第九十六話:放射線関連グッズの取引

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第九十六話:放射線関連グッズの取引

 相 談 内 容

(1)
 ネットで放射性物質を除去するというプレミアムゼオライドを注文し、2日後に8,000円を振り込んだが、事業者と連絡がつかなくなった。電話も通じない。

(2)
 オークションにて、放射線測定器ガイガーカウンターを3点落札し、合計14,9400円を振り込んだ。入金に1週間ほどかかるといわれ不安になったが、品薄商品なので待っていた。8日後に、「予定通り発送が進めば来週中には発送できる」との返答だったが、その2日後に「納期が未定となった」とメールが送られてきた。

 納期未定の理由として、今回出品者が商品調達のため利用したのが、オークションを中心とした海外(アメリカ・ロシア・中国)とショッピングサイトであり、注文したものの、向こうから突然のキャンセルや納期未定との回答で商品が入らなくなったためということだった。知り合いに頼んで海外サイトから購入したとのことだったが、調達している量は明確にはわからないが100は超える模様で、一部商品を送ってはいるようだが、資金がないため、返金には応じないという。

 その後、落札者側からの提案では一旦半額の返金、納品後返金分を支払いとのことだったが、債務不履行のため落札者に対し全額返金を求めたい。

(3)
 ガイガーカウンター(放射線測定器)を購入したく、インターネット上で探していると、測定器専門の販売サイトに辿り着き、そこで4月21日に、TERRA MKS-05を115000円で申込の手続きを進めた。確認画面も出て、注文ありがとうございましたという自動メールが届いた。

 しかしよくよくサイトを確認すると、返品、交換、解約ができないことが記載されており、特定商取引のページには業者の電話番号が無く、住所は記載されているが、業者のいるフロアーが何階なのか記載されていない。
 代金はまだ支払っていないが、商品に関して(保証期間、日本語訳があるかなど)2度問い合わせを行っても無回答である。

 商品に関しての問い合わせもできない状態という点と、商品の価格が高額で、振り込んだはいいが、商品が届かないのではないかという点で不審に思い、できれば購入をキャンセルしたい。

 処 理 概 要 及び 解 説

 (1)のプレミアムゼオライドは、米国の健康食品の1つで、主にイオンを吸着する特質によりデトックス効果があると謳われてきたものであるが、同様に放射性物質も体外に出すと謳い、体内被曝に効果があるとして、東日本大震災以降、しばらくネット上で販売されていたものである。
 警視庁は4月5日に、「これを飲めば放射性物質を吸着し、約6時間で排せつする。臨床データもある」といってプレミアムゼオライドを販売していた健康食品販売会社社長と従業員を薬事法違反で逮捕している。医学的、科学的根拠は確認されていないという。この販売会社ではアフィリエイトも手がけており、アフィリエイターは広告を停止している。

 また、東京都福祉保健局健康安全部健康安全課食品医薬品情報係では、「原発事故に便乗し、医薬品でないにもかかわらず、放射線被ばくの予防や治療を標ぼうする健康食品には、ご注意ください」と注意喚起している。

・「放射線被ばくの予防や治療」効果を標ぼうする健康食品に注意!
www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/supply/hibaku.html

 (2)(3)は、放射線測定器の取引に関するトラブルである。目的はさまざまであろうが、このような放射線測定器も市場では品薄状態だという。
 普段縁のない人でも、ネットでちょっと調べては、そのまま関連商品を手にできるところがECの良い点だと思われ、ましてや毎日毎日原発のニュースや放射線物質漏れのニュースを聞かされれば逸る気持ちも理解できるが、このような測定器関連は定期的なチェックやメンテナンスが必要であったり、海外製品も多く、商品の中には日本語の説明書が付属しなかったり粗悪品の可能性もあり、また、初期不良があっても故障しても修理やメンテナンスが受けられない、保証がない可能性もある。また、通常価格よりかなり高額で販売されている可能性もある。

 機器とは言っても、メジャーなブランドの音楽プレーヤーを買うのとはリスクが大分異なるのだから、買う側もそこまで本当にそれが必要であるのかどうか、通常の取引以上に、取引前には注意深く考える必要があると思われる。