【商品、サービス名】 即落札OK!締め切りまでマニア雑貨市なんと大量10個タイトー非売品シリーズ銀河鉄道劇場版バージョンアルカディア号【驚愕出品】
【商品価格】 1,281円(落札額21円)
オークションを利用して、その結果、店舗とやりとりしているのだが、客観的な意見が聞きたい。
該当のオークションには、タイトルの通り「大量10個」という記述があり、私はこれをひとつのオークションに10個が出品されたものと判断した(つまり、落札者1人に対して10個が送られてくる、と思ったわけである)。このように判断したのは理由がある。
オークションシステム上、たとえばオークション情報に出品個数が10となっていれば、1人1個10人が落札できるとなるが、今回のオークションは出品個数が1(つまり落札できる人は1人だけ)であったため、10個という記述とあわせて、1人に対して10個と判断した。
ところが、実際に送られてきたものは1個のみだった。
これはおかしいと思い、不足している品を9個送るか、さもなくば表示上問題があるのでオークションを無効にして返品対応して欲しいということを問合せた。しかし、店舗側はどちらの対応もしないという返答のみ。
そもそも、私は落札後、すぐに店舗宛てに10個分の梱包後の大きさを教えて欲しいとの旨のメールを送付したにも関わらず、店舗より落札確定のメールが届きはしたものの、その梱包に関する質問に対する回答は無いまま、1個のみ送られてきているのである。
再度店舗に質問しても返答が無く、これ以上、どのようにすればよいかわからない。
オークションページを確認すると、
『即落札OK!締め切りまでマニア雑貨市なんと大量10個タイトー非売品シリーズ銀河鉄道劇場版バージョンアルカディア号【驚愕出品】』
『出品数:1』となっていたため、この場合、落札できるユーザも原則1人と考えられた。
ただ、実際の落札額は21円であり、今回は送料等を合わせて総計で1,281円となっていた。
そこで、タイトルには10個という記載があるため、このタイトルの意味について推測すると、先ず、相談者の考えのように、『当該商品10個を出品個数1で出品している』ケース、その他『即落札OK!締め切りまでマニア雑貨市』に、他の商品を含めて合計10個出品しているケースとも考えられ、また、事業者側の出品ミスも考えられた。
この点、相談者の店舗側のやりとりでは、店舗側の主張が一切見えてこないので、その判断が一概には出来なかったが、ただ、サイト上のタイトルや出品数については、確かに誤解を招きやすい表現であったとはいえると思われた。
また、一般的に売買の目的物が何かを確定するのは極めて困難な場合、また、契約の重要な要素である売買の目的物を解釈によっても確定できないような場合は、その売買契約は無効になるとも考えられた。
従って、相談内容を見る限りでは、相談者の主張のうち、契約の無効を主張して返品及び代金の返還を求めるといった主張は理解ができたが、ただ、契約が無効の場合は、そもそも契約自体が無かったことになり、双方が原状回復義務を負うこと、原状回復にかかる費用は双方が負担することになるため、当該商品代金は21円でもあり、これを原状回復するための双方による新たな費用負担が、果たして合理的なのかどうかの問題もあると伝えた。
また、事業者側が一切交渉のテーブルに付かないような場合、それを強制的に解決するには裁判所による判断が必要でもあり、取引額よりそれら手段をとることに合理性が見出せるかどうかという問題もあると伝え、その点、今後も交渉を続ける意味があるのかどうかを、自ら充分考慮するよう伝えた。
商品自体は、価格にばらつきはあるものの、大体1,200〜1,800円前後で取引されているようであった。同時期に同じ商品が、他9個出品されていたのかどうかは分からなかったが、一見、21円で10個購入という考え方には無理はあるように思われる。
しかし、このような店舗のいわゆる1円出品のような場合は、店舗は往々に手数料や梱包料を含んだ全国一律料金として、送料実費を大幅に上回る料金を落札者から徴収しているため、実は店舗はあまり損をしているとも限らないのである。
この相談のケースも、商品落札額のほか、実費送料より高額となる1,260円を支払っていた。従って、相談者は、この商品を21円で購入できたとしても、その商品の個数がひとつであれば、支払総額を考慮すると実はあまり大きな得をしているわけでも無いことになる。
そのため、誤解を招くタイトルにより仮に相談者が取引の無効を主張したとしても、原状回復をするのにさらに費用がかかり、しかも店舗側が交渉のテーブルにつかない姿勢を見せているような場合は、それを押して今後も交渉する価値があるのかどうかが疑問である。
権利の主張は大いに結構なのだが、それが実務的にそぐわないケースは思いとどまるよう助言することが必要になる相談が、ネットトラブルには多い。