40代女性。
学習机を、「9年間使用した机ですが、大変綺麗です」と1万円で出品。大きな傷も特に目立つ傷もなく、送料負担か取りに来られる方限定としていた。こちらでは、9年間使用し、特に目立つ傷はなく、不快になるような商品では全く無く、喜んでもらえるものとして出品していた。
当時の価格も10万円に近い商品であったが、1万円で出品し、十分その価値があるとの判断で出品した。
そうしたら、届いて、彫ったような傷があるとのクレームが来て、「神経質な方なのかな」と思い、では値引きしましょうか?と返したら、タダでよこすか、送り返すから送料も落札金額もそちらで負担してくれと法外な要求をして来た。
こちらは、連絡も丁寧にしたし、綺麗に汚れなどは落として、多く頂いた送料はお手紙を添えて返金した。オークションで落札をしたのはあちらで、私は、自信を持って色々調べて安い金額で送った。
しかし、こちらの「値引きしましょうか」という一言があだになってしまったようで、脅迫めいた内容の返事が来た。顔も見えない相手であり、男なので、何かされると怖いので、早急にこのオークションを終わりたいと思っている。仕事をしているのかどうなのか・・家に殆んどいると言っていた。こちらが頂いたのは、あくまでも1万円だし、9年使った机にクレームをつけるのなら新品を買えばいい話である。
どう対処すれば円満解決するだろうか?
こちらは几帳面なので、出品には非常に気を使っていて、オークション評価は非常にいいとみなさまから頂いている。こちらには非はないと思う。
オークション画面を確認すると、下記説明がなされていた。
『娘が小学校入学時に購入したオール木製の高級なひかりデスクです。卓上にはずっとシートを敷いていたので、傷も特になく、全体的に非常に綺麗な机です。サイドテーブルは上下できるもので、キャスターが付いていて、どこにでも動かせます。勉強大好きで、小学校低学年からこの机で勉強をしていますが、とても9年使ったとは思えない綺麗さです。10万円近くする商品でしたので、まだまだ十分使えるのですが、高校生になり簡易なお洒落机が欲しいと言い出し、イケアで激安で仕入れて来ました。そんな訳で、不要になりましたがあまりにも綺麗なので捨てることは出来ません・・ 成績優秀で、多方面に渡り幼い頃から大活躍の人生を送っているいい運もおまけに付いて来ますので、来年入学の方、もしくはデスクを探していた方、いかがですか? 家まで取りに来てくださる方、または、遠方でも送料着払いで配送希望の方限定でお願い致します』
商品現物の状態は確認できなかったが、ただ、個人間取引による主観の問題と、それゆえに発生する、二次的な感情的トラブルに発展している可能性が感じられた。
従って、相談者には、特に自分が絶対正しく相手方が一方的に悪いと決め付けた上で相手方への対応をすると、結果的に相手方の態度を硬化させ、感情的なやり取りが長引く場合もあると伝えた。
ただ、相談者は出品者側であり、既に代金を受け取り商品引渡し後でもあることから、今後、契約の解除や取消を主張し返金を希望してくるのは、あくまで落札者である相手方のほうであることを伝えた。
もちろん相手方の主張を全面的に甘受する必要はないが、本来円満に解決する考えであれば、オークション上で自らが説明した内容と商品のどこが異なっていたのか、どこが納得いかなかった点なのかを聞いた上で、前向きな話し合いを心掛けてみるのもひとつの考え方ではないかと伝え、ただ、相手方からの脅迫めいた言動が続くようであれば、そのまま冷静に様子を見て、警察にも相談しておくことを勧めた。
また、相手方から取引額、及び送料に関する部分以上の請求があった場合にも、すぐに応じる必要はないということを伝えた。
その後、相談者より連絡があり、今回は宅配業者に連絡し、宅配業者側で対応してもらっているとのことだった。今回の相手方はどうも言っていることが大変理不尽で非常識であり、宅配業者も困っているようだということであった。
さらに、宅配業者の担当者が、机を見て、とても9年も使用しているとは思えない綺麗さだったので、自分の味方になってくれたということであった。
当初は、こちらからの助言のように警察に相談しようと思ったが、宅配業者が対応することになったので、自分で対応する必要がなくなったとの報告があった。
この相談者に関しては、「オークション評価は非常にいいとみなさまから頂いている」とのことだったので、相談者のオークション評価を確認したところ、確かにマイナス評価のない綺麗な評価が続いていた。しかし、一方で、相手方を非常識と責める割には、実は相手方の評価も相談者と同じく、マイナス評価がひとつもない綺麗な評価欄を持っていた。しかも相談者より多い評価数である。
つまり、こちらはあくまで相談者側からの話しか聞いていないので、この相手方は法外な要求をして脅してくる人といった悪い印象しか受けないのだが、ただ、この相談者の一連の話の仕方や商品説明の仕方などを見ていると、必ずしも最後まで相談者だけが正しく相手方が悪かったのか、そこに疑問が生じてくるのである。
何らかの感情的な争いが生じた結果、相手方がそのように言わざるを得なかった状況が何かあったのではないかと思われたのである。現に、相談者は詳しくは言わなかったのだが、相手方との間では、その送料についても実際より多く取っていたという別事情があるようでもあった。
従って、この相談者の場合、「どう対処すれば円満解決するだろうか」といいつつ、実際は自分が正しいと言う考え方は一切変えず、「自分はここがこんなに良い」「相手方はここがこんなに悪い」といったように、自分が正しいという主張は、客観的にも正しいということを一生懸命証明しようとする。しかし、その割には、どうもそれが具体的に見えてこない。
つまり、相談者は、この相談によって、既に取引が終了した相手方と円満解決する気などは毛頭なく、単に自分が正しいと言って欲しい、自分の味方になって欲しいだけなのである。
このようなタイプの場合、基本的には第三者であるとも、自分の味方となる発言以外は受け入れず排除するので、まっとうに正面から説得しようとしてもなかなか難しい。ただ、仮に相手方の主張が正しかったとしても、その時は「自分が折れてやった」と思うであろうことから、もしかしたら、このようなタイプへの説得には、いかに「折れてやった」と本人に思わせられるかが重要なのかもしれない。
確かに、9年間、しかも子供が使用していた机であれば、それなりの傷があろうことは容易に想像できるが、しかし、9年使った机にクレームをつけるのなら新品を買えばいいというのであれば、出品時の説明に、「綺麗」という言葉を3回も使用して説明していた自分の落ち度も、少しで良いから認識して欲しいと思う。