第七十八話: 占いサイトの実態

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第七十八話: 占いサイトの実態

 相 談 内 容

 (1)
 第1段階でTの占いサイトへ無料で占いをしてもらい、メールで返事をもらった。
 第2段階で幸運と金運に関する日付入りの星占い、これを9800円で買った。決済はカード。今後12か月分のアドバイスが書かれた内容が送られてきた。
 第3段階で幸運とお金を運ぶ崇高なるテレパシーの儀式、これを48800円で買った。内容はTと8回のテレパシーセッションを交わすことで、その日にちも時間もこちらが指定することができた。第1回目はメールで事前連絡が来たが、2回目から連絡が全く来ない。

(2)
 悩みを抱えていた時に、携帯の占いサイトが目に留まり、有名鑑定士がメールで鑑定してくれるというものだった。アクセスしてみたところ登録すると150P無料進呈となっていて、悩んでいた私はわらにもすがる思いで登録して悩みを相談した。
 2回目以降は、1回メールを送信するごとに150Pが必要で、クレジット・銀行振込・電子マネーで支払いが可能というものだった。早速返信があり、悩みを突いてきた内容だったため、ポイントを購入して更に送信、それから返信が来てはこちらがポイントを購入して返信することが続いた。
 登録した直後から、こちらから依頼をしていない他の鑑定士からも毎日何通もメールが送られてきて、人の悩みに付け込む内容だったり、不安をあおるような内容だったりで、その時私のかなり落ち込んでいたため、またポイントを購入して他の鑑定士のメールにも返信してしまった。ですがいくら返信をしても一向に鑑定しない鑑定士もいて、鑑定が終了しても同じ鑑定士からまた新たなメールが届き、また不安をあおったり良いことが起こる等のメールが次々と届き、気付いた時には鑑定料を30万以上もつぎ込んでしまっていた。それでもどうにか状況を改善したい、その気持ちから続けてしまい、今では50万くらいになってしまい、状況は良くなるどころか最悪な結果となった。

(3)
 専属占い師が占術ごとに何人かずつおり、占い師を選んでメールで鑑定を依頼する。最初は1回分の無料チケットがもらえるが、その後はメール1通を送信するために1575円のチケットを購入するシステムになっている。会員は個人情報をサイト上で登録する。鑑定依頼をしたにも関わらず24時間以内に返答が無い場合、チケットの返却ができる。

 すると、先ず、依頼していないNo.1人気占い師が個人情報を勝手に閲覧し、自分に鑑定依頼をするよう要求するメッセージを送信してくる。また、チケット購入を促すメールが頻繁に送られてくる。そして、チケット購入して鑑定依頼をしても、鑑定しない。(24時間返答が無い)などの状態が続き不審である。

 処 理 概 要 

 (1)
 ページを確認すると、当該サイトはA LIMITEDという香港の事業者が運営していた。もしメールで全く連絡が取れない状況の場合は、事業者へは直接電話連絡を取ってみるよう伝えた。
 しかし、それでも交渉が上手くいかなかったり電話が通じない、サービスが提供されないという状況であれば、すぐに決済を行ったクレジットカード会社(若しくは決済代行会社)に連絡し、事情を説明して調査依頼と、請求のストップ、若しくは返金手続きが可能かどうか相談してみるよう伝えた。

 相談者がカード会社に相談したところ、決済代行会社が支払うよういってきているとのことだった。 実際にサイトとは連絡不能状態で、尚且つ約束のサービスがサイトから提供されないのであれば、その分の支払いには納得できない旨、再度カード会社、及び決済代行会社に伝えるよう話した。
すると、相談者より、香港の事務所に電話を入れたところやっとつかまり、また、決済代行会社から返事がきて、今、返金の手続きに入っているとのことだった。

(2)
 サイトの利用料に関しては、クレジットカード(決済代行)、銀行振込、電子マネーにてポイント等を購入し、利用しているものと見受けられた。
 これら、サイトや決済事業者に対しては、もちろん、ポイントを支払ったにもかかわらずサービスが提供されない場合は返金を求めることが可能と考えられる。一方、例えば「鑑定1件に付き○ポイント」というように、そのポイントに応じ、約束通りのサービスをサイト側が提供しているようであれば、基本的にはそのサービスに対する支払い義務は発生すると思われるが、ただ、実在すると謳う占い師が実在しなかったり、サイトによる不正な行為の結果、多量のポイント購入に至ってしまったということであれば、サイトや各決済事業者を巻き込んでの返金交渉になると伝え、その具体的方法についてもアドバイスした。

 すると相談者は、返金については既に諦めているとのことで、このようなサイトの閉鎖や取締りを希望したため、その場合は最寄の警察署に相談するよう伝えた。

(3)
 サイトの規約に以下の記載があった。
『会員登録されますとサービスの一環といたしまして、占い師の先生が生年月日や出生地等、あなたのプロフィールから無料で鑑定を行っていただいた鑑定結果やサイトからイベント等のご案内をご登録のアドレスに不定期で配信させていただいております。メールが届くと困るという方はご登録を見合わせていただけますようお願い申し上げます』

 相談者は、依頼した占い師以外からも次々メールが届くことに不信感をもっていたが、このような記載が規約にあることから、登録すると、登録ユーザには、占い結果のほかに多々メールが届くものと見受けられた。
 依頼した占い師とは別の占い師から鑑定依頼のメールが届いたという点に関しては、あくまで同じサイト運営会社所属の占い師からのものであれば、当該サイトが事業者として表示するプライバシーポリシーに反する利用を行っていない限りは、それを違反行為であると一概に断言することは難しいが、ただ、最近は占いサイトと称してアドレス等の情報を取り、実際は別のサイトにその情報を流用したり、知らない出会い系サイトなどからメールが届くようなトラブルも多々発生しているようであり、また、全く別サイトから承諾なく届く広告メールは違法であると伝えた上で、不審に思ったサイトの利用は今後控えるよう伝えた。

 解 説

 ネット上には、多数の占いサイトが存在しており、ケータイサイトが多いのではないかと思われる。もちろん信頼性の高いサイトも存在していると思われるが、中には怪しいサイトも存在する。
 占いサイトにおいては、登録時にニックネームや生年月日、メールアドレスなどを登録するが、中には占いサイトは見せかけだけで、実際は出会い系サイトなどの「提携サイト」にそれら情報が同時登録され、その後は出会い系サイトからのメールが次々届くようになるケースもある。PCの場合は複数のアドレスを使い分けられるが、ケータイの場合は複数のアドレスを所有する人も少ないだろう。

 また、これら有料サービスの決済に、クレジットカード等が利用可能になっているため、被害額が高額になるケースも多い。(2)のケースのように、占いサイトを利用する時、精神的に弱くなっていると、そこに漬け込まれやすい。弱いところに漬け込んでくるのは悪質業者の手口の典型であり、結局、もっと不幸になるのである。そんな弱っているときこそ注意して、怪しいサイトには自ら近づかない、一方的に届くメールは受信拒否するか無視する勇気が必要なのかもしれない。