第九十四話:たばこの個人輸入

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第九十四話:たばこの個人輸入

 相 談 内 容

(1)
 たばこの個人輸入代行サイトにたばこを頼み、はじめ頼んだものは届いたが、2回目の注文分は配送で手間取っているという理由で届かず、3回目に頼んだ注文分は自分の間違いで以前の振込み先に振り込んでしまったため「お金返してください」とメールしたが、どちらも返信がなくなった。前は電話連絡できたのだが、今は電話番号が記載されておらず、メールのみで困っている。

(2)
 たばこの個人輸入のサイトから注文、20,700円先払いした。海外より荷物が届いたので開封したらなぜか菓子しか入っていなかった。サイトとのやり取りはメールのみで、連絡が取れない。

 処 理 概 要 及び 解 説

  たばこは、2010年10月1日から税率が引き上げられたことによる値上げなどにより、海外から個人輸入で安価に入手しようとする利用者が出てきているが、今回の震災によるたばこ生産調整による品不足により、しばらくたばこの個人輸入の需要が増えることが予想される。
 そして、ネット上には海外で販売されているたばこの個人輸入代行を行うサイトがいくつか存在しているが、事例のようなトラブルも寄せられている。
 サイト自体は日本国内にあるが(事例のケースはいずれも福岡市内)、輸入先は韓国やアメリカである。

 税関のサイトでは、たばこの関税に関して『入国者が個人使用として携帯または別送して輸入する場合で一定の免税数量を超えるものについては、関税等が課されることとなります』とあり、その関税率等が記載されている。
 www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/kojin/3103_jr.htm

 サイトはあくまで個人輸入代行のため関税は注文者の自己責任で支払うよう、またその理由での返金には応じない旨、予め記載されているところもあるが、一方で、税関で全ての荷物がチェックされるとは限らないとして、万一関税が生じた際に希望があれば再配送や返金を受け付けるという保証をつけているところもある。
 (1)の事例は前者で、(2)の事例は後者の説明があった。

 (2)のように保証のあるサイトは一見親切に見えるが、これは海外からの配送時、荷物に「菓子」と表記されていることがあるようである。たばこと一緒に菓子を同封して菓子として税関を抜けようという手口である。バレれば違法行為になりかねないので、このようなサイトの利用はかえってリスクが高いかもしれない。
 この(2)のケースは、恐らく故意か過失かは不明だが、いつも同梱する菓子だけが送られてきたのだろう。なお、もちろんであるが、サイト上ではたばこと菓子が一緒に送られてくる旨の説明は一切されていない。

 ただ、どちらも電話番号が記載されておらず、メール連絡が取れないとなると実務的な交渉が極めて難しくなる。ネットでたばこの個人輸入代行サイトを調べる限りでは、電話番号は記載されていないところが多いようである。購入側も個人輸入を安易に考えず、充分注意して欲しいと思う。