<事例>
先月ワンピースをオークションで購入したところ、商品は届きましたが不良品でした。
出品者の方にはすぐに写真を送り、交換を申し入れましたが、色違いの在庫ならありますとの回答でした。色違いでは違う商品なので今回は返品しますと連絡したところ、返品は受けられない、挙げ句の果てには、傷がある商品は送っていないからそっちが傷を付けたんだろうの一点張りで返品・返金を受けてくれません。
この出品者の方は何百点もお洋服を同時に出品されており、特定商取引法の事業者と見なすという事項にあてはまると思いました。
事業者と見なせる件数を出品していて、返品特約も記載していないので、その旨連絡しましたが、特定商取引法のことなども認識が甘いのか、知らないのか、それともしらを切り通したいのか分かりませんが、話が通じませんでした。
消費生活センターに相談したところ、相手が事業者でないと対応できないため、オークションサイトに判断してもらって欲しいと言われました。
オークションサイトに言ったのですが、事業者なのかどうかについては態度が曖昧です。
・・・・
オークションなどで、個人として出品している場合でも、それが反復継続して行われている場合、事業者として扱われ、特定商取引法の通信販売の規制を受けることになります。
通信販売の定義は、特定商取引法第2条に、
『販売業者または役務提供事業者が郵便等により売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行う商品、権利の販売または役務の提供であって電話勧誘販売に該当しないもの』
とされている。
さらに「販売業者または役務提供事業者」については、経済産業省のサイト上に、
『販売または役務の提供を業として営む者の意味であり、「業として営む」とは、営利の意思をもって、反復継続して取引を行うことをいいます。なお、営利の意思の有無についてはその者の意思にかかわらず客観的に判断されることとなります』
とあります。
従って、この要件を満たせば個人であっても「事業者」とみなされ、特定商取引法第11条による広告表示義務(事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、いわゆる返品特約 等)が課せられます。
そこで、特にオークション個人出品者においては、「インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン(平成18年1月31日:特定商取引法通達の改正)」により具体的な判断が可能になっています。その内容は概ね以下の通りです。
* 全てのカテゴリーについて
過去1ヵ月に200点以上、又は一時点において100点以上の新規出品がある場合。
落札額の合計が過去1ヵ月に100万円以上、過去1年間に1000万円以上の場合。
* 特定カテゴリーについて
・同一の商品を一時点において
家電製品5点以上
自動車・二輪車の部品等3点以上
CD・DVD・パソコン用ソフト3点以上
・該当する商品を一時点において20点以上
いわゆるブランド品
インクカートリッジ
健康食品
チケット
この事例では、一時点に何百もの洋服を出品しているのであれば、個人であっても「事業者」に該当し、特定商取引法第11条による広告表示義務が課せられるものと思われます。特に返品特約が記載されていない場合は、法律改正後は、今後返送料消費者負担で8日間、返品が出来るとされます。
オークションサイトにおいても、このガイドラインを公表しているので、明らかにこのガイドラインに該当する出品者に対しては警告を出したり、IDを削除しているようです。
ただ、判断が難しい場合や出品者当人が何が何でも個人だと言い張る場合は、実務上、話し合いで解決することが困難とはなりますが・・。
また、経済産業省では、オークションにおける特定商取引法第11条の違反者のIDを公表していますので、オークション取引する相手が個人でない可能性がある場合、このページでIDを確認することが出来ます。
インターネット・オークションにおける特定商取引法第11条違反者のID公表について
www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/tokutei/auction_id/index.html