<事例>
(1)
オンラインゲームの中で装着できるアバターが、期間限定販売と公式サイトに記載されていたのですが、購入しようとしたら、実際は既に購入できない状態でした。
それを購入するために、ポイントを無駄にチャージしてしまい迷惑を受けています。
(2)
音楽バンドのチケット掲示板と言うサイトで、チケット4枚譲りますと載っていたので「譲って下さい」とメールを送り、やりとりをしました。
相手からは、先にチケットを送ってくれるとの事で、チケットを確認してから代金を送ってくれれば良いとのお返事でした。そのために「コンビニ発行の電子マネーで35,000円分発行して下さい」と言われたので、それを発行して待てば良いのかと思っていたら「発行したという証明に、そこに記載されているIDを教えて下さい、そしたらネットで残高照会をします」のでと返事が来ました。
少し不安になったので、電子マネー発行会社のカスタマーサポートに電話をしたら、「そのIDこそが重要で、それを教えたら相手がお金を動かせるので危険です」といわれたので、相手の方にその番号は他人に教えるものではないらしいといったら、「私を信用してくれないのですね。番号を教えてくれないのであればお取引は出来ません」というような返事が来ました。どうも他の被害者がいるようで、詐欺のようです。
でも、手元に残った電子マネーは、私にはどうにも使い道がなく、もともとチケット購入のために用意したもので、他に何に使いたいわけではないのです。
どうしてもお金に戻して欲しいのに、電子マネー発行会社のカスタマーサポートに相談しても、基本的には無理だと言われました。
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電子マネーやポイントは経済的価値を持ちますが、原則的に現金での返金や換金はされません。
また、電子マネーやポイントを発行している会社では、規約等に返金や換金は出来ない旨の条項や注意書きがサイトに記載されていると思われます。
これは、現金での返金を可能とすると、次の法律に違反する可能性があるからです。
銀行法
第2条 この法律において「銀行」とは、第4条第1項の内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者をいう。
この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
1.預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。
2.為替取引を行うこと。
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)
第1条 何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。
第2条 業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。
2 前項の「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受入れであつて、次に掲げるものをいう。
1.預金、貯金又は定期積金の受入れ
2.社債、借入金その他何らの名義をもつてするを問わず、前号に掲げるものと同様の経済的性質を有するもの
つまり、現金での返金を行うと為替行為に該当し、銀行業で無いと出来ないということと、不特定多数からの預かり金の禁止に該当するからということになります。
電子マネー等を発行する事業者においては、さらに規約上でも、返金や換金が出来ないと謳っています。
ただ、相談では、何かしらの商品やサービスの購入を目的として、電子マネーやポイントをチャージし、その商品やサービスが何らかの理由により取引が成立しなかった際、無駄になった電子マネーやポイントを何とか返金して欲しいと考えて相談してくる人も多くいます。
特にこういったサービスを利用するのは比較的若年層に多いため、なぜ返金に応じてくれないのか、その理由がわからないケースや規約を読み落としていたりするケースも多くあります。
しかし、仮に購入の目的が達せられなかったとしても、その取得した電子マネーやポイントの価値が下がるわけでもありません。是非、他の商品の購入で利用してみてはどうでしょうか。