第百一話:オンラインゲーム(ゲーム終了時期)

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第百一話:オンラインゲーム(ゲーム終了時期)

 相 談 内 容

(1)
 SNS上のソーシャルアプリでレストランを作るゲーム。
2月下旬になって、あと1ヵ月でこのアプリが終了するとの通知があった。この通知直前にもバレンタインデーやホワイトデーイベントなどを開催し、課金を促していたのに、突然ゲーム終了とは納得できない。
 これまでも有料ガチャでアイテムを取得してきており、突然の終了宣言までの間に回したガチャの数は恐らく金額にして万単位である。
一応、アプリの運営会社が、SNS上ではなく直営で同じアプリを展開しており、ガチャで回したアイテムをそちらの続行するアプリに移動させて欲しいという旨のメールを送ったが、回答は『特別な還元キャンペーンを開催させていただきます』という内容のみ。
その後、一部のアイテムは移動できるといわれたが、それは所有アイテム全体のうちの10%程度にしかならない。

(2)
 SNS上で利用していたゲームが3月に入って、急きょゲーム自体が5月中旬に撤退となり、問い合わせをすると、サービスを終了するが、ポイント等の返金は行わないと一方的な返信がきた。納得いかない旨問合わせたが、一切の謝罪もなく、同文が送信されてくるばかりで話にならない。
SNSに問い合わせたところ、ゲーム内でのことには関与しないとの返答。所有していたポイントを返してもらう方法はないか?

(3)
 SNS上で提供されていた競馬ゲーム、騎手と馬を合わせることでレベルアップできる。
 突然、このゲームが、あと1ヵ月で終わるという知らせを受けた。これまでガチャ等で課金してきたのだが、ゲーム会社がゲームをやめる時の基準はあるのか。

 処 理 概 要 及び 解 説

 オンラインゲームの相談がここ半年で増加傾向である。
 増加した理由は、昔から当方に多く寄せられていたMMORPGのほか、SNS上で提供されているような、いわゆるソーシャルアプリによるゲームにかかるトラブルの相談が増えていることによるものである。
 ソーシャルアプリやゲームの開発や提供は、「SNSが直接行うもの」、と「外部運営会社が行うもの」とがあり、特に外部運営会社が提供している場合は、複数のSNS上で同じ名前のソーシャルアプリやゲームが提供されていたり、「運営会社情報」としてゲーム上に連絡先などが表示されている。

 SNSの登録やゲームの利用は無料だが、アプリやゲームの中には有料アイテムや、アイテムを入手するための有料ガチャなどが用意されている。基本的にはSNSサイトが発行する仮想通貨を予め購入し、その仮想通貨で支払う。SNSが発行する仮想通貨は、SNS内のどのアプリやゲームでも共通して使える。
 アプリやゲームによっては、更にそのアプリやゲーム専用のポイントが用意されていることもある。

 現在、当方には消費者や消費生活センターを経由して、さまざまなオンラインゲームの相談が寄せられているが、その内容を少しずつ解説したいと思う。

 先ず今回は、ゲームの終了に関する相談である。
 SNSの中にはたくさんのソーシャルアプリが存在しているところもあるが、運営会社、若しくはSNS側の都合により、やむを得ずサービスや提供を終了するゲームが出てくる。そのため規約等においては、ゲーム終了の可能性について予め免責となっているところが一般的だが、今回の事例のように、その予告期間が、ユーザが納得するには短いという問題が発生してくる。

 これら3つの事例は全て2012年2月から3月にかけて入った相談で、全て別ゲームであるが、大体予告期間は1ヶ月から1ヶ月半程度となっている。
 最近のユーザには、ゲーム展開に必要なアイテムを有料で入手していることも多く、ゲームによっては何十万円、何百万円とかけている。ゲームの課金の傾向については、また別の機会に解説したいと思うが、ユーザはせっかくお金をかけて入手したアイテムが1ヵ月程度で突然無駄になってしまうということに納得することができない。

 もちろん、どのぐらいの告知期間があれば充分なのかは一概には言えないが、ただ、1ヶ月前というのは、正直、かなり短いという印象である。
 ただ、購入した仮想通貨やポイント、アイテム等を例えば現金で返すという方法は現実問題として非常に難しいため、例えば事例(1)の場合のように、希望者に対し、運営会社直轄の同名ゲームに、所有アイテムを一部移行するという方法が考えられる。
 一方、これも全てのアイテムを移行できてしまうと、直轄ゲームをこれまで楽しんできているユーザとの平衡(ゲームバランス)が取れなくなるという問題もあり、また、SNSとの関係上も問題が生じる可能性もなくはない。
 ゲームはどのような終了方法が望ましいか、それも一概には言えないだろうが、ただ、いえることは、やむを得ず終了となる場合は、出来るだけ充分な告知期間を設けるということであろう。