海外のオークションに、$3800相当のダイアモンドの指輪を出品していた。
すると、スペイン在住の人が、高額な取引のため、安全な、あるイギリスのエスクロー事業者のサービスを使って取引をしたいと持ちかけてきた。海外ではエスクローでの取引は当然の事や、自分は評価もきちんとあり安心だとのこと。
とにかくそのエスクローを使っての取引のみと指定するため、EMSで商品を送った。その後、スペインに商品が到着したというスペイン人からメッセージがあった。(EMSでも証明あり)しかし、その後、スペイン人や、そのエスクロー事業者と一切連絡が取れなくなった。
受け取りを相手が入力してから、エスクローからの支払いという事になっているが、エスクロー事業者のサイト上のステータスが、相手に商品を送ってから一向に変化しない。
指輪が気に入らないなら、返品して欲しい旨等、何度かのメールも全て無視されている。
警察のインターネット詐欺相談をしても何もしてくれず、他国(この場合、スペインか?イギリスか?)へ、このような訴えをどこにしたらよいのかもわからない。
残念ながら、取引した相手方、若しくはエスクロー会社による詐欺の可能性が高いと思われた。
そもそも、その海外オークションサイト上では、エスクローは指定したエスクロー以外は利用しないよう注意喚起がなされており、またそのエスクローサイトは、海外の詐欺サイトの一覧にもURLが載っていた。
そこで相談者には、海外取引で詐欺に遭遇すると、国内では有効な解決手段が実質ほとんどないこと、考えられる手段としては、先ずは最寄の警察署などに相談し、日本の捜査機関より相手方の国(スペイン若しくは英国)の捜査機関に捜査依頼をおこない、相手方の国の捜査機関より回答をもらうという方法が考えられると伝えた。
ただ、仮に海外で犯人を捕まえても、日本では犯罪人引渡し条約を結んでいるのはアメリカと韓国だけであり、それ以外の国には犯人を送ることが出来ないが、自分で相手方管轄の警察を調べ、そこに直接コンタクトを取って相談してみたり、相手方の所在地に近いところで開業している弁護士を調べ委任し代理人として動いてもらうという方法も検討は出来ると伝えた。
相談者は、日本の警察に相談したが対応されなかったため、スペインの警察にコンタクトを取ってみるとのことで、また動きがあればこちらに報告するとのことである。
エスクローはオークション取引等において、詐欺被害に遭わないためのもっとも有効なサービスの1つだが、そのエスクローサイトが、実は詐欺であったという事例である。
そもそもエスクローサービスがあまり流行らなかった日本では起こらなさそうな詐欺だが、海外取引の場合は、その相手が信用できるかどうかを判断するのは国内取引よりはるかに難しく、また被害に遭ったら救済が極めて難しいことになる。
オークション取引においては、少なくともオークションサイトの指定するエスクロー以外は利用しないほうが賢明だということだろう。
なお、相手の国の警察や弁護士に依頼する方法は、過去に同様の詐欺被害が発生した時に、相談者が実際に取った行動である。
特に海外の警察では、メールによる問合せが可能なところもあるようだ。ものすごく当てになるわけではないが、多少の情報は得られるかもしれない。
海外における詐欺の手口はたくさんあるが、また新しい手口があれば報告したい。