第六十二話: 海外からの本人確認

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第六十二話: 海外からの本人確認

 相 談 内 容

(1)
 海外サイトにて、オンライン上で、住所・氏名・カード番号を入力し、楽器を835.00USDで注文。日本時間で翌日には注文を受け付けたというメールをもらった。
 4日くらいで届く事だったが、なかなか来ないので、注文時指定した配達業者に荷物の配送状況を聞いたところ、先方から出荷されていなそうだ、との事だった。

 そこで「まだ届かないのですが、いつ発送しましたか?それとインボイスナンバーも教えていだたけますか?」とメールをしたところ、翌日メールでクレジットカードのコピーかパスポートのIDと写しをFAXなどで送るよう返事があった。

 どうしてその情報が必要なのか、金額によっては普通にある事なのか分からないし、周りの友人もきいた事がないそうなので、このようなことは通常行われているのかどうか、また、どうしたらよいか教えて欲しい。

(2)
 海外サイトより、衣類品を768.48USDで、VISAカードしか使えないということで、自分はVISAカードを持っていなかったため母親からカードをかり買い物した。すぐに店からオーダーの連絡があった。

 しかし、2日後に店からセキュリティーチェックに引っかかったので運転免許書かパスポートなどを送ってくれという連絡が入った。
 自分のe-mailアドレスで母親のクレジットカードを使ったので、名前の照合で引っかかったのかと思い、そのことを店に伝えたが、再度、運転免許書かパスポートなどを送ってくれという連絡がきた。

 むやみに身分証明書を送ると怖いので、クレジットカード会社に問い合わせたところ、引き落とされているかどうかだけ調べられるが、それ以外はできないといわれた。普通の店が、購入時、身分証明書を請求することはあるのだろうか。

 処 理 概 要 及び 解 説

 海外サイトと取引する際、その取引内容やポリシーによっては、店側から注文者本人であることを証明するような、更なる個人情報の提出を求めてくることがある。
 また、別の有効なクレジットカード情報を知らせるよう連絡があったり、入力したクレジットカード情報が正しいかどうか、店からメールや電話で改めて本人確認がなされる場合があり、相談でも海外取引において、何例かそのようなケースに遭遇している。ただ、注文者にしてみれば、突然そのようなことを言われて、かなり困惑するようである。

 この2例については、やはり相談者は「このようなことが実際に行われているのか」という趣旨の質問があったので、その回答はyesとなる。
 また海外事業者に対し、そのような更なる個人情報の提供を注文者に求めてはいけないとまではいえないのである。

 一方、海外の店や事業者に対し必要以上の個人情報を知らせることへの抵抗感が、各注文者には当然あると思われるため、サイト側からの求めに応じて取引を続行するか否かは、こちらが判断することではなく、あくまで各相談者の判断となってくる。
  (1)については、今後決して悪用されないとは断定できないような個人情報の提供となるため、サイトにそれら情報を知らせることへのメリットデメリットを自ら挙げてみて、それを元に、取引を続行する必要性についてを、改めて検討する必要がある。

 また(2)に関して言えば、通常発行されているクレジットカードにおいては、規約上、名義人本人以外の使用が認められていないと思われるので、この場合は、サイト側では、今回、セキュリティ上、カードの不正利用を疑った可能性もあり、注文者の本人確認のため、そのような更なる身分証明書などの情報の提示を求めてきたことと思われる。
 名義人以外のカードを決済に利用していることを考えると、相談者にこれ以上の身分証明書等の情報開示に不安があるようであれば、この件はキャンセル手続きしたほうが賢明であろう。