オークションでアイシャドウを落札し届いたのだが色が極端に違う。シルバーゴールドに見えるものは濃い鶯色で、ピンクに見えるものは濃い藤色。返品を申し出たところ、返品は考えていないという返事が届いた。
しかし、画像に比べ、現物は全く違うものである。
私が落札した価格(2111円)はネット上ではかなりまとまった金額だし、100円くらいで取引されるものもたくさんある。このように色が違うものを載せて、落札者がその色を信じて落札すると詐欺が横行してしまう。
オークションではアイシャドウなどは低価格で取引されているので、私が払った金額は相場に対して、とても高額な金額であり、現物の色が正確に掲載されていたら、私のみならず、誰も入札しなかっただろう。
掲載されている色は正確なものとして判断し、正しい色を伝えられないのであれば、画像を載せないで品番だけを記すとか質問してくださいと書くべきだと思う。違う色を載せるのは違法である。
オークションサイトにもメールを出したが、「個人間で解決してください」とのことである。
現在の私の考えは、使用しないので送り返して、一応私の口座番号等をメールで知らせようと思っている。いずれにせよ、使用しないので、手元にあっても困る。
私は、ネットオークションはアメリカでの経験が長いが、このような詐欺の経験は一度もない。アメリカのオークションサイトでは、問題が起こった時には会社が仲介に立ち、判断をくだして双方それ以上やり取りはしない。日本のオークションはマージンを取って開催しておきながら、問題は免責するという体制なので、それは問題があると思う。
相談者からの相談では、画像と色が極端に違う状態とのことだったので、オークション画面を確認すると、アイシャドウが2つ掲載されており、オークションの説明文には『淡い紫と、黄緑が近いお色です』という説明があった。
つまり、相談者が主張する商品の『シルバーゴールドに見えるものは濃い鶯色』というのは、オークション上の説明文では『黄緑が近いお色』のものを指し、『ピンクに見えるものは濃い藤色』は『淡い紫』のものを指していた。また画像を見る限り、確かに微妙な色合いの違いはあるが、ただ、だからといって、そこに写っているアイシャドウの色が『シルバーゴールド』『藤色』に間違えなく見えると断言するのも、また難しかった。
なお、アイシャドウのメーカーでは、商品は全て品番で管理されており、具体的な色の表記は一切していない。
そうすると、今回の出品者が最初から騙そうとする意思があったのかどうか、つまり今回の件が詐欺と決め付けることは難しいであろうと伝えた。
その上で、例えば「赤」が「青」であったというように、誰の目から見ても明らかに異なる色の違いであれば比較的判断がたやすいが、一方、色の微妙な差による違いの場合は、ある程度の主観が伴う上、PCモニターの性能によっても、色の見え方に差が発生することは避けられないという考え方もあり、今回の返金の主張が、もし第三者的に見ても誰もが納得できるものであれば認められる可能性が高くるが、一方、第三者から見て判断が分かれるような微妙な差であれば、相手方の返金できないという主張も、また一理あり、こういった場合はオークションサイトの言うように、双方話し合いで解決する流れになろうことかと伝えた。
さらに、特に個人間取引の場合は、時にやり取りにおいて感情論が先行しがちでもあり、それが早期解決を困難とさせる原因になる場合があること、残念ながら取引金額から鑑みて、訴訟による解決が現実的ではない場合は、解決には時に互譲の精神が必要な場合があると伝え、初めから相手方が一方的に悪いと決め付けて交渉しないよう助言した。
また、オークションサイトにおいては、これは残念ながら日本のオークションサイトのほとんどが、取引した商品に対する問題が発生した場合、原則的には、その当事者間で解決する流れと規約やガイドラインにて取り決めがあり、これを覆すのは現時点ではなかなか難しいこと、アメリカのオークションサイトは日本からも引き続き参加が可能であることを伝えた。
そうしたところ、相談者からは、このケースはアメリカであれば即返金となること、ただ、相手方は今回、返金に応じたということだった。
しかし、再度相談者から連絡があり、返金の約束が反故にされている、相手方とのやり取りの中では電話番号が出てこなかったので、メール以外、連絡が出来ない旨の連絡があった。
そこで、電話番号がわからないのであればメールで聞いてみること、ただ現況を考えて相手方が教えない可能性が高いので、相手方所在地に書面を出して対応期日や回答を得てみるよう伝えた。書面は内容証明郵便が確実だが1000円以上かかること、ただ、少なくとも配達記録や簡易書留郵便を利用するよう説明した。
ただ、それでも解決できない場合は、費用対効果を考え、不本意だが相手方にはしかるべき評価とコメントを残し、気分の悪い思いを断ち切り早々に忘れるほうが精神面から見ても有効な場合もあると伝え、充分検討するよう伝えた。
色の違いのトラブルは、オークションに限らずネット通販では避けられない問題のひとつである。
特にネットショップの場合、商品画像に画像処理を施していることがあり、商品の明度が高まることにより、若干現物との色の違いが発生してトラブルになることもある。このような微妙な色の違いによるトラブルは極めて判断が難しく、通信販売では、ある程度の許容範囲を認めておかないと致し方ない部分もある。
このケースでは、本人は商品の画像だけで、そのアイシャドウの色を「シルバーゴールド」と「ピンク」と決め付けてしまっていたため、オークション上の説明にある「淡い紫と、黄緑が近いお色です」という部分は、あまり重要視していなかったことが想像できる。正直、『濃い鶯色』と『黄緑が近いお色』、『濃い藤色』と『淡い紫』は、こちらが感じる限りでは、あまり差異がないように感じる。
そうであれば、今回相談者は『正しい色を伝えられないのであれば、画像を載せないで品番だけを記すとか質問してくださいと書くべきだと思う』というが、品番だけが書かれていたとしても、きっと同じトラブルを起こしたであろう。
また、相談者は当該オークションに他の入札者がいたこと、また落札金額が2111円はかなり高額であるということを強調していた。『現物の色が正確に掲載されていたら、私のみならず、誰も入札しなかっただろう』という主張であったが、他の入札者が、商品の色に対し、相談者と同じ認識で入札していたかは誰にも分からない。また、落札額2111円が高額であるか否かはともかく、メールなどで交渉して解決しなかった場合、郵便費用、訴訟費用を自ら負担して解決する被害額かどうかを考えれば、おのずと冷静になれるのではないかと思う。『相手方とのやり取りの中では電話番号が出てこなかった』ということだが、出てこなければ自分から聞こうという考え方も必要である。
このように、この相談者の場合、何を考えるにも自分が主体であり、そもそも自分にも落ち度があったのではないかと考えること自体が全くない。ともかく相手が悪い、相手は詐欺で他の入札者すら騙そうとしていた、それで解決できなければ、今度は日本のオークションのシステムが悪いとなっていく。
ただ、残念ながらこのような考え方をする消費者が確実に増えてきていることは事実である。権利意識が芽生えることは良いことであるが、権利を主張する前に、少しでも自分に落ち度が無かったかどうかを振りかえってみたり、相手を思いやる気持ちが無いと話し合いにすらならない。そもそも相手の話を聞こうとしないからである。権利の主張が単なるわがままに見られたり、最後には誰からも理解も得られずに、自分が損をしてしまう。とても残念でもったいない。
また、確かに日本のオークションシステムがベストとは決して言わないが、ただ、それをアメリカのオークションサイトと比較するのであれば、アメリカのオークションサイトは世界中から参加可能なため、この相談者においては、今後はまた海外オークションに回帰するのがベストなのかもしれない。日本のオークション市場と利用者のためにも。