第六十九話: マスクが足りない

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第六十九話: マスクが足りない

 相 談 内 容

 ショップサイトで使い捨てマスクを2380円にて、クレジットカード決済で注文したら、粗悪品が届いた。返品を希望する旨の連絡をしたが(電話が通じないのでメールにて)店舗からの連絡がない。
 妊娠中のためマスクが必要なのだが、近場では品切れになってしまい、ネット通販で購入することにした。注文不可な店舗がほとんどの中、割高と中国製なのを承知で、比較的納期の早い使い捨てマスク(1箱50枚入り)を予約注文した。

 注文時の予定納期より数日早く到着したが、届いたのは衛生用品とは言い難い商品だった。外箱は誰かが横からこじ開けたような開き方をしていて、中身のマスクが横から見えるむき出しの状態だった。もちろん外箱、中身共にビニール等の包装がない。

 使用に不安を感じたので店舗に返品依頼の連絡をすることにしたが、店舗の説明によると、その店舗が回収をするので着払い等では送らないで欲しいとのことだった。まずメールで連絡をするようにとのことで、返品依頼のメールを商品到着当日の昼間に送ったが、現時点でまだ返事はない。
 おそらく苦情が殺到している状況で、2〜3日で返事を期待するのは難しいかも知れないが、逃げられてしまうのが一番怖いと思い、このまま泣き寝入りはしたくないので相談した。

 処 理 概 要

 当店舗はショッピングモールに出店しており、ショップページにはレビューページがあり、同様の書き込みが多数存在していた。
 その内容は、箱が破損した状態で届いている、店舗と連絡がつかない、白を注文したが青が届いている、このマスクは花粉には対応できるかもしれないがウィルスの除去には役に立たないのではないのか、等であった。

 ただ、この状態では、店舗は返品を希望した全ての客に対応しきれていない可能性があったので、先ずは1〜2日ほど様子を見たうえで、それでも連絡が取れないようであれば、念のため契約解除等は書面で通知しておき、証拠として残しておくよう伝えた。

 また、ショッピングモールにも連絡し、事情を説明して当該店舗から連絡をくれるよう依頼してみることも考えられた。ショッピングモールは原則個々の取引には関与しないが、店舗と連絡不能に陥っている場合は、その状況を知らせるとともに、事業者に連絡するよう働きかけを依頼することも可能な場合があることを伝えた。
 さらに決済を行ったクレジットカード会社にも連絡し、事情を説明して、解決がつくまで引落しの停止が可能かどうかを相談する方法も検討するよう伝えた。

 その後、店舗のサイト上では、問い合わせや注文が混み合っているため電話の対応が出来ない状況であること、問い合わせがある場合はメールで連絡があれば翌々営業日中に返信している旨の記載が追加された。後日、相談者の注文はキャンセルされ、商品は破棄するよう指示があったとのことである。

 解 説

 新型インフルエンザの発生と、その予防のためにマスクが有効であるというニュースが流れたところ、全国的に特に使い捨てマスクが不足した。ドラッグストアやスーパー、コンビニなどの店舗では品切れ状態が続き、ネットオークションでは高値で取引されていたようである。

 ネット通販でも、衛生用品を扱うネットショップのほかに、普段は扱いのないマスクを仕入れて市販価格より高額で販売するようなサイトもいくつか現れたようであるが、そのためか残念ながらいくつかのトラブルも発生している。
 このケースの他にも、即日納品とサイト上で謳っているにも関わらず、注文完了すると、発送は翌月以降になるという連絡が届いたり、キャンセルしようとすると、店舗とは連絡が全く取れない状況だったりすることもある。

 このようなトラブルが発生した時に、何が困るのかというと、最終的には店舗と連絡が取れないという点である。連絡が取れてスムーズに返金等の対応がなされれば問題は大きくはならないが、特に中小店舗の場合はトラブルが発生すると、たちまち連絡が取れなくなってしまい消費者の不安を倍増させる。
 何より、世間で不足しているからといって強気な販売を行い、それでトラブルを発生させてしまえば、それがそのまま店舗の信用問題となり、今後の店舗経営に決してプラスにならないだろう。マスク不足もやがては終焉するのであるから、そのときユーザからソッポを向かれるような営業はしないで欲しいと思う。