第四十八話: 販売側のITレベル

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第四十八話: 販売側のITレベル

 相 談 内 容

 9月16日に、酒屋のサイトから以下の広告メールを受取った。

『魔王 黒閻魔 閻魔 元老院』¥6,046 (送料手数料別)
限定20セット(お一人1セット)
受付開始9月20日PM5:00
この時間以前の申し込みは無効 
メールにてお申し込みください
キーワード『○○』

 18日に、サイトから商品価格の訂正(¥7,046)のメールが届いた。

 20日、17:00に上記セットをキーワードとともにメールで申込んだ。

 同日、17:38に、サイトから以下のメールが届いた。

おめでとうございます
5時から受付 頂戴しました
当選しました
1週間以内にお届けいたします
ありがとうございます
価格¥7,046 代引き手数料¥315 各地最低送料(関東¥640)
詳細はホームページをお読みください

 しかし、翌日、サイトから以下のメールが届いた。

大変申し訳ありません
私のパソコンの時刻表示でしていますのでご了承願います
11人くらいの方が16:59で入っていました

 以上、今までのやり取りの内容である。

 こちらは、時報に合わせて相手の指定の時間の申し込みにもかかわらず、受理しながら一方的に解約してきた事に納得出来ない。販売して欲しい

 

 処 理 概 要

 相談内容を見ると、17時よりメールで受付するという当該商品の注文を、相談者は時報とともにメールで注文し当選通知が届いたにもかかわらず、16時59分に受けた11人の注文とされ、サイトから一方的にキャンセルされてしまったものと見受けられた。
 サイトを確認すると、この酒屋は定期的にこのような販売を行っており、注文は特に専用フォームなどを用意しているわけではなく、全てメールで行われることになっていた。

 今回、サイト側のキャンセルは、単に「17時以前の申込みは無効」というルールの中、あくまで店主のパソコンの時刻により相談者のメールが16:59に入っていたためということであるが、相談者が17時の時報とともにメールを送信していたのであれば、少なくとも日本標準時間において17時前にメールが到着することは無いはずである。また店側のPCの時間を基準にするといった、事前の注意書きも無い。

 したがって相談者には、当選通知通り、サイト側に商品を引き渡すよう主張は可能と考えられると伝え、先ずは責任者宛に書面を出して、連絡を取ってみるよう伝えた。
 そうしたところ、相談者より、最初の約束通りに商品を購入出来るようになった、との報告があった。

 解 説

 入手が難しいといわれる焼酎の購入に関する案件である。
 パソコンやOSの種類、接続環境などにより、利用しているパソコンの時刻には同期が取られていることも多いが、メールを送信する側と受信する側の時刻がずれていると、このような問題が発生する。
 ただ、店側も厳密は時間をとりたいのであれば、サーバ上に申込みフォームを用意して、定刻とともに送信できる設定にしておけばよく、一見、そんなに難しいシステムでも無いと思われる。

 しかし、このサイト自体はいかにも酒屋の店主が素人知識で作ったようなサイトであり、特別な仕掛けは何も無く、ただただ知る人が来るようなテキストがメインのサイトである。注文フォームを作ろうという考えはもとより、サービスプロバイダ等に頼んでショッピングシステムを構築しようという考えでもないらしい。そのようなITリテラシーが素人同然でも、サイトで広告さえ打てれば、ネット取引は可能である。例えメールの時間が合わせられなくても、それがダメとは決して言うことが出来ない。
 そして、店主は今も相変わらずメールで注文を受けているようである。