第四十六話: この配送料の計算は許されるのか

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第四十六話: この配送料の計算は許されるのか

 相 談 内 容

 中古の本を個人や事業者と取り引きするサイト上にて、本1冊当たり配送料・手数料として340円取られる設定になっている。
 しかし、同じ出品者にまとめて多く注文しても、配送料・手数料は、冊数掛ける340円で安くならない。出品者によっては、もらいすぎて申し訳ないと50円なり80円返金するところもあるがスズメの涙である。サイトに対し「おかしいからなおすべきだ」と言ったが、取り合ってくれない。

 ただ、中古の本のネット販売で当該サイトは独占的な立場にあり、利用せざるを得ないのだが、なんとかならないものだろうか。

 処 理 概 要

 当該サイトは自社のサイト上で商品を販売するほかに、ユーザ登録した個人や事業者が参加して、中古商品を取り引きできるマーケットを提供している。そのマーケット上で発生する代金の授受はサイトが代行し、当該サイトに登録したクレジットカードで行われる。

 当該サイトの表示を見ると、『配送料は、商品1点の発送ごとに請求されます。複数の商品を購入される場合は、商品それぞれに配送料がかかります。○○でお買い物される時のように「発送ごと」や「注文ごと」ではありません』という記載があった。

 すると、同じ出品者から一度に複数の商品を取り引きする場合などの配送料については、予め商品ごとに指定された配送料に取り引きした個数をかけた分だけかかり、場合によっては取り引き額よりも配送料のほうがはるかに高くつくこともある。出品者側においても、発送するときは同梱してひとつにすることを考えると、この配送料の計算方法が合理的ではないのも事実ではある。

 ただ、基本的には、上記条件に同意の上で、各ユーザは当該事業者のサービスを利用していることと考えられるため、このようなマーケットを利用して個人間取引をする際に、今回のように当事者間の合意の下、例えば出品者が一部送料を返還する等は自由だが、マーケット上におけるサービス条件の変更を求めるのであれば、例えば同様な意見が多数当該事業者に集まるなどにより、事業者の考えを改めてもらう必要があるのではないかと伝えた。

 解 説

 インターネット上のサービスによっては寡占的な事業者も多いため、その事業者の対応が悪かったりサービス内容に不満があっても、ユーザは我慢して利用せざるを得ないような状況が多々発生する。このような寡占的な事業者による理不尽なサービス内容や対応に対する相談が多いのが、ネット取り引きの特徴のひとつでもある。

 また、このケース、同様の相談がいくつか寄せられているので、この配送料についてユーザの不満が多いのは事実であろう。

 もちろん、現状のままのサービス内容では社会的な問題や犯罪に関係する可能性がある場合は、適宜、規約やサービス内容の見直しや改善が行われているのだが、それはもちろん企業としてのリスクを考えた結果でもある。
 それらに該当しない苦情や意見を言ったとしても、そのような事業者からは“嫌なら使ってくれなくてもいいです”という対応をされるのは目に見えている。改めて、ユーザ側においても、単なる目先のサービスやシェアに惑わされず自分に適したサイトを選択する目を持つことが必要、と感じる。