第九十七話:ソーシャルアプリゲームにて

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第九十七話:ソーシャルアプリゲームにて

 相 談 内 容

(1)
 SNSの「K」というアプリゲームで、体力が全回復するアイテムを21時〜24時限定セールで一枚50ポイント(1ポイント1円換算)を30ポイントで一人20枚までのセールをやっていて、私は20枚購入した。しかしアプリ内のクローゼットに購入分の全回復アイテムは増えてなかった。
 21時30分頃に全回復アイテムセールと書いてある表示の下に「効果は直ぐに出るよ」と追加記載されており、買った時はそのような記載は一切無かったので、アプリ提供会社に問い合わせをしたところ、「最初からそのように記載していたので、返金及び商品の補填はしない」との返答があった。でもこのアプリにはコミュニティがあり、私と同じく、最初はそのような記載が無く全回復アイテムを購入したという被害者が何人もいて、同じく問い合わせをしたところ、やはり同じ返答だったそうである。
 百歩譲って最初から「直ぐに効果が出る」と記載されていたとして、一枚購入した時点で体力は全回復している状態で全回復アイテムが複数枚購入できる設定自体おかしいし、購入後直ぐに効果が出ないでクローゼットに全回復アイテムが入っている形態にしたりと、統一性がなく、こちらは恐々購入しているし被害者も沢山いる。

 この会社は以前にも、何度もアバターのドレスセールや全回復アイテムのセールをやっているが、毎回セールの金額だと思って購入画面にいくと、全くセール後の金額ではなく、セール前の金額のままで、セール後の金額だと思って確認しないで購入してしまった被害者が大勢いたこともある。
 また公式ファンブックが書店やコンビニで売っているが、そのファンブックを購入した人限定のアバターがもらえるシリアルナンバーがあり、購入後に「K」のサイト内でシリアルナンバーを入れても、貰える筈のアイテムがすべて貰えない問題が起こって、問い合わせしても「現在調査中」や「無視」をして、それ以降何も補填や返答をしないで、うやむやにして、被害者の方々の多くは泣き寝入りしている状態である。

(2)
 SNS上のゲーム「N」にて、5000円でアイテムの入ったガチャガチャを購入した。しかし、ガチャガチャを回しても「不正な決済が行われました」と表示され、購入出来なかった。
 その後、確認のために何回か購入したが、すべて「不正な決済が行われました」と表示され、購入する事が出来なかった。ただ、その時点では5000円分の減少はなかった。
 しかし、そのゲームのホームに戻ると大量のプレゼントがあり、中身を確認するとガチャガチャの中身だったため、先ほど購入した分のプレゼントだと思った私は、そのプレゼントを受け取った。

 その後、その現象はKの運営会社側の不具合であった事がK上で発表された。そして突然アカウント停止になってしまった。
 その時のKからの文章では「手に入れたアイテムを他のプレイヤーと取引をしたり、プレゼントをし、他のプレイヤーのゲームの進行に影響を及ぼした利用者はアカウント停止になる場合があります」というような告知だったが、私は手に入れたアイテムを他の方を取引したり、プレゼントしたりはしておらず、なぜアカウント停止になったのか理解が出来ない。
 何度もK運営会社に問い合わせをしているが、「現在調査中」の一点張りで一向に事が進む気配がなく、アカウント停止になった理由も明記されない。

(3)
 SNS内のSというゲームで、課金してアイテムカード等の購入をするのだが、運営会社から事前告知も無くいきなりステータス(攻撃力が1000→500)を下げられ、今までの課金を無効にされた。
 ゲーム上では20人でチームを作っており、チームのみんなは月に大体5万〜10万円つぎ込んでおり、私は月に18万円もつぎ込んで自分のステータスを上げてきている。ゲーム上ではかなり上位のチームとしてこれまで楽しんできていたのである。

 処 理 概 要 及び 解 説

 アプリとは、ネット上で動かせるアプリケーションのことで、プラットフォームを開放することで、第三者が独自のアプリを開発、提供できるようになっているが、その中で、SNSのプラットフォームを利用してSNSの交友関係をそのまま利用してゲームや占いなどを楽しめるアプリをソーシャルアプリと呼んでいる。

 各アプリやゲームの開発や提供は外部運営会社のため、複数のSNS上で同じ名前のアプリやゲームが存在している。SNSの登録は大体無料だが、ソーシャルアプリのほとんどは有料アイテムが用意されており、課金先はSNSサイトとなる。
 課金に関する問題では、ケータイにて未成年者が使い込んで問題になったこともあり、今回改訂された「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」においては、未成年者が利用したコンテンツの契約を取り消すことが出来るかどうか、その解説がなされている。

 最近のオンラインゲーム関連の相談においても、このソーシャルアプリゲームに関する相談がだんだん出始めてきている。もちろん、これらはいい年?した大人からの相談だが、実際に課金して楽しんでいるユーザからのものが多く、SNSへの課金に対する苦情というよりも、ゲーム上のバグや不具合に対する補償がなされない、理不尽な対応やアカウント停止などに関する内容が多く、また外部のゲーム運営会社の対応がなされないという不満も多い。

 ゲーム運営会社は、もともとゲームを開発するほうが専業とも考えられ、SNS事業者と異なり小規模事業者も多いと考えられることから、もともと直接のユーザ対応になれていないことも想像され、何を問い合わせても「調査中」というテンプレートしか返ってこないという嘆きも聞く。

 オンライン上のサービスである以上、不具合が発生することは致し方ないのだが、ユーザはそれを責めるというよりも、不具合が発生した時のゲーム運営会社の対応があまりにもお粗末であることを嘆いている。小規模事業者の場合、なかなか完璧な対応は難しいのかもしれないが、嵐が過ぎるのを目をつぶって我慢しているのではなく、SNS会社などによる何らかのバックアップやガイドライン的なものの作成なども含め、ゲーム運営会社がきちんとしたユーザ対応が出来るような道すじは何かないのだろうか。