第七十二話: 携帯端末取引のリスク

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第七十二話: 携帯端末取引のリスク

 相 談 内 容

 今年の4月上旬にオークションにて携帯電話端末新品(白ロム)を41,000円で購入。
 今月6月中旬まで正常に機能していたのだが、突然音声通話機能がストップしてしまった。
 携帯電話会社に問い合わせたところ、携帯電話本体の代金(割賦販売代金)が支払われていないために、通話機能がロックされた可能性が高いとのことだった。今後については徐々に他の機能についてもロックされていくとのことである。

 早速出品者に連絡を取ったのだが、出品者側は以下の内容を送って来た。

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当携帯電話の持ち主は現在、佐賀県の警察署に拘留されているとのことです。
どういう状況か全く把握できておらず、今後についても分かりません。
同時期に出品した携帯すべての同様の事案がおきており、当方も対応に苦慮しております。

当方に持ち込んできた方にはこのようなことが起きたことは伝えてありますが、所有者自体に伝わっているかどうかは不明です。当方も第三者となる為、どうすることもできません。

本人が警察署から出てきてからの対応となります。
ご了承ください。
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その後、出品者は『商品の返却すれば1万円を支払う』と言っている。
41,000円という高額での落札だったので、たった2ヶ月ちょっとの使用で、1万円の返金ではこちらも納得がいかない。
また、出品者は今回のオークション取引は『落札者と出品者側に持ち込んできた人(事実上の携帯電話の持ち主)の取引』だと主張し、私は第三者なので、状況が良く分からないし、代金の返却はできないと言っているのだが、私は誰に補償を求めればよいのだろうか。
出品者と取引をしたのに、第三者だからどうすることもできないという無責任な対応は許せない。

 処 理 概 要 及び 解 説

  携帯電話会社においては、携帯電話端末を2年の割賦払いで購入すると、基本料金が下がるというコースを提供している。
 最近、携帯電話端末をオークション等にて取引し、その後、しばらく使用できていたが、突然使用できなくなるというトラブルが発生している。調査すると、端末の元の購入者が、実は端末を割賦払い(2年間)で購入しており、その割賦金を支払わないため、通話サービスも停止されてしまうということである。
 しかし、通話が出来なくなったことを知るのは、オークション取引からかなり時間が経過していることもあり、既に取引相手とは連絡不能に陥っているケースもある。

 このようなトラブルが多く発生するためか、オークションサイトでは携帯端末の出品については、かなり神経を尖らせているようで、不正に取得された携帯端末により、やはり途中で携帯電話会社から通話が止められるといったトラブルを防ぐため、新機種については一定期間出品できないと定めているところもある。

 このケースでは、取引相手である出品者は、代理出品であることを理由にあくまで第三者であると主張しているようだったが、それは責任逃れであり、オークション上で売買の取引した相手はあくまで今回の出品者であることを考えれば、先ずはこの出品者が売買の契約解除に応じ、その後、出品者が代理出品を依頼したという人と交渉する流れになろうことかと思われる。現実的には今まで使用できた分程度を返金額より清算し、商品はそのまま出品者に返還することになろうかと思われる。

 ただ、出品者の回答の中の警察の話が本当であるならば、もともとの売主は不正な手段で携帯端末を入手していた可能性がある。そのような端末だと知っておれば、当然取引はしないと考えることから、本来は返品返金の流れが望ましい。
それで解決せず、最終的に端末を継続して利用したいならば、自ら割賦未払い金を納めてそれが可能であるのかどうか、携帯電話会社に改めて個別に相談するしかないだろう。