第九十話:ドロップシッピング内職のその後

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第九十話:ドロップシッピング内職のその後

 相 談 内 容

 ドロップシッピングにてネットショップを開店したが、今年5月頃からその事業者Sと音信不通である。それまでは少しだがゲーム機などが売れていた。契約は2010年10月までとなっている。その後、テレビのニュースでSが警察の捜索を受けたことを知った。

 問題は現在も自分のドロップシッピングのショップがネット上に存在することである。自分が責任者なので、サイト上に住所・名前・電話番号の表示義務があるため掲載されている。
 ネット上から自分のショップを抹消したいのだが、方法がわからず困っている。

 処 理 概 要 及び 解 説

  「月30万円稼げる」といううたい文句で、ドロップシッピング業者と高額なホームページ開設やシステム費用を支払い、実際は広告ほど売れないというトラブルがこれまでも多く発生しており、そのうち何件か消費者庁や都道府県が特定商取引法違反で行政処分を下している。
 行政処分等を受けると、一定期間、その事業者は新規契約が取れないため、最終的に連絡不能に陥るドロップシッピング業者も現在いくつか出てきている。連絡不能に陥ると、支払済み代金の回収はきわめて難しくなる。

 そして、各契約者が事業者のシステムを利用してドロップシッピングサイトを既に公開済みの場合、そのドロップシッピングサイトがネット上に公開されたまま、ドロップシッピング事業者と連絡が取れずサイトが開設されたままの状況が続くという二次的な問題が起こっている。

 実は、ドロップシッピングサイトを開設した契約者は、通信販売業者として特定商取引法による契約者の連絡先や氏名等の表示がされたままの状態で放置されているため、既に販売できない状態の契約者は、ネット上から自分のドロップシッピングサイトの削除を希望するが、事業者と連絡不能のため、どうしたらよいのかがわからないということになる。
 また、広告については既に削除されていることもあり、実際サイト上で買い物がされることはないのだが、特定商取引法のページだけは削除されていないという状態もある。

 その場合、サイトごと削除するにはどうしたらよいのだろうか。

 先ず、事業者から送られてきているメール等を確認し、開設した自サイトのサーバに直接アクセス出来るIDやパスワードが付与されているかどうか、または管理画面(コントロールパネル等)があるかどうかを確認する。
 また、データが格納されているサーバに対し、自分のPCをクライアントとしてデータを転送するためのパスワード等を事前に付与されている場合は、ネット上で無料で配布されているFTP転送ソフトやホームページ作成ソフト等を利用して設定を行い、サーバ上のデータを手元のPCにて全て削除することが可能と思われる。

 ただ、既に知らされているコントロールパネルにはアクセス不可であったり、IDをもらっていない契約者も多い。
 その場合は、自分のサイトのドメイン情報を調べる必要がある。「WHOIS」検索をかけ(この場合、ドメイン末尾は.comが多いようなので、.comが検索できるWHOISサイト)、ドメイン取得やサーバ管理に利用しているホスティング業者やサーバ管理会社、若しくはドメイン取得業者を確認して、それらドメイン管理会社等に直接連絡を取り、削除方法についてたずねるという方法も考えられる。
 これらドロップシッピング事業者が利用していたホスティング業者やサーバ管理会社、若しくはドメイン取得業者を調べると、いずれも激安を広告している会社であることが多い。

 ただ問題は、それらホスティング業者等については、ドロップシッピング契約者とは直接の契約関係にないので、果たしてどこまで対応が期待できるかという点である。直接の契約関係にないドロップシッピング契約者がドメインの有効期限内に削除を要請しても、直接の契約関係にあるドロップシッピング事業者を無視して削除に応じるかどうかという問題がある。

 ただ、最終的にこれら方法にて削除できなくても、取得したドメインには有効期限があるので、有効期限を過ぎてもドロップシッピング事業者が更新費用を支払わなければ、そのうち消えるとも思われる。

 相談の時点で実害が発生しているかどうかも考慮し、出来るところを検討することになるが、この相談ではドメインの有効期限が近いので、そのまま放置しておいてもほとんど実害は無いと思われる。