第九十三話:詐欺の手口と送金手段

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第九十三話:詐欺の手口と送金手段

 相 談 内 容

 MySpaceの私のメッセージ受信boxに「congratulation」と書かれたメッセージがTom Anderson(Myspace のcofounder)から来た。
 そこには、私がmyspace lottery に当選したと書かれていた。私はlotteryを購入した記憶もないし、何かに応募した覚えもないが、そのメールには、詳しいことを伝えるからJohn Huston に連絡をするようにと書かれていた。

 そのため、私は彼にメールをしたら、住所や名前、電話番号を記入するverification formというものがメールで送られて来た。それを記入して返信したところ、今度はElena Marks というdisbursement agent の人に連絡をするようにと言われた。

 その中には、賞金をUPSという会社を通して送るので、その配送料、保険料をpay before service で送るようにと言われた。そこに提示されていた金額の支払い方法は、western union という国際送金の会社を使って指定した人に送金してくれと言われた。相手は私に、送金の確認が取れてから48時間以内に配送するとのことだった。
 私は疑いを持たずに送金してしまったが、私が送金してからすぐに賞金の金額が上がったと連絡が来て、金額が上がった為に、配送料、手数料も上がると言われた。

 このやりとりが何回か続いて、結局、私は総額170万円近く支払い、最終的に上がった額は1万ドルとなった。そしてその賞金を日本の私の銀行口座でなく、新しく国際銀行の口座を開いてそこに振り込むと言われ、FIRST OFFSHORE BANKという銀行のインターネットバンキングの口座を開設した。

 私が開いた口座には私が得た1万ドルの記載がされていた。しかし、そのお金を日本の銀行口座に送金するためにはさらに手数料がかかると言われ、私は提示された金額が大きすぎるのと、あまりにも賞金が上がることに違和感を覚えた。家族に相談したところ、これは詐欺ではないかと言われた。
 今、私がお金を振り込んでいない為、FIRST OFFSHORE BANK のマネージャーと名乗る人、Elena Marksからメールと電話が毎日のように来る。
 これは詐欺だろうか。今使用している電話番号やメールアドレスは変更しても大丈夫だろうか。

 処 理 概 要 及び 解 説

 そもそも申し込まないクジに当たることはなく、結論から言えば、詐欺の可能性が極めて高いと思われる。
 相手からは、毎日のように連絡が来ているとのことだったが、相手はこの相談者を騙して多額のお金を引き出すことに成功したため、更に金を引き出させるための努力をしているものと見受けられるが、逆に言うと未だ相手と連絡が取れる状況のため、今使用している電話番号やメールアドレスの変更は、警察や金融機関へ先ずは相談した上で改めて判断したほうが良いと伝えた。

 その後、相談者は警察に被害届を出したとのことだが、やはり相手側が海外とのことで、こちら側からなにかをするということは難しいと言われたということだった。法律相談を受けたところ、やはり電話番号、メールアドレスを変える事が1番ベストな方法だと言われたということであった。
 相談者は、住所も知られていて、連絡をよこす相手におびえているようであったが、今後は連絡が来ても相手にしないで様子を見るという方法もあると伝えた。

 なお、このケース、相談者が相手に送金する時はwestern unionを利用していたが、相手からの賞金受取用としては、別途、国際銀行の口座を開設している。ただ、オフショア海外銀行の口座を開設するのは、現在、マネーロンダリングなどの悪用を避けるため非常に厳しいらしく、特に日本人の口座開設は難しいとのことである。
 この相談者が、そうそう簡単に国際銀行の口座を開けるようには思えなかったため、賞金受取用の、FIRST OFFSHORE BANK という話自体が、かなり怪しいように思われる。
 国際詐欺の手口も日々進化していくのであろうが、最近はいろいろな決済手段、送金手段も進化しているため、それらを悪用した手口が今後も出てくることが予想される。注意していきたい。