その19: 特定商取引法(7)

 
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その19: 特定商取引法(7)

 広告メールとオプトイン規制

<事例>

 (1)
 複数の懸賞サイトに登録していたので、先日、登録しているホームページにて解約を行いましたが、1つのサイトのみ、解約手続きができなくて困っています。
 「マイページへログイン後、「登録内容の変更・退会」からお手続き下さい」ができず、また、数日前に数回に分けて、解約及び配信停止について問い合わせメールを送信していますが、一向に変化がありません。

(2)
 ショップからコーヒーを購入し、取引自体は問題なく終わりました。
 そのとき、広告メール等配信を希望しない形で購入したのですが、以後ショップからたびたび広告メールが来ます。メールで不要と連絡しても対応されず、電話をしても回線がつながらないことが多く、無責任だと思います。

・・・・

 平成20年6月に改正された、「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律」により、通信販売事業者(連鎖販売取引事業者・業務提供誘引販売取引事業者)と電子メール広告受託事業者が送信する電子メール広告については、電子メール広告を行うことに対する承諾をしていない消費者に対する電子メール広告の禁止が盛り込まれ、いわゆるオプトイン規制となりました。
 同時に総務省の「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」も改正され、オプトイン規制となりました。
 これが2つのオプトイン規制は、平成20年12月に施行されています。

 オプトイン規制の詳細やガイドライン等に関しては、下記をご参照ください。
・「オプトインなんでもガイド」
optin-mail.jp/
・「消費生活安全ガイド 迷惑メール対策」
www.no-trouble.jp/search/meiwakumail/index.html

 施行後は、送信を拒否した人への「広告メール」の送信は禁止され、更に途中から拒否した人に対しても、以後は「広告メール」の送信が禁止されます(契約に関する個別の連絡やアフターサービスに関しては連絡可能)。
 また、これらに違反した場合は刑事罰や行政処分の対象になり、その罰則が強化されています。

 さて、これら規制は、普通に商売をしている事業者においては、それほど重大な負担を強いるような内容ではないかもしれません。
 そもそも希望しない人に広告を送っても逆効果であるともいえますし、消費者側で最初から広告メール不要と選択できれば、あとから解除する手間も省けることになりますので、これらがスムーズに流れれば、特に問題は発生しないことになります。

 ただ、問題は事例のように、メール不要と通知しても、実際、それが守られない、手続きができないというケースが、やはり少なからずあるという問題です。
 もちろん現行法では再配送禁止義務違反となりますので、迷惑メール通報先(日本産業協会・日本データ通信協会)に連絡することになりますが、ただ、これまでの広告メールに関する相談の事例を見ると、義務違反の意識というより、事業者のシステムや情報の管理体制の杜撰さを露呈しているというほうが大きいような気もします。繰り返されるのではなく、単なる一時的なミスなら、社内体制の問題ともいえます。

 逆に懸賞サイトのような場合は、1度登録すれば、登録と同時に多量の広告メールを受信することになりますが、そのうち、果たして懸賞サイトからの広告メールなのか、それともまったく別のサイトからの広告メールなのか、その区別が付きにくくなってくる可能性もあります。
 また、他のサイトとも同時に登録というケースも多く、その中には意図せず出会い系サイトであることもあり、そのサイトから届くいわゆるサクラのメールに引っ掛かり、結果、多額の被害に遭遇するきっかけにもなります。これら複数のサイトに登録されることに関し、一括して同意をとる場合は、望ましい例とそうではない例を挙げたガイドライン『電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン』があります。
www.meti.go.jp/press/20081001002/20081001002-2.pdf

 なお、オプトイン規制では、広告メールを送信することについて消費者からの請求や承諾を受けた場合は、その記録を3年間保存しておかなくてはならないとされています。