第五十九話: ポイントトラブル(1)

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第五十九話: ポイントトラブル(1)

 相 談 内 容

 ショップでビデオカメラを104,250円で買い物した。この際、ポイント5倍キャンペーンを実施しており、通常の5倍のポイントが付与されるとのことだったため、今回の注文を行った。

 しかし、後日実際に付与されたのは通常通りのポイントのみであったため、本件についてショップに問い合わせを行った。するとショップからは、「システムの不具合で正しいポイントが付与されなかった、後日修正する」という連絡がきたが、その後1ヶ月以上経過してもポイントが付与されず、やっと翌月に約束通りのポイントが付与されるという連絡が来た。

 しかし、上記のポイント付与が行われなかったために、もともと持っていた期間限定ポイント(75ポイント)の期限がその間に切れてしまった。上記の5倍ポイントと一緒に買い物に使用する予定でいたのに、今回、正しいポイント付与なされなかったため使用できなかったのである。
 従って、こちらの75ポイントも合わせて再付与を求めたい。

 処 理 概 要


 ショップによるポイント付与について対応が遅れたことに関しては、相談者の納得いかない気持ちは十分理解できた。
 しかし、既に前月にて期限切れになったポイントを含め、過去に通常に付与されたポイントに関しては、その補償を求めることは、現実的には難しいのではないかと思われた。

 確かに今回付与されるポイントと併せて使うことで利用の機会を得ようと思ったこと自体は理解できるが、ただ、過去に問題なく取得していたポイントに関しては、予め期限付きであったこと、仮に今回の取引が全くなかったとしても、有効期限内であれば、そのポイントの利用には特に支障はなかったと思われること、また、今回の5倍のポイントが付与されなければ、過去に付与されているポイントが利用できないという条件があったわけでもなく、過去に付与したポイントと併用して相談者が買い物に利用する予定であったことをショップ側が容易に知りえる状態ではなかったと思われることなどを考え、残念ながら今回の件で、期限切れを迎えたポイント分の補償を求めるのは難しいのではないかと考え、それを説明した。

 しかし、ポイント付与が遅れたことにより、今後ショップに何らかの損害賠償請求等を希望するのであれば、その可否や具体的な額については、改めて法律相談を利用するのが確実であろうと伝えた。

 解 説

 5倍のポイント付与が遅れたことについて相談者側に落ち度は全くないので、正直、ショップ側から「遅れて済みませんでした」の一言で片付けられてしまうことに納得できないという気持ちは良く分かる。特に2、3日の遅れであればともかく、このケースは付与までに2、3ヶ月かかっていることを考えると、通常のシステムの不具合だけではこの遅れはちょっと考えられない。
 ユーザにもいろいろなタイプがいて、もらったポイントは早めに使おうとするユーザもいれば、ぎりぎりまで貯めておいて一気に使おうと考えるユーザもいるのである。それを少しでもショップ側が考えられるのであれば、また、これだけ対応が遅れるのであれば、少なくともユーザに、その対応期日などをきちんと伝えておく必要があると思われる。

 このような場合、例えばお詫びとして多少ポイントを増額するなど、他に目に見える形でショップが誠意を示すことが出来れば一番良かったと思われるのだが、ただ、今回の件で言えば、過去に付与されていて今回利用する機会を逸したという75ポイント分の補償は、ショップ側が対応を拒否した場合、現実的には強制は難しいであろう。

 最近は多くのショップやショッピングモールなどでポイント制を導入して、そのポイントを使って買い物が出来るようにしている。ポイントの価値が高まれば、それだけユーザが期待する思いも大きい。それに従って、ポイントに関するトラブルの相談も寄せられるようになってきている。そのうちの幾つかについては、今後、ここで紹介していきたい。