(1)
タイにある日本語表記の海外GMS携帯電話販売サイトから、32万円先払いで2件の取引を行ったものの、商品が送られてこない。同社からは昨年2月に商品を購入した実績が有ったため信用してしまった。具体的な状況は以下記載。
・ 今年の7月20日と7月23日の2回、申し込みと振込を行った。合計約32万円。
・ サイトは今も時折改訂され、運営を継続している。
・ 運営はタイに居住する日本人がおこなっている。少なくともサイト上ではそうなっており、実際日本語でメールのやり取りを行った。
・ 今回指定された振込先は国内のK銀行で、同銀行へ問い合わせたものの、”個人情報”なので、口座については何も教えられないとの事だった。
・ ちなみに昨年2月の購入時(トラブル無し)とは、振込先銀行・口座が異なる。
・ サイト上には電話番号が載っているが、こちらから何度かけても呼び出し音はするが繋がらない。
・ 当初幾度となく、電子メールで仕様打合せ等を行っていたが、今年8月2日のメールを最後に、幾度メールで問い合わせを行っても返信が無い。
・ サイト上に記載の住所(タイ)を確認する意味も有り、国際書留郵便を8月末に送ったが、1ヶ月強を経て届けられる事無く戻ってきた。
(2)
1. 経緯および事実関係
1) オークションに出品されていた携帯電話端末、事前にメールでのやり取りで仕様確認して代金振込を行ったが仕様違いの商品が届いた。
仕様相違点:キーパッドに補助文字なしを注文→タイ語補助文字ありが届いた。
日本語化された商品を注文→非日本語化の商品が届いた。
なお,ウェブ上で代金(91,700円)振込後2-5日後到着と記載されているが今回は9日後の到着であった。
2) 代金は指定された日本国内金融機関(M銀行C支店)ということで安心感があった。
3) 当該ショップ住所はタイ国であるが日本人の責任者と担当者の名前があり日本語でメールのやり取りができており安心感があった。
4) 仕様違いを確認後即日問合せ(返品処理の可能性含む)を行い、その後何度もメールを送っているが音信不通となってしまった。
ただし、現在もオークションの出品は継続されている。
5) 登録されたタイ・バンコクの国際電話および荷物のEMS伝票に書かれた番号へ何度か国際電話を試みたが連絡が取れなかった。
6) サイト上で国内登録住所を見つけ電話してみたが、「まったく関係ありません」と女性の声で返事があった。
7) 県警ハイテク犯罪対策室への相談も並行して実施している。
8) 直接ではないがオークションがきっかけとなっているため、オークションマスターへもダメモトで相談してみたいと考えている。
2. 相談内容
・ 注文通りの仕様であれば、正規品と交換してもらえれば納得する(誤商品は使用せず保管中)。何とか連絡さえ取れれば直接交渉可能だが,本ケースの打開策等についてアドバイスが欲しい。届いたEMS荷物の梱包や伝票なども保管してある。
(1)と(2)では取引サイトが異なったが、その相談内容はほぼ同じである。このほかにも連絡がつかないという同様の相談が寄せられている。
(1)のサイトは、相談当初はサイトが確認できたが、その後すぐに閉鎖されている。
(2)のサイトは現在も開設されているが、後から電話番号とFAX番号がサイト上から削除されている。さらに(2)のケースは、現時点においてオークション出品も行っており、どうもオークションの出品広告を見て直接取引を持ちかけるようである。
どちらも日本人向けのサイトであることは明らかである。
海外事業者との商品未着、連絡不能等によるトラブルは、訴訟や警察等による強制力を伴った解決手段を、海外に向けて行うことが実質不可能であるとともに、現金振込みはクレジットカード払いと異なり決済手段での救済も検討できず、解決が極めて困難になる可能性があることを先ずは伝えた。
その上で事前に最寄の警察署に相談して事情を説明し、金融機関へは警察から働きかけをしてくれるよう依頼してみてはどうかと伝えた。
また、警察に相談した際に、日本の警察から事業者所在地のある現地の警察に問い合わせをしてくれるよう依頼したり、その協力が得られなければ、自ら現地警察署の連絡先を調べ、コンタクトを取ってみることも一考であることを伝えた。
携帯電話は、携帯端末に契約者を特定するID等情報が書き込まれたSIMカード(Subscriber Identity Module Card)を挿入して利用するが、通常日本で販売されている携帯電話端末は通信回線契約とセットになって販売されているため、端末に挿入されているSIMカードには、契約時にロックがかけられていることが多い。
SIMロックがかけられていることにより、他の携帯端末から取り出したSIMカードを挿入しても、すぐには使用できないようになっている。
一方、海外のGMS(Global System for Mobile Communications)方式によるものは、この携帯電話端末とSIMカードが別々の契約なので、SIMカードを挿入することで、好きな携帯電話端末を複数持つことが可能になる。
そこで、『SIMフリー』として販売されているGMS携帯電話端末を購入することで、携帯電話を海外で割安で利用できる他、規格違いのため国内で販売されていないような、斬新なデザインの海外の携帯電話を持つことが可能となる。もちろんそのような端末はそもそも日本向けではないので日本語対応ではないが、日本語書き換え等を別料金で引き受ける事業者もいるようである。
このケースは、いずれもタイの事業者で、『SIMフリー』を謳う携帯電話端末やアクセサリーを販売しているが、その存在がいまいち見えない。非常に自己責任の割合が高い取引であるが、スマートフォンなど高性能な端末であるため、取引金額は高額である。このような海外の携帯電話端末販売サイトに関しては、今後も引き続き注視していきたいと思う。