第五十三話: スポンサー先は信用できるか

 
相談事例から“ちょっとためになるお話”

第五十三話: スポンサー先は信用できるか

 相 談 内 容

 ネット通販で、124,800円で購入したブランドバッグがニセモノだった。まだ届いたばかりで鑑定には出していないが、素人目でもわかるような、よくニセモノの注意をよびかける例によくあるもので、粗悪なコピー品だった。
 本来、そういうコピー品はネット上に10,000円ぐらいで出回っているが、私が購入したサイトでは商品は全て本物であることを謳っていて、信用して購入してしまった。サイトは日本語表記だが、アメリカにあるらしい。
 支払いはカード決済、代引などの選択肢が無く銀行振り込みで、また、先に振込みしないと発注できないので振込んだ。振り込んだ口座は代表者の口座で日本国内の支店だった。

 注文した時点では『在庫があるので今すぐ振り込めばすぐ商品が送れる』と書いてあったので、すぐ振り込んだのに、注文してから入金後の連絡がこちらから何度もメールで問い合わせをしなければ返事が来なかったり、(記載されている電話番号は、すぐにボイスメッセージに切り替わり繋がらない)といい加減な店で、取引に不安を感じて一度キャンセルを要請したものの、発注後のキャンセルはできないとの事で、受け入れてもらえず、結局一ヵ月後になり、商品を受け取った結果この様な事で非常に憤りを感じている。
 受け取った直後、返品をしたいという事でメールをしたが、まだ返事が届いていない。

 他にも、私と同じ様にニセモノが届き、苦情を言ったらそれ以降連絡が全くないという方もいるようである。
 このサイトは今でも運営されており、グーグルのスポンサーサイトにもなっていて、ブランド名でグーグル検索すれば誰もが目につくところにあり、他にも被害が増える可能性もある。

 処 理 概 要

 当該事業者においては、ほぼ同様の相談が多数寄せられていたため、ブランド品のニセモノを、ほぼ日常的に販売しているサイトと見受けられた。
 返金に関しては、引き続きメールや電話にて接触を試みることや、書面を送ってみて返事をくれるよう要請してみるよう伝えた。

 ただ、もともとニセモノと知っていて販売している事業者に対し返金するよう主張しても、海外事業者であることを考えると、正直、解決が難しいこと、事業者側に悪意があるとして、すぐに警察に相談し、警察の協力のもと、商品代金を振り込んだ日本の金融機関に連絡して事情を説明して、口座名義人に連絡を取ってもらったり、口座名義人の情報がないかどうか、また、振込口座の凍結について相談してみるよう伝えた。

 解 説

 この事業者のサイト上では、販売されている商品は全て本物を謳っており、また販売価格も日本と比べ極端に安いわけではないため、かえって信用して注文する消費者が多いようである。
 サイトで販売する商品は、在庫として手元にある商品と、それ以外に予約注文といって、欲しい商品を伝えると入手困難な商品や日本未発売の商品を買い付けて送付するという販売方法を取っているようである。予約販売の場合は、商品引渡しの際に何週間かの時間がかかる。

 さて、ニセモノを販売するようなサイトは、インターネット上にもいくつかあるが、特にこのサイトで被害にあう消費者が多かったのは、この事業者は検索エンジン(グーグル)にアドワーズ広告を出していたからともいえる。特定のブランド名でグーグル検索をかけると、スポンサーサイトとして、この事業者が別枠で登場するのである。
 そうすると、インターネット上で、このブランドの商品を探している人や興味のある人に対し、このアドワーズ広告は非常に効果があるので、それにより被害にあう人も増加する。被害にあった相談者には、必ず警察と振込先の金融機関に連絡するようお願いしている。

 そして、被害に遭った人たちにおいても、まさかあのグーグルのスポンサーサイトが不正をしているとは、夢にも思わなかったのかもしれない。大手企業に出されている広告なら、きっと審査もシッカリしているだろうし信用できるだろう、と思っていたのかもしれない。
 このような考え方は、日本人に特有なのかどうかはわからないが、過去にも同じようなトラブルのケースがある。

「ためになる話」
第二十五話: カモられる日本人 (YouTubeの広告)
第二十八話: 個人輸入代行の落とし穴(その1) (検索結果一位)

 ただ、広告審査はあくまで外見上で問題性がないかどうかを判断する程度であり、実際の取引にまで首を突っ込んで審査しているわけではないと思われる。実際、日本においても、全国紙に広告を載せていたり、CMを流している事業者であっても、取引においては、トラブルが次々発生しているというケースも多い。
 特にインターネットでは、アフィリエイトなど様々な広告手段も発展している。スポンサー先が信用できるのかどうか、その判断はインターネットサービスを利用している上で、富みに重要になってきているものだと思う。

そして、気持ちは分かるのだが、本当にブランド品だけは正規店及び正規代理店で購入して欲しい。そこで購入できないのなら、持つべき身分ではないのだ。