第七十話: マスクが足りない 2

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第七十話: マスクが足りない 2

 相 談 内 容

 (1)
 インフルエンザ用マスク50枚セット(10,290円)を10セット(102,900円)申し込んだが、その後近隣薬局で入手できたためメールでキャンセルを申し出た。
 返答がなく、メールを3通、FAX1通を送るも連絡なく、一週間後にようやくメールが届き、『この商品はメーカー受注商品のため既に受注済であり今回のご注文品は限定数で出品させていただきました商品です。限定数の終了後もお問合せが多数ございましたが限定数以上のご注文はお断りしました。以上のような状況ですので、大変申し訳ございませんがお取消しのご要望にはお応えできかねます』とのことだった。
 私は、発送前なのでキャンセル可能ではないかと思ったが、この会社の利用案内を後で見たところ『商品の性質上、返品,キャンセルは受け付けておりません』と記されていた。
また今日、他店を見ていて、同じ商品が10分の1以下の価格で販売されているのを発見し、この機に乗じてボロ儲けしようとしているのではないかと思った。

(2)
 注文後に届いたメールに、発送までに1〜2週間ほど時間がかかるとあり発送待っていたところ、「明日発送します」とメールで連絡があった。
 ところが3日経過しても商品は届かず、発送したしたとの連絡もなかったためにキャンセルの連絡を入れたところ、その翌日になって一方的に「商品を発送しました」とメールが届き、発送が遅れたことには何も触れられていなかった。
 キャンセルの問い合わせを無視された形になったので、配送会社に連絡して商品の受け取りは拒否した。その後も何度もメール、電話でコンタクトをとっているのだが、メールに返信はなく電話にも一切出ない。

(3)
 先日マスクを輸入することになり、海外オークションサイトを通して知りあった先方と話しをした。その後、交渉して3000箱のマスクを先月中までに届ける約束をして、9800USDで買うことになった。
 その前に半分の4900USDを予約金として欲しいといわれ、予約金を決済代行会社を通じて支払い、翌月曜日に用意ができたから残りの4900USDを支払ってくれと言われ、支払った。
 支払った途端、連絡が取れなくなったので決済代行会社に問い合わせたところ「現在先方の口座が止まっている、なので、支払いをストップした方が良い」と言われた。そこで支払いをストップしたところ、先方から連絡があり「準備ができているんだから払ってくれ。払ってくれないと発送できない」といわれ、交渉の結果半分だけ払うことにした。
 その後荷物が届いたのだが、箱が破けている、壊れている、湿っている、中にはマスク本体が汚れていると言ったものもあり、商品として成り立たない旨を翌日伝え、対応策を協議している。先方は「箱を送る」「袋に入れて日本で売ってくれ」と言っていますが、受取日に商品引渡を約束したのだから、もういらないとも伝えている。先方からは返金について一切言われていないが、返品するなとも言われている。

 処 理 概 要 及び 解 説

 新型インフルエンザの発生に伴うマスクの売買について、引き続きトラブルによる相談が何件か寄せられている。相談それぞれに契約先が異なり、また、個々のショップが抱えている問題点も、またばらばらである。

 直近の相談内容の傾向は、送品引渡までに多少時間がかかること、市場価格より高額であることを承知の上で申し込み、でも思いのほか早く市場にマスクは出回り始め、通常価格で入手可能な状態に落ち着いてきたため、発送前にキャンセルを申し出たが断られたという1.のようなケースである。このような内容は、なかなか相談者が望むような回答をすることが難しい。あくまで自己都合によるキャンセルになる可能性が高いからである。

 また、事業者からの連絡不備により、注文者との意思の疎通に起因するトラブルも発生する。マスクに限ったことではないが、注文者からの問合せや取引した商品にかかる連絡事項はきちんと管理していないと、全ての注文者にとんちんかんな対応をしてしまうことになる。2.のショップは現在閉鎖されている。

 3.のケースは事業者だが、第六十九話で紹介したように、届いたマスクに汚れ等があったというケースも多い。マスクという商品の性質上、外装であっても汚れていれば使えないのは当たり前である。箱が破れているなんてことは発送前に気付く問題でもあり、事業者の質がうかがわれる話である。

 今、マスクの売買にかかるトラブルのピークは、新型インフルエンザのピークから少し遅れ、いま迎えているところといえる。これを教訓に、他の商品でも今後同様の混乱がおきないよう願うばかりである。