第八十一話: キャリア課金と公式サイト

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第八十一話: キャリア課金と公式サイト

 相 談 内 容

 携帯のショッピングサイトで服を購入したのだが、三ヶ所の不良あったので、カスタマーセンターに荷物が届いた当日に返金のお願いのメールをしたが、何日経っても返信がない。

 104で電話番号検索もしたが登録されてないとの事で、泣き寝入りするしかないのだろうか?

 処 理 概 要 及び 解 説

  不良品に際し事業者から問合せに対するメールの返事がない状況とのことだった。
 サイトを確認すると、不良品が届いた場合、「商品受領後3日以内に商品に同梱されている納品書の問合せアドレスよりカスタマーセンターに連絡を行い、手続きを進めた場合に限り返品が可能です」との記載があった。

 ただ、連絡はメールであり、その連絡に対する返事が無いとのことであるため、更にサイト上の表記を確認したところ、当該サイト事業者は通信販売事業者として法律(特定商取引法)上の表示義務事項である、電話番号の記載が確認できなかった。
たぶん相談者も直接連絡が取れる電話番号を探し、記載がないから104に問合せしたのだと思われた。
 この点は違法行為ではあるが、物理的に電話連絡が取れないのであれば、先ずは引き続きメールを送信する、事業者所在地に配達証明郵便にて、回答期日を定めた書面により連絡を取ってみることを勧めた。

 さて、この取引の決済方法は「キャリア課金」であった。
 キャリア課金とは、いわゆる携帯電話会社が提携する公式サイトにおける購入代金やサービス料金の支払いを、月に1度明細が届く携帯電話料金とともに支払う方法である。
 キャリア課金については、現在、物販かサービスの利用料か、また、支払い上限額や暗証番号の有無など、携帯電話会社によってサービス内容が異なっている。携帯端末さえあれば決済が可能となっていることから、未成年者がゲーム等を利用し、ほしいアイテムを次々購入することにより、親のところに高額な請求が届くというトラブルも発生している。

 そこで、相談のケースでは、サイトと連絡が取れなければ、公式サイトとして認定し代金を回収代行している携帯電話会社の窓口にも併せて相談し、特に法律上記載が義務付けられている電話番号の記載がないこと、それにより連絡が取れないことなどを伝え、連絡をとる方法や、対処方法について相談してみることも考えられる。

 ただ、これらケースで疑問なのは、公式サイトとして認定するのに際し、特定商取引法の順守は判断基準にはなっていないかもしれないという点である。その場合、携帯電話会社は、あくまで集金代行であり無関係であるという主張は通りにくいとも思われ、このような公式サイトの連絡不能によるトラブルが発生した場合は、携帯電話会社によるある程度の対応を期待したい。