第二十二話: 神経を逆なでする返答

 
相談事例から“今どきの消費者”

第二十二話: 神経を逆なでする返答

 相 談 内 容

 韓国俳優の二枚組DVDを買ったが、1枚は傷だらけで、40分以上の映像のはずが、最初の3分くらいしか写っておらず、残りは全く何も入ってない状態、もう1枚も最初の3分くらいの映像が行ったり来たりして、後は何も写らない状態の物であった。ディスクそのものも手触りもものすごく薄くて粗悪品であり、ディスクの周りの印刷も非常に汚い物だった。しかも日本語字幕のものを注文したのに、字幕が全くないものが届いている。

早速返品して代金を返して欲しい旨をメールで伝えた。ただ、サイトには電話番号が記載されていない。これは、最初から何かにミスがあっても、客にあやまる手段が全く準備されていないということで、メールであっても、普通だとその日の内に「調べます」とか、「後ほどご連絡します」とか返事があると思うのだが、それが今のところ一切ない。

しかもその後、事業者から届いたメールは、いきなり「貴方の返品しようとしている商品がユーズドで、27,000円で売れますからネットで売りに出しませんか」であった。不良品だといっているにもかかわらず、ネットで売りませんか、といってくること自体、客を馬鹿にしているし、その後、お詫びのメールも、今後どうなるかの連絡も何も来ていない。これは詐欺ではないだろうか。

 処 理 概 要

 相談者は、怒りで非常に感情的になっていたので、まずは落ち着かせることを考えた。
 サイトには、トラブルや不具合のある商品の返品については『商品にトラブルや不具合がある場合、商品到着後30日以内の商品に限り、返品もしくは商品の交換を受け付けています』と記載されていた。
なので、まずはサイトに対し、届いている商品が不良品であること、この記載に則った対応をして欲しい旨、主張するよう伝えた。

 また、事業者の電話番号は、非常に分かりにくいところであるが記載があったので、そのページを伝え、そこに電話をかけてみることも伝えた。また、事業者の所在地に書面にて通知をする方法を詳細に助言した。

 ただ、不良品であった商品が、サイトの記載通り、今後きちんと交換されたり返金がなされれば、そのほかのサイトの対応の悪さにいつまでも文句を言っていても仕方ないので、気に入らなければ今後は利用しないようやんわり伝えた。

 解 説

 外資系事業者であるが、届いた商品が不良品だと苦情を言っている注文者に対し、なかなかお茶目な返答をする事業者である。かなり相談者の怒りを買っていた。

 この事業者の場合、不良品でなくても返品は受けるが未開封に限り、開封した時点で返品に85%〜90%の返品手数料を取る。つまり注文者への返金額は、その残りの額になる。なんだか返金不可のほうがよっぽど潔い。なので、下手に返品するよりも、当該サイト上で自ら再販売したほうがお得なのでは?と言いたいのだろう。ただ、相談者が返品しようとしているのは、あくまで不良品である。

 他にも、注文した3枚のCDのうち、2枚がいつまで経っても納品されず、こちらから問い合わせしたところ、「納品にもう1〜2週間かかる」と言われ待っていたが届かず、さらに問い合わせをしたら、「調査します」と言われ、さらに1ヵ月、再再度問い合わせたら「キャンセルして注文し直して欲しい」と言われて、1回のお詫びもなく頭にきているところに、「新しい注文の場合、以前の発注とは為替差益による差額が生じる」と返答されて逆上した、という相談を受けている。ただ、このケースでは最終的には注文時の為替レートで注文し直すことが出来た。

 また、当該事業者からメールでは、文末に『解決した場合はここをクリック: 解決しない場合はここをクリック: 』というアンケートがテンプレート式で載っているのだが、「調査します」といった返答の文末にこれが書かれているのもなんだかヘンな感がある。

 注文者の苦情の内容に対し、明らかに適さない内容の返答を送ることは、注文者の苦情を真摯に受け止めていない証拠であり、それを感じたときに、注文者は1番神経を逆なでされるのである。テンプレートの返答をもらうことに注文者が抵抗感を示すのもその理由によるのだと思う。外資系に限らず電話対応を嫌がるネットショップはたくさんあるが、それなら、せめてメール対応はきちんとして欲しいと思う。