(1)
英語の海外オークションに日本語で参加できるオークション代行サイトを利用し、オークション上の出品者の商品説明を読んで落札した。落札したのは通信機器。しかし届いた商品は説明とは違い、起動しない不良品だった。
オークション代行サイトのサポートセンターに何度もメールを送り対応してもらおうとしたが、「電化製品等の動作保証、及び動作確認は行っておりません」という規約上の理由で返金、返品に応じてもらえない。
しかし一方、オークション代行サイトの“返品、返金に関しての記載”には、『購入した商品の商品説明と、明らかに異なったものが届いた場合』は返金、返品に応じるとの記載がある。
しかし、こちらとしては商品を手にして見られない事から商品説明を読んで判断するほかない。
もともとの出品者のオークションの商品説明には、
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この商品の標準な付属品は恐らく入っています。 テスト的に箱から取り出されたことがあるかもしれません。
取り扱い上、多少小さな傷があるかもしれませんし、パッケージは完璧な状態ではないかもしれません。
とはいえ、この商品は大変すばらしく値打ちのあるものです。
私達は自らの商品を保証し、またその商品がオークションにて明細が記されなかった場合は公正に対応致します。
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との一文がある。
しかしオークション代行サイトのガイドラインでは、落札者が出品者と直接やり取りをする行為を禁じている。もしかしたら、この出品者なら対応してくれるかもしれないのに。
(2)
オークション代行サイトよりナイキエアマックス95を購入代行したが、届いた商品は、エアマックス95でなく、エアマックスLTDの商品番号だった。作りも荒く明らかにフェイクだった。
その点をオークション代行サイトに問い合わせたら、ホームページで説明してあるように、「真贋に関する責任は負いかねます」とのメールであり、「もしナイキ及びそれに準ずる証明書を添付すれば、海外オークションサイト側に簡易裁判を起こし勝訴の場合は返金いたします」との連絡だった。
しかし、「オークション代行サイトのスタッフが検品の上発送いたします」とのことで、このオークション代行サイトは15%の手数料を取っており、だから海外のサイトでも安心かなと思ったのだが、このように明らかにニセモノだと分かった場合でも返品は無理なのだろうか。
この代行サイトのシステムは、オークション入札落札における単なる事務代行ではなく、先ずはユーザが落札したことによって、オークション代行サイトが海外で出品者から商品を買い付け、それを出品者からオークション代行サイトの海外支店に送付してもらって検品し、それをユーザに発送といったシステムであり、つまり、オークション代行サイトはユーザとの売買契約の当事者となる。
またそのためか、オークション代行サイトのユーザが、海外オークションの出品者と直接連絡を取り合うことを制限していた。
当該オークション代行サイトの利用規約には、以下の記載があった。
(商品等の返品および交換)
会員は、購入した商品が新品で、かつ以下に定める事由の何れかに該当する場合に限り、当社に対し、商品等の交換を求めることができるものとします。
・商品等に瑕疵がある場合
・配送中の事故により商品等に破損・汚損が発生した場合
・当社の過誤により会員が注文した商品等と異なる商品等が届けられた場合(注文した商品等と会員が意図または期待した商品等が異なる商品等が届けられた場合を含みません。)なお、第2号および第3号に基づく商品等の交換は、商品等が未開封かつ未使用の状態で、商品等の到着から7日以内に商品等を当社が指定する場所に到着させた場合に限るものとします。
とある。
一方、同じくオークション代行サイトの、今度はQ&Aのページには、別途下記のような記載があった。
・商品が動かない
商品の不具合・初期不良等については、ヘルプページよりサポートセンターまでお問い合わせください。
なお家電製品の動作確認、保証は行っておりません。また中古品の場合は返品をお受けできませんのでご了承ください。
・電化製品、精密機器の検品はどこまで
電化製品、精密機器の検品において、通常の商品の検品と同程度になります。動作確認までは行っていないため動作の保証はしておりません。
そこで、このようなユーザに届いた商品が不良品であった場合、ユーザは、海外オークション代行サイトのこれら検品にかかる免責を理由に対応を求めることが出来なくなるのかどうか弁護士に見解を求めたところ、本件は売買契約を解除して、代金の返還請求をすることができる事案であり、法的には瑕疵担保責任に基づく解除・損害賠償が可能ということになるといった見解が得られた。
たとえば、家電量販店はメーカーからPCを仕入れてユーザに販売するが、利用規約か何かに「検品は○○のみです」「動作確認をしていません」などと書いても免責されたりしないということ、オークション代行サイトの言い分としては、「うちの仕入先はメーカーではなく個人だから、不良品が混じっているかもしれませんよ」ということなのだろうが、だからといって不良品で代金を取っていいことにはならないということであった。
また、瑕疵担保責任を負わない旨の特約も可能だが、利用規約には、商品の交換を求めることができる場合として「商品等に瑕疵がある場合」を挙げており、特約があるわけでもなさそうであるということだった。
しかし、当該オークション代行サイトはあくまで動作保証などはしていないといった記載を元に強硬な姿勢であったため、解決は容易ではないことが予想された。
また、この法人自体は海外にあるため、それが解決を困難とさせる原因になろうことが伺えた。ただ、このオークション代行会社の法人は、日本にある法人のグループ会社でもあるので、そのグループ会社に協力を得てみる方法も考えられた。
当該オークション代行会社は、出品者から送られてきた商品を1度開封し検品を行っているので、このオークション代行サイトを利用して、外見上の不具合については手元に届く前に撥ねてもらえる可能性があり、その点は便利である。
しかし一方、電化製品やブランド品のように、よく調べないと不具合が分からないような商品においては、かなりのリスクを負うものと思われる。
そのほか、落札額のほかにオークション代行サイトに支払う手数料が発生するほか、海外取引のためそれにかかる費用、外国内の配送料 (商品によっては、配送保険料及び外国内消費税)、また商品受取時に、国際配送料 (商品によっては関税及び日本国内消費税)が発生してくる。
その額は、それこそ落札する商品によって異なってくるので、オークション代行サイト上には具体的な金額が明記されていないのが現状である。あとから思ったより高く付いてしまい、それによりトラブルが発生するケースもあった。
英語が出来なくても海外オークションに参加できて、欲しい商品を海外からも入手できることは確かに魅力的ではあるが、国際取引であることに代わりはない。そもそもオークション代行サイトを運営する法人も海外にあるのであれば、海外オークションを直接利用して取引してトラブルに遭遇するのと、海外取引というリスクを考えたら、どちらも大して変わらないのではないだろうか。
欲しい商品の特質を見極め、それにかかるリスク(不具合の度合い、諸費用の発生)を充分認識して行う必要があるとともに、それら代行を行うサイトにおいても、ユーザに分かりやすい、ユーザにとって不利にならない制度をとることが望まれる。