第六十七話: スポンサー先は信用できるか 2

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第六十七話: スポンサー先は信用できるか 2

 相 談 内 容

(1)

 検索サイトでUGG(ブーツの種類の名前)を検索し、スポンサーリンクにてトップにあった海外サイトより商品を購入した。日本円にして送料と合わせ約12000円。
 本物のシープスキンと明記されてあったにも関わらず、届いた商品は明らかに合皮の粗悪な偽物だった。返品の方法がサイト上に書いてあるのだが、悪質な業者である可能性が高く、返品要求をしても返品されずに二次被害に合う可能性があるかが心配。
 ちなみにクレジットカードの再発行手続きは済ませた。

(2)

 UGGのシープスキンブーツを2点購入した。商品は無事届いたが、以前より当方で所有していた国内正規店で購入した同商品、色違いのものと異なる点が多かったため、インターネットで調べたところ、ネット上で報告されている偽物の事例と一致する点が多く、今回送られてきた商品は偽物と思われる。
 そこで利用した決済代行サービスの問題解決センターを通して、送られてきた商品が偽物の疑いが強いため、返品したいとの希望を伝えたが、相手の回答は偽物ではないとの一言の繰り返しで、返品に応じてもらえなかった。

 処 理 概 要 及び 解 説

 どちらも、検索サイトにおいて商品名で検索をかけると、スポンサーリンクとして右サイドに表示されているサイトで取り引きを行っていた。
 しかし、このサイトでは一般流通価格に比べ半額以下で販売されており、残念ながら日常的、且つ組織的にニセモノを販売している可能性があった。

 なお、このサイトは中国にあり、相談を受けた当時、サイト上には米国の紛争機関BBB(Better Business Bureau)やTRUSTeなどといった機関のマークが複数貼られていた。しかし外見上、それらはどう見ても正規のマークとは思えなかったため、ECネットワークよりBBBとTRUSTeに情報提供し、BBBからそれら勝手に貼られているマークを削除するよう警告メールを送り、悪用されていたマークは全て削除された。
 しかし、検索サイト上では、UGGで検索をかけると、いまだにスポンサーリンクとして表示がされている。

  さて、2009年1月より義務化された米国国土安全保障省による電子渡航認証システム(Electronic System for Travel Authorization: ESTA)は、ビザ免除プログラム(VWP)の一部で、アメリカに短期商用・観光目的(90日以下)で旅行するすべての渡航者に、米国行きの航空機や船に搭乗する前にオンラインで渡航認証を受けることになっている。
 手続きをするには、アメリカの在京米国大使館のウェブサイト(日本語)上で手続きを行う必要があるが、申請は全て無料である。

 しかし、許可を得ずに申請代行と称して有料でESTAの代行サービスをするサイトがネット上にいくつか存在しており、米国大使館のウェブサイトや外務省のサイト上で注意を呼びかけている。
 問題は、該当者がオンライン手続きをしようと「電子渡航認証システム」「ESTA」といったキーワードで検索を行うと、それら代行サービスのサイトがスポンサーリンクとして表示されている点である。もちろん「代行」と謳っていれば比較的気付きやすいが、中には「代行」と謳わずに広告を出しているサイトもある。
 特に「代行」と謳わないまま検索結果の最上部に表示されるスポンサーリンクの場合は、大使館のサイトと区別がつきにくく、本来なら必要ない代金を支払う羽目になる可能性がある。また、海外のこのような事業者に対し、不用意にクレジットカード情報を教えてしまうと悪用される危険性もある。
 ある大手の検索サイトに、この苦情を伝えたところ、「代行」を謳わないまま広告を出していたスポンサーリンク先が削除された。

 このようなスポンサー先の問題は、五十三話 スポンサー先は信用できるか
でも取り上げたが、今後もまだまだ発生しそうである。引き続き注目していきたい。