法律解釈45: モール内の検索システムによるトラブル

 
相談事例から“法律解釈と実務”

法律解釈45: モール内の検索システムによるトラブル

 相 談 内 容

 ショッピングモールの出店舗から車の修理部品を注文したところ、ショッピングモール内に設置してある検索エンジンのシステムの不具合のために、店舗のトップページ(一番最初のページ)にある「年式確認設定」のクリックを通らず、該当商品のページに直接アクセス(ジャンプ)することになってしまった。
 実は、当該店舗では、先ずトップページに車の部品の種類や年式設定が細かく設定されていて、通常はそこから希望商品の広告されているページへリンクをたどっていくようなのだが、わたしは検索エンジンで出された結果から直接商品ページにジャンプしたため、トップページを通らずじまいとなり、結果、誤った年式の商品を注文してしまうという問題が発生してしまった。

 詳細な経緯としては、先ず、ショッピングモールの検索エンジンのボックスに「リヤバンパーステップガード」と「bB」と入力して、同モール内で商品検索をしたところ、検索結果で出てきたリンク先が、当該店舗の商品広告ページだった。
 ここのページで「型式NCP30」があるのと「全車種対応」の表示を確認して購入した。

 しかし、商品到着後、届いた商品は自分の車種の年式では使用することが出来ないものだった。届いた商品は年式が平成15年からのものだった。実は NCP30 の型式は平成12年からのものと平成15年のものがあるようなのだが、わたしの車種の年式はマイナーチェンジ前のものだったので、結果的にわたしは誤った年式の商品を注文してしまったことになる。

 そして、店舗に商品の交換、若しくは返品を請求したところ、検索結果の不具合については認めて、交換商品発送の半額(600円)を店舗が負担するとのことだったが、検索エンジンのシステムの不具合であるので、交換返品費用全額負担には応じられないとのことである。
 それで、ショッピングモールに請求したところ、検索エンジンのプログラムがそうなっているのだから、一切交換返品費用の負担は出来ないとの回答だった。

 法 律 解 釈

 今回、ショッピングモールに設置してある検索エンジンを使ったため、店舗のトップページから入れず、その結果、トップページの注意書きを見落としたということと思われるが、これらは、むしろ店舗と購入者側が想定しておくべき事柄であり、検索エンジンで店舗のトップページを表示するような義務は、基本的にはショッピングモール側にはないものと考える。

 従って、今回の店舗と相談者との間にて、どのぐらいの落ち度があったかを検討することになる。

 まず、相談者の落ち度として考えられるのは、購入時、商品確認が不十分だったということだが、しかしながら、相談者が型番と全車種対応を確認して注文していること、注文画面に特に警告の表示はないことからすると、検索結果の画面からそのまま注文してしまったことに、落ち度があるとはいえないと思われる。

 これに対して店舗の落ち度だが、先ず、トップページに年式別の振り分けをおいているということは、注文ミスの可能性について一応認識しているといえると思う。

 そうである以上、


トップページからしか入れないように工夫する

トップページに飛ぶように各ページで指示する

年式について確認するように促す

 といった対応をしなければいけないと思われる。

 店舗はショッピングモールが設置している検索システムの欠陥であるかのような立場をとっているが、ショッピングモールの仕組みが先にあって、店舗がそれを利用してショッピングモール内で営業をしているのだから、問題は仕組みではなく、店舗によるその利用方法であると思われる。
 従って、微妙な問題なのだが、今回は店舗側がその交換費用を負担すべきと思われる。

 解 説

 ショッピングモールに限らず、最近のショッピングサイトは、購入者がすばやくお目当ての商品を見つけられるよう、自サイト内に検索(サーチ)システムを設置しているところも多い。
 ただ、その検索結果で出された商品ページに直接ジャンプするのと、トップページからリンクをたどっていって商品ページに到達するのとは、同じ商品ページでも違う意味をもつというケースである。

 この相談者は、どちらかというとショッピングモール側の責任と考えていた部分もあったが、見解では、そのショッピングモールのシステムを利用している店舗側のサイト上の不備ということになっている。
 この事例であれば、少なくとも年式について改めて確認するよう注意喚起しておけば、避けられるトラブルであるようにも思われる。

 もはやインターネットサービスとしては当たり前になりつつある検索エンジンであるが、それに伴い、検索エンジンに関わる相談も幾つか寄せられる。
 各案件はかなりバラエティに富むので、今後コンテンツ内の各コーナーでも、順次このような検索エンジンがらみの事例について紹介していきたいと思う。