1年前に、ホームページ上からカード決済によりダウンロード購入したセキュリティソフトの更新時期が近付き、30日前頃よりパソコン上に更新を促すメッセージが出るようになったのだが更新せずにいたところ、突然自動延長した旨のメールが届いた。
慌ててホームページにて確認したところ、1年ごとに自動的に更新されるサービスに登録されており、更新サービス残日数37日前に届く更新時期のお知らせから15日前の自動延長完了のお知らせのメールが届く間に、ホームページ上から延長中止の措置をしなければ、勝手に延長されてしまう事が分かった。
また、初めのメールが何らかの理由により届かない事があっても、中止の処理をしていなければ延長が実施されるとも書かれてあった。実際、当方に受信の記録はない。メールサーバーの移転等で、その時期にかけてはメール受信が不安定だった影響かもしれない。課金については、前回購入時に登録したカード情報を基に、カード会社に請求された模様である。
この様な、「返事がなかったから自動で延長したので、前のカード情報で請求しておいたからね」的な売買が、成立してしまうのだろうか?告知はしたから、中止処理をしないこちら側に非がある事になるのだろうか?カードが使えなくなっている事や、限度額の問題もあるかもしれないが、そういう変更事項が生じた場合も、一旦延長の中止をしないとならない様でどうにもならない。
ちなみに、こういう付帯サービスがある事は今回メールが来るまで理解していなかった。パソコンが壊れたとか(パソコンが壊れたらソフト自体も消滅する可能性もあるが)、メールアドレスが変わったとかで、今回の事に関する情報が得られず、期限が来たと思ってソフトも破棄していたら、ずっと課金し続けられていたのかなぁと思うと、怖い気もしている。
このセキュリティソフトの自動更新サービスは、サイトを確認すると、同社のオンラインストア上で、このセキュリティソフトのダウンロード版をクレジットカードで購入したユーザを対象として、1年の有効期限の15日前に、サイト側が当該セキュリティソフトの自動更新を行い、その課金を購入時に登録したクレジットカードに請求するというシステム(更新サービス期限自動延長機能)である。
自動更新される流れは、以下の通りである。
1「自動延長のご案内」メールの通知(更新サービス残日数37日)
2「自動延長完了のご案内」メールの通知(自動更新成功)
3「自動延長のご案内」(更新サービス残日数15日)メールの通知(自動更新失敗)
4「自動延長のご案内」(更新サービス残日数8日)メールの通知(自動更新失敗)
また、同社のオンラインストア上で、このセキュリティソフトのダウンロード版をクレジットカードで購入する場合、この自動更新サービス延長は、デフォルトで加入されられてしまうようであり、購入時に自動更新サービスを望まない場合は、そのチェックボックスをわざわざ外さなければならないようであった。
また、更新後は返品返金には応じられないという記載があった。
そこで、当該ソフトウェア購入手続時に、相談者がこの自動更新サービスについて登録手続きをしたという認識があるのかどうか、その点が問題であるとして、もし、当該サービスの登録の覚えが全くないのであれば、当然、それは相談者の同意がないため、そのような契約自体が不成立であると考えられるということ、また、ソフトウェア購入時に分かりにくい画面にて、当該サービスの申込みとは気が付かないようなシステムになっているような場合は、そのようなサービス契約については無効と主張することも可能かもしれないと伝えた。
しかし一方、相談者自身にて当該サービスの登録手続きをしているような履歴がある場合、若しくは当該サービスの申込みが相談者自身によりなされていることが第三者的に見て判断されるような状況であれば、基本的に事業者は、今回単に契約どおりに約束を履行しているだけとなり、逆に説明通りのサービスを履行しないほうが契約違反に問われることになるとも伝えた。
その場合は、事業者が今回このサービスを不具合無く提供していれば、例えばPCの廃棄や他社製品を利用するなどして、その更新されたサービスを利用なかったとしても、それは単なる購入者側の都合とされ、また事業者から更新連絡等のメールがメールボックスに受信されていれば、それに気が付くことで自動更新を阻止することも出来るわけで、それを見過ごしてしまった場合、それについてはユーザ側の落ち度と判断される可能性もある。
また、当該自動更新サービスの更新方法やカード決済の仕方等、その契約内容については、基本的には公序良俗に反しない限り、その内容は当事者間で自由に決められるため、 事前にそのサービス内容や契約内容等について説明があり、もしその内容に同意の上で申込みを行いサービスが履行されているのであれば、契約後にそのサービス内容の違法性を問題にするのもなかなか難しいのではないかと伝えた。
ただ、長期にわたりサービスを提供する契約であれば、事業者としては、もっとユーザに分かりやすい説明を心掛ける必要があるのではないかと思われ、このような販売方法は少なくともトラブルが発生しやすい販売方法であると伝えた。
その上で納得できない請求であれば、今後事業者と納得できない部分については交渉してみたり、その間、登録しているカード会社に事情を説明し、取引への調査や引き落としのストップについて相談してみるよう伝えた。
今年に入ってから、ほぼ、同様の相談がこちらに多数寄せられている。
どうも調べてみると、サイト上で当該ソフトをダウンロード、カード決済にて購入時に、この自動更新サービスが適用されたのが2006年12月23日以降のようであり、この1年後の今年に入ってから、このサービス適用により順次ユーザのセキュリティソフトが自動更新されていったので、今年に入ってから、このトラブルが発生し始めたようである。
もちろん、自動的に更新される前に、事業者からメールが送られてくるのであるが、上記の更新サービス残日数37日で送られてくるという『1. 「自動延長のご案内」メール』を見落とすと、その後は自動更新完了の通知が来るまで気が付かないまま自動更新されてしまう。
すると、この相談にもあるように、パソコンが壊れたり、メールアドレスが変わったとかにより、更新に関する情報が得られなかったとしても、登録されたカード情報が有効であれば、課金し続けられてしまうということになる。相談の中には、登録していたカードの有効期限が契約期間中に切れていたにもかかわらず、カードナンバーがそのまま有効であったために、課金されていたというケースもあった。
このようなシステムは、事業者側にとってみれば顧客の囲い込みに有効であるし、ユーザ側においても、うっかりセキュリティソフトの更新を忘れてしまうことによりPCを脅威にさらさないで済むという利点もある。
しかし、1年後に自分のPC環境がどうなっているかなんて分からないことも多く、このような販売の仕方は少なからず消費者の混乱と誤解を招く可能性が高い。
また、解約方法はヘルプページにしか書かれておらず分かりにくい上、契約期間中は、常に事業者から広告メールなどが届くため、重要な自動延長の案内メールも、その広告メールを思って見落としてしまう可能性もある。
セキュリティソフトは、今やPCやネットユーザであれば導入が当たり前と叫ばれている中、ITリテラシーが決して高くないユーザも多数いることを考えれば、もっと積極的な注意喚起やサイト上の説明が必要かと思われる。
何より、適用から多くのトラブルが発生していることを考えれば、事業者側でも、現在の販売方法では問題があることが十分認識できると思われるのだが。