その25: 特定商取引法(12)

 
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その25: 特定商取引法(12)

 改正法による返品特約の記載方法

<事例>

 夜間に、インターネット上にて予約販売のフィギュアを検索中、あるショッピングサイト内にて発見、3セット予約申請しました。翌朝、予約申請受理のメールを確認しました。
 しかし、注文ミスをしていたことに気付き、同日キャンセルの申し込みをメールしました。
 するとキャンセル料が発生し、ショッピングサイトからはキャンセル受理のお知らせが到着、ショップからはキャンセル料確認後手続きをするとのメールが到着しています。

 実は、検索して商品ページへ直接とんだため、キャンセル料の発生は知りませんでした。ショップのTOPページには返品やキャンセル料について記載されていますが、商品ページには個別に記入されていませんでしたので気付きませんでした。
 そして、まだ商品も発売されていない予約商品に対しても、注文した時点でキャンセル料が発生し支払い義務があるのでしょうか。

・・・・

 このケースは、相談者の誤操作により3セット予約申請してしまったとのことです。
 ネット上において商品購入の申込みを行う場合、どうしても消費者による“操作ミス”が発生しやすいため、事業者側にて予め、注文内容に対する確認画面を講じていない場合は、消費者が間違えて注文していた場合、その契約の無効を主張することが出来ると解されています。
 しかし、逆にサイト上で注文完了までに、注文内容の確認画面が表示されていた場合は、消費者はその確認画面で、自らの注文内容を確認することが出来ますので、その確認画面を超えて取引が成立した場合は、その申し込みは事業者側の承諾により有効に成立すると考えられ、その後のキャンセルや返品に関しては、サイト上に予め事業者が設定した条件の表示があれば、その内容にのっとります。

 そこで、当該サイトを確認すると、ほとんどの商品広告ページの上方には「お買い物のガイド」へのリンクがなされていて、そのページに、返品出来ない旨や、キャンセル及びキャンセル料に関する注意事項の記載内容が確認できるようになっていました。
 すると、これら内容を見落としたのは相談者側の落ち度もあります。

 ただ、予め定められているキャンセル料については、特に事業者の場合、消費者契約法により、例えば同様の取引の解除に伴って生じる平均的な損害の額を超える部分については無効と判断される可能性もあります。
 今回、予約販売における注文日翌日のキャンセルであれば、事業者側はそれを再販売する機会も充分あり、実際に損害が発生していたとしても、それはほんのわずかな額かと思われますので、このケースであれば、事業者には、先ずはその請求根拠を提示するよう求めたり、その上で納得できる額についてのみ支払う旨を伝え、支払いの可否やその額について話し合いをしてみることが考えられます。

 そして、ネットの通信販売はどうしても返品交換のトラブルが発生しやすいため、返品交換等の条件を記載した、いわゆる返品特約に関しては、今後、特定商取引法の改正で分かりやすい表示が義務付けられることになります。
 同法の省令では、消費者にとって容易に認識することが出来るよう表示することを規定し、そのガイドラインを定めています。

・通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン
http://www.no-trouble.jp/page?type=gallery&id=1249545324836

 ここでは、インターネットで広告する場合において、以下のガイドラインが具体的事例とともに記載されています。

(1)共通表示部分(インデックスタブなどを利用したご利用ガイドなどを指します)を活用しない場合における返品特約の表示方法
(2)共通表示部分を活用する場合における返品特約の表示方法
(3)顧客にとって容易に認識することができるよう表示していると考えられる返品特約の最終申込み画面における表示方法

 特にこの事例もそうですが、インターネット通販の場合には、例えば、消費者が申込みに至る途中段階においてブックマークを行い、後日、ブックマークからウェブページに再度アクセスし、広告において表示されている内容を確認することなく申込みを行うことが可能であることなどがあげられ、今回の改正では、広告ページ以外に、いわゆる最終確認画面上にも返品特約を表示するよう義務付けられることになります。

 また、返品特約について極めて小さな文字で表示する等、消費者に分かりにくい表示方法ではなく、広告において返品特約が明瞭に表示されるよう、例として、パーソナルコンピュータの場合において標準設定で12ポイント以上の文字で表示する、色文字・太文字を用いる等して表示することなどがあげられています。