第二十七話: 情報商材を買う人たち

 
相談事例から“今どきの消費者”

第二十七話: 情報商材を買う人たち

 相 談 内 容

 サイトから、「極秘レポート 元カノと寄りを戻す復活愛: A4版77ページ」を29,800円で代金引換にて購入した。
サイト上には、返品特約のかかれておらず、ネットでしか購入できないものなのだが、これは通信販売として該当するものなのだろうか。私の意思で購入したものだが、思っていたものとは違う内容であり、値段があまりにも法外なため、返品および返金を要求したいのだが、可能だろうか。

 処 理 概 要

 サイトを見ると、長々とした広告とともに商品についての記載があり、基本的にはサイト上より注文し、A4判の冊子を代金引換で購入する流れのようであった。そうであれば法律上の通信販売に該当するものと考えられた。
 その際、予め返品にかかる条件を必ず明記しなければならないと伝えたが、サイト上には「特定商取引法に関する表示」があり、そこには返品欄に「お客様のご都合による返品・交換は原則としてお受けできません」と記載があった。
すると、原則的には事業者が販売している商品を不具合のない状態にて商品を引き渡せば、その後の返品は、その返品特約に則ることになろうか考えられ、また、商品の特性を考えると、その内容を容易にコピーして手元に残すことが可能な商品であると考えられるので、返品不可の内容自体は、ある程度やむを得ないものと考えられた。

 そこで相談者が、もうすでにその内容を読んだ後に、単にその内容が『思っていたものと違う』ということを理由に返品・返金を求めても、それら商品価値に関してはどうしても個人差が発生するものなので、一概に「お粗末なもの」と判断することも難しく、全面的な返品・返金の主張は困難かもしれないと伝えた。
 ただ、例えばサイトの広告を見て、どういう内容であると期待して購入し、実際に届いた商品が広告内容とどのように違ったのかを具体化して書き出し、説明して返品・返金、もしくは減額等の交渉をしてみてはどうかと伝えた。

 解 説

 この相談者が購入を決めた事情には首を突っ込まないが、インターネット上には、このような、さまざまな、いわゆる情報商材が売られていて、それに関する相談がコンスタントに寄せられている。ほとんどは、このケースのように「返品・返金」に関わるもので、急激に増えることも無いが、なくなることもない。
 
 内容的には「パチンコ・パチスロ必勝法」「競馬で当てる」「株やFXで儲ける方法」といった具合で、会員制だったり、単なるプリントだったりもする。前はよく「何もしないで月10万入る方法」などといったモノもあったが、最近はそういった怪しすぎる情報商材に引っかかる人は、さすがにいなくなったのだろう。
金額はさまざまだが、パチンコや競馬で30万前後のものから、インターネット上だけで販売しているモノは、それらに比べて比較的安価である。30万出してプリント数ページだったりすることもザラなので、このケースのように29,800円でA4版77ページもあるなら結構マシなほう?だと思ってしまうところも、相談を受けるこちらと相談者との間にギャップがあったのかもしれない。
 インターネット広告では、最近はブログ形式のものが多く、特徴はほとんど同様で、やたら長々とした自慢話のようなテキストが続き、その後には「購入者の声」が必ず記載されている。1ページ読むだけで10分ほどかかる割には、肝心の中身については抽象的で一切分からないようになっている。

 そして、その情報商材の価値を判断することは難しい。明らかに違法行為や実現不可能なことばかりが記載されていたら、返品の主張も可能かもしれない。
 相談者の中には、ご丁寧に、その商材の中身をすべてこちらに見せてとくとくと説明してくれる人もいるのだが、残念ながら「吉宗攻略法」を見せてくれても、全くの素人には何も判断のしようがない。いや、そこで盛り上がってしまったら、それはそれでどうかとも思うが・・。

ただ、そういった相手方に連絡をとっても、先ず返品・返金には応じてくれない。もう情報商材の判断以前の問題である。警察に訊ねてみても、あまり良い回答は得られない。
インターネット上では、こういった情報商材がたくさん販売されているが、正直、あまり手を出して欲しくない。購入するなら、例えどんなにお粗末な内容であっても文句を言わない自信を持って、自己責任で購入して欲しい。それこそ博打なのである。