MB
HP2 34.5MB

 なので、追加料金が発生するには、
HP1では961.5MG以上使用
HP2では965.5MG以上使用

 しないと発生しない料金だが、どうしても超えるとは思えない容量と、あまりにも超え過ぎている追加料金が不明過ぎて納得がいかないところである。毎月の利用明細みたいな物は届かない。
支払いはクレジットカードだが、今、銀行に引き落としを止めてもらっている。

 処 理 概 要

(1)
 この事業者との「レンタルサーバ」契約について、サイト上には

 『各プランには上限容量がございます。上限容量を超えて使用された場合はEXTRA使用料として追加料金が発生いたしますので、そちらも踏まえてプランの選択をお願いします。(EXTRA使用料発生時のご連絡はいたしておりませんので、各ユーザー様で使用容量を管理して下さい。)』

 といった記載があり、上限容量を超えて使用され追加料金が発生しても、サイトからは何も知らされず、各ユーザで確認することになっていた。しかし、だからといって常識的に考えても、140万円前後の料金が追加発生しているにもかかわらず、何も知らせずいきなり請求してくるという手段は、事業者の行動として少々疑問に思われた。

 ただ、相談者は事業者への支払いをクレジットカード決済としていたので、もし相談者とクレジットカード会社との会員契約で、その140万円がクレジットカード利用上限金額をオーバーしていた場合は、認証(オーソリゼーション)が通らない可能性があった。
 そこで、相談者からクレジットカード会社に現在の状況を尋ねたところ、まだ請求自体がまだ上がっていないのでどうしようもないとのこと、また相談者のクレジットカードの限度額は30万円なので、もし請求があった場合は、直接私に連絡が入るであろうとの回答であった。

 相談者には、納得できない請求には応じられない旨と、今後必要なければ解約の意思表示をするよう伝えた。相談者には、事業者より以下のメールが届いた。

 『再度、確認をいたしましたがトラフィックは正常に表示されております。
前回もお伝えいたしましたがトラフィック容量とはデータの送信量だけではありません。
ユーザー様のHPから使用された全ての転送量が加算されますのでたとえアクセス数が数人でも、その数人がユーザー様のHPから大量の動画をダウンロードされたり閲覧されればトラフィックは上がります。
 念のため、再度、トラフィック容量の調査を行ないますのでしばらくお待ち下さい』

 事業者側ではもう一度調べるとのことであったので、先ずはその結果を待つことを考えた。
 ただ、相談者は、事前に一言「多額の追加料金が発生していますよ」と言ってくれれば、1ヶ月の間にこんな事にならずに済んだとのことだった。そして、今日は、家族にすべて話す事を決心したが、おそらく崩壊するだろう、家計のためにと始めたこと(サイト上で何かしらのサービスを提供していたものと見受けられた)だったが、こんな結果になってしまい情けなく3日眠れずにいるとのことだった。

 解約の意思表示を伝えて1ヵ月後、事業者より以下のメールが届いた。

 『弊社サービスは未納料金が発生している場合は解約処理を行なうことができなくなっております。現在、ユーザー様のトラフィックに関して調査中となっておりますのでしばらくの間お待ち下さい。
また、ユーザー様のHPに問題が無く弊社システムに問題がありトラフィックが上がっていた場合等は支払い料金をいただかず、月額使用量も解約の意志を伝えられた翌月分をご返金いたします。
調査終了までしばらくお待ち下さい』

 そして、相談者が管理画面にログインし請求書を確認すると、5160$(約560000円)となっており、請求額が前より減っていた。ただ、これでもクレジットカードの認証が下りなかったせいか、そのまま未払いの状態であった。そして相談者はこの1ヶ月、心配で非常に疲れているとのことであった。

 そこで、事業者は海外であることもあり、既に相談者より解約の意思表示を伝えているのであれば、今後請求をしてくるのは相手方事業者であり、クレジットカード会社からの引き落としさえ阻止できれば、あとは海外にいる事業者が相談者から料金を強制的に支払いさせるのは、かなりの時間と労力が必要であると考えられた。
 また、事業者においては、今までメールでしか請求はしてきておらず、今後、どのような出方をしてくるか分からないので、今の段階で相談者が積極的に動く必要は無く、気持ちに余裕を持ち、何かあればすぐに連絡するよう伝えた。

(2)
 このケースにおいても、(1)と同様、当該事業者のレンタルサーバ契約時には、各プランの上限容量を超えた場合は追加料金が発生し、その際の連絡を事業者側からしていないため、各ユーザにて確認するよう記載した注意書きがあったものと思われた。その点を相談者にて確認するよう伝えた。

 しかし、仮にそうだったとしても、常識的に考えて、高額な料金が追加発生しているにもかかわらず、何も知らせずいきなり高額請求してくるという手段に納得できないという点は理解できるところなので、先ずは事業者に調査を依頼、支払いについても交渉するとともに、クレジットカードの利用限度額を超えているかを確認すること、もし請求額が利用限度額内であれば、そのままクレジットカード会社より請求が来るので、クレジットカード会社に至急連絡し、経緯を説明し、今回の取引に関する調査と、その間の支払いをストップ、若しくは調査後、不正があれば返金手続きをしてくれるよう依頼してみるよう伝えた。クレジットカード会社に連絡せずに、銀行引き落としだけをストップすると、信用機関における信用情報に影響が出る可能性があることを伝えた。

 解 説

 一応、契約を見る限りでは、発生した費用があれば支払わなければならないとも思われ、また踏み倒しを推奨しているわけでもないが、事業者は海外でもあり、また電話番号の記載も無く、相談者側ではメール以外、実質連絡を取って交渉する術がないため、やむを得ず様子をみることで、事業者側からのコンタクトを待つことを選択した。

 つまり、このレンタルサーバでは商用使用の制限は無いが、ユーザが借りているサーバ上でのトラフィックは全てカウントされるため、例えばサイト上でダウンロードサービスを提供していたり、サイト上からメールが送られるシステムを導入している、開設しているサイトの容量が重い場合、またアクセス数の高いサイトの場合は非常に不利になる。

 しかも、容量をオーバーして追加料金が発生した状態になっても、サイトからの連絡は無いので、その点は、各ユーザにおいて自分の使用容量を確認している必要があり、その点ユーザ側にて確認を怠っているのであれば、ユーザは事業者に請求に対する文句は言えないかもしれない。ただ、10万、100万円を超える追加料金が発生しているのであれば、せめて一言、先にユーザに連絡しても良いのではないか、と思う。それで、少なくともこういったトラブルが減るとともに、事業者側においても、海外からの取りっぱぐれが減るはずだと思われるからである。