神奈川県在住。キャラクターのマグカップをオークションに出品。落札者とのやり取りで、普通郵便代金引換で発送した。
こちらは9月20日に発送したが、落札者の都合により受取りが9月29日だった。日曜日を含んでいたので、こちらの口座に郵便局から代金が振り込まれたのが10月1日だった。
しかし、郵政民営化に伴い、振込料が値上がり(525円)していたので金額に誤差が出ている。こちらは値上がりがあるのがわかっていたが、10日も日数があったので間に合うと思い、落札者には旧価格の210円で請求した。しかし、落札者の都合により受取りに時間がかかったために出た誤差である。
ただ、私のオークション内での自己紹介欄には「送料の過不足について請求・返金しない」と書いている。そこで、今回発生したマイナスの315円について請求していいのだろうか。
また、落札者の居住地が北海道と離れているために、電話連絡しか取れない。確実に支払ってもらう方法はあるのだろうか。
代金引換郵便にかかる費用に関しては、郵送代(普通、書留等)のほか、代金引換料が250円、税抜3万円以上の場合は印紙税、さらに徴収した代金を郵便局から依頼主に支払う際の送金手数料が発生する。10月1日の郵政民営化に伴い、各種料金の変更が行われたが、代金引換に関しては、その送金手数料が変更になった。
相談者のケースでは、送金手数料は525円かかることになった。
さらに、当該オークション上にも、事前にこれら注意喚起がなされており、以下の記載が確認できた。
『郵政民営化(10月1日)後の代引送金手数料について(2007/09/14):
2007年10月1日の日本郵政公社の民営化に伴い、代金引換の送金手数料が変更になります。新しい送金手数料が適用されるのは、発送時ではなく郵便局から出品者への送金日が10月1日(月)以降になる取引です。
つまり、10月1日より前に荷受されたものでも、送金日が10月1日以降になるものについては、変更後の料金が徴収されます。代引取引の際には、予めご注意ください』
そこで今回の相談者は、落札者とのオークションの取引途中で郵政民営化が行われ、それに伴い振込料の値上げがあり、そこで発生した差額をあらためて落札者に請求したいとのことであった。
それは、代金引換の商品を落札者が10日近くも受取らなかったからだ、という相談者の主張も確かに一理あるが、ただ、逆に相談者側においても、郵政民営化に伴い、その日を境に振込料の値上がりがあるのがわかっていたわけでもあるから、例えばオークション上で、取引完了までの期日を区切っておいたり、途中落札者に対し、早急に商品を受取るよう催促したり、振込みが10月を過ぎると費用に差額が発生する旨、この落札者に注意喚起することで、このようなトラブルを避けることも出来たのではないかと思われた。
さらに、相談者の自己紹介のページには「送料の過不足について請求・返金しない」と自ら書いているとのことだったので、これら総合的に考えると、今後落札者に対し、その発生した誤差、315円をさらに請求していくことは、あまり馴染まないのではないかと思われた。
ただ、もちろん、今後、落札者と電話連絡が取れて、落札者が相談者の要求に応じたり、双方合意が出来る妥協点を見出せれば、それが解決として一番適していると思われるので、先ずは落札者の話し合いをしてみてはどうかということになる。
しかし、もし落札者が相談者の要求に全く応じなかった場合、落札者に確実に支払ってもらうという方法は、先ずは落札者に対し、意思表示として証拠能力の高い内容証明郵便などを利用して書面で通知し、その後、訴訟を起こすなど裁判所の判断を仰ぎ、さらにその判決に強制力を持たせる必要がある。
ただ、このケースが、もし315円の争いなのであれば、今回の件がこれらに見合うだけの問題なのかどうか、あらためて検討するよう伝えた。
郵政民営化により各種送金手数料が値上がりし、それに伴って発生したトラブルでもある。今後、地方では配達遅れも懸念される。
相談者も、まさか落札者が商品を受取るまでに10日近くもかかるとは思っていなかったのだと思うが、だからといって落札者側が故意に受取りを遅らせたとまでは判断しにくい。したがって、振込み料の値上げによるマイナスが発生するのが嫌であれば、その旨注意喚をしたり、受取りをなるべく急ぐよう催促することも可能であったと思われる。
まして、自ら「送料の過不足について請求・返金しない」とオークション上で宣言しているのであるから、この件については、その金額から考えても相談者が負担するのが妥当ではないかと考えたのである。
しかし、オークション取引では、この送料や手数料など、ごく少額を争うトラブルのなんと多いことだろうか。正しい、正しくないではなく、これぐらいは少し融通を利かせる心の余裕が無いと、生きにくい世の中になってしまうと思うのだが。