第百三話:オンラインゲーム(オンラインゲーム(ガチャとコンプガチャ))

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第百三話:オンラインゲーム(オンラインゲーム(ガチャとコンプガチャ))

 相 談 内 容

(1)
 無料オンラインゲームサイトとなっているが、アバター(ネット内での自分の分身)のアイテムにおいては有料サービスとなっており、このゲームでは2003年に「ガチャ」という名目で「非売品アバター」(通常サイト内では販売されていない期間限定の物)が発売され、そのうたい文句に「ココでしか手に入らないレアアバター」と宣伝し、100円・200円・500円・1000円と約月1ペースでダイレクトに非売品アバターが手に入る。

 各ガチャには非常に出にくいアイテムが必ず入っており、そのアバター目当てに何百万とガチャをし(複数重複する性質である)、レアアバターを持ちたい、優越感に浸りたいユーザーの心をくすぐり、多い人で月1回発売されるガチャに200万円を投資しても、すべてのアイテムがコンプリートできない状態だった。そのため、希少価値のあるアバターは高価な値が付いている。
 しかも、「ココでしか手に入らないレアアバター」を、今、ゲーム会社が再度「復刻」として3年前のガチャをまた出そうとしており、ココでしか!と思い、何十万、何百万を投資したユーザーの気持ちからすれば、これは「詐欺行為」に当たるのではないだろうか。

(2)
 各種広告を見てゲームサイトに登録したところ、ゲーム内イベントで『8種類の対象アイテムを揃えれば特別なアイテムが獲得できる』とあったので軽い気持ちでガチャをやってみると、7枚まで簡単に揃ったが最後の1枚が幾ら使おうが獲得出来なかった。(最終的に約7万円の使用)その後、色々ネットで調べてみると、数十万円使っても獲得に至らない事もある等の事が分かった。
 高額利用の原因は当初、8種類のアイテムの扱いが同列で有ったために、そこに出現確率差が存在するとは考えていなかったため、数十万円使っても取得できない事があるとは、単なるゲームで考えられなかったからである。返金して欲しい。

(3)
 このゲーム内で課金ガチャというものがあり、一回300円を支払いうことでゲーム内で使用できるカードを手に入れることができるが、カードの種類はランダム。  
 2月1日から始まった課金ガチャで、8種類の決められた課金ガチャ限定カードを揃えると特殊なカードがもらえるサービスが始まり、1〜2万円分ほど課金ガチャを回して8種類のうち7種類まで揃ったが、あと一枚を揃える為に30万円以上課金ガチャを回しても足りない一種類だけが揃わない。
特別その一種類が出にくいなどの記載はなく、不具合の可能性もあるのでサポートにメールをしたところ、返信の内容は「運なので仕方ありません」といった内容の定型文ばかり。  
 意図的に確率をものすごい低確率(実質揃わないような)に絞っているのではないか。

 処 理 概 要 及び 解 説

 今回は、何かと今話題のガチャについて触れたいと思う。
 最近のゲームのアイテム入手方法はガチャ方式が多くなっている。ガチャのみというゲームも多い。ガチャはいわゆるクジのようなもので、何が出るかは事前に分からない。毎日無料で引けるガチャもあるが、レア以上のアイテムはほとんど取得できない。そのため、レア以上の強いアイテムは、例えば1回300円など、引くのにお金がかかる有料ガチャをまわすことで、ランダムに入手できるようになっている。
 
 ただ、ガチャという仕組み自体は、実は最近になって出現したものではなく、(1)のように、10年前にはオンラインゲームに既にあった手法である。このように、当時でもガチャによる高額利用に関する相談は無かったわけではないが、大きな問題になることは無かった。当時はガチャという手法を問題視するというよりも、取得したアイテムの効果などを問題視している内容が多かったと思われる。
 しかし、アイテム取得がガチャ方式のみになり始めたのは、最近のことと認識している。

 また、ガチャが主流となり始めてから更にガチャは進化し、期間限定のイベントなどにおいて「コンプガチャ」と呼ばれるサービスが出現し始めるようになった。
 コンプガチャとは、期間内に有料ガチャをまわして出る特定のアイテムを一定数集め、そのアイテムが全て揃ったときに初めて入手できる超レアなアイテムが用意されているようなシステムのことである。その超レアアイテムを入手するとイベントでほぼ無敵になるため、その超レアアイテム入手を目的に有料ガチャを回し続けると、あっという間に高額利用に繋がるという問題が、主に未成年者による高額利用という切り口から、だんだん問題視されるようになって来た。(2)(3)はコンプガチャによる相談である。

 (2)(3)のように、例えば8個のアイテムをそろえることが条件のコンプガチャにおいて、7種類までは比較的1、2万円で揃うにも関わらず、最後の1種類が何十万円かけても出ないため、出現率を伏せた状態で、このような手法は不当ではないかという苦情が寄せられるようになった。また、この事例のコンプガチャでは、そろえるのが必要なアイテムは仲間同士の交換も許されていないため、超レアアイテムを取得するためのアイテムは、各自が全て有料ガチャをまわしてそろえなければならなくなっている。
 そのため、コンプリート最後の1枚が出ないとなると猜疑心による相談へと変わっていく。

 今回、消費者庁は、このコンプガチャを、いわゆる絵合わせとして景品表示法で禁止している「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、してはならない」に該当する恐れがあると指摘した。
 現在、大手ソーシャルゲーム会社など、プラットフォーム事業者6 社による ソーシャルゲームの利用環境向上等に関する連絡協議会では、2012年5月いっぱいでのコンプガチャ廃止を公表し、自主的にすばやい対応を見せている。また、その他でもコンプガチャ廃止を公表している会社がいくつかある。

 ただ、1回いくらのガチャ自体については、今回消費者庁は特に何も指摘はしていない。引き続き、今後もゲーム上の手法に注意していく必要があり、また、これら自主的な取り組みにより効果をあげるには、ゲーム会社や関連会社が足並みを揃える必要もあるかと思われる。
 もちろん高額利用を避けるために、先ずは利用者の自制心が必要であるのは言うまでもないが、ただ、ゲーム自体にアダルト性や暴力性を含むものが特になければ、基本的には子どもも大人と同じルールで遊んでおり、未成年者保護に向けた取り組みは、これからも引き続き必要である。