第九十九話:最近のワンクリ

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第九十九話:最近のワンクリ

 相 談 内 容

 (1)
 多分ワンクリック詐欺だと思うのだが、最初無料動画というコンテンツをクリックし、次に現れたTOPベージの右上に小さく定額制の有料サイトと書いてあったことに後に気付いた。
 内容はワンクリック詐欺の手口同様で、「私は20歳以上で利用規約に同意し動画再生ページに進む」と「私は20歳以上で業務上のパソコンではない」をチェックし次に進んだ。すると女性の画像がいくつかあり、興味本位でクリックしダウンロード画面になり実行をクリックすると突然「有料アダルトサイトの登録が完了いたしました」というメッセージが現れ支払い期限3日以内に70,000円と与えられたID番号が記載されていた。
 後に確認したが、ご利用規約に料金体系は定額制で利用料金70,000円と書かれていた。

 それともう1つ悩んでいるのが、上記にもある「有料アダルトサイトの登録完了致しました」という通知と女性の写真画像が約5分起きにパソコン上に現れる。これは最初に、業務上のパソコンでは無いという事の確認だったと後に気付いたが、これが常に表示されるので、仕事上非常に困っている。
入金後に削除されると記載されているがどうしたら良いか悩んでいる。他に削除の方法は無いだろうか?

(2)
 リンクを通してアダルトサイトに入ってしまい、メッセージをクリックしているうちに会員登録がされてしまい、料金(90日間の固定制・通常79,000円、2日以内に支払えば59,000円、90日後には自動的に退会処理されると記載等あり)が発生している旨の貼りつき画面が表示された。
 画面を消すためには、クレジットカードで代金を支払えば消える旨があったので、焦ってクレジットカードで決済処理をしたところ、デスクトップ画面から、そのアイコンは消えた。
 その後、インターネットで調べているうちに、このサイトは、ワンクリック詐欺ではないかと思い、クレジットカード会社へ連絡し、支払をとめてくれるよう伝えた。また、本当に、貼りつきファイルが消えたのか不安である

(3)
 スマートフォン(Android)でアダルトサイトの画面上をクリックしたら、請求画面が貼り付いた。「システムの復元」で解決できるのだろうか。

 処 理 概 要 及び 解 説

 広告メールによる誘導やネットサーフィンでたどり着いたサイト上で、画像や入り口をクリックすると、最後まで有料サイトであることを明示しないまま、いきなり画面上に「登録されました」という表示がなされ、料金を指定口座に振り込むよう指示されるといった手口である。
 ワンクリック詐欺に関する相談は、一時期より大幅に減少したが、実は最近また増え始めの傾向にある。

 当方ではなるべくワンクリサイトを確認するようにしているが、最近はトップページに「90日間見放題69,000円」を大きく記載されていることも良くあり、契約に関しては、サイト構成を確認せずに、簡単に「契約不成立」「契約無効」と断定しないほうが良いかもしれないケースもある。
 (もちろんだからといって払えという話ではないので、払わず様子をみるよう助言するのは同じだが・・)

・『電子商取引及び情報財取引等に関する準則(2011.06改正版)』
 www.meti.go.jp/press/2011/06/20110627001/20110627001-3.pdf
には、「-1-4 ワンクリック請求と契約の履行義務」として記載がされている。

 最近多いのが、(1)のようなワンクリック請求画面が消えないという問題である。これは、動画ファイルと称して不正なプログラムをインストールした可能性が高いため、対処方法は不正プログラムの削除をすることが必要で、その場合、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のサイト上で紹介されている「システムの復元」を紹介することが多い。
  www.ipa.go.jp/security/topics/alert20080909.html
 これはWindowsPCにて、不正プログラムをインストールした前の段階にPCを戻すという方法である。

 その他、導入しているセキュリティソフトのベンダーに相談すると、解決方法の助言とともに、サンプルとして送ってくれるよう依頼されることもある。
 また、地方などで地域密着型の販売店がある場合、販売店のサポートなどに相談し手対応してもらえることもある。
 最終的には必要なファイルを保管した上で、ハードディスクの初期化、その後にOSから再インストールすることで確実に消える。

 さて、更に最近の傾向では、(2)のケースのように、貼り付いた画面を削除するために支払いを誘導するケースで、その支払いにクレジットカード決済が出来るものがある。
 支払ってしまった場合、カード会社や決済代行会社との交渉が不可欠となる。
 また、貼り付き画面と削除するサービスを有料で提供している事業者もネット上にいくつか存在しており、その中には高額な請求をする割に内容がお粗末なケースもあるようだ。

 更に(3)のように、とうとうスマートフォン用の貼り付き画面が登場したようである。
 スマートフォンAndroid端末はWindowsPCではないので、IPAの「システムの復元」が有効とはいえないだろう。
 実は、Ipadで請求画面が貼り付いたという報告例も当方には有り、この場合は、3G契約をソフトバンクと行っていたため、店頭でリセット対応してもらったということである。
 従って、スマートフォンやタブレットで請求画面が貼り付いた場合は、先ずは通信会社の店頭でリセット対応となるかもしれない。ダウンロードしたアプリがある場合は、その対応方法も検討する必要がある。

 たかがワンクリと思いつつも、ワンクリは進化しているのである。「無視して放っておけ」という助言だけですんだ時代は、もう過去となりつつある。