第六十三話: 知らせてくれれば親切だけど

 
相談事例から“今どきの消費者”

第六十三話: 知らせてくれれば親切だけど

 相 談 概 要

 プロバイダと契約をしており、基本料金は700円でクレジットカードにて決済している。今月のクレジットカードの明細で、プロバイダからの請求が3,380円となっており、驚いてサポートセンターに電話したところ、ホームページの容量超過料金であるとの回答だった。
 容量超過について申し込んだ覚えはないので確認すると、ファイルをアップロードした結果、無料の100MBを超えると自動的に課金されるとのことだった。また、ファイルをアップロードする時点で容量超過することについてアラートがでたり、通知がされることはないとの回答だった。

 調べてみると当該プロバイダでは、100MBまでは無料で、それを超えた場合5MB毎に190円を課金し、ホームページの容量は毎月1〜15日の間の任意の日に測定をして当月分として請求するということだった。
 私は容量制限とは物理的に制限されており、その容量を超えてファイルをアップロードすることが不可能だと考えていたので、この件で初めて自分のホームページが容量超過している事実を知った。また、170MBのうち、公開しているサイトのデータは3MBあまりで、その他は一時的にファイルの置き場として利用していたもので、無料でなければ利用する意図はまったくなかった。
 自身のホームページの容量は、プロバイダのユーザ専用ページで確認できるが、課金の金額は表示されない。

・制限容量を超えてデータをアップロードできることを知らなかった。
・無料の容量を超えてデータをアップロードする意思はなかった。
・制限容量を超えてファイルをアップロードする際に、事前の警告、確認はなかった。
・容量超過の課金について、クレジットカードに課金する前に通知されなかった。

 このような契約は有効なのだろうか。

 処 理 結 果

 プロバイダのサイトを確認すると、ホームページサービスとして、100MBまでは無料で、それを超えた場合5MB毎に190円を課金し、ホームページの容量は毎月1〜15日の間の任意の日に測定をして当月分として請求する旨の記載が確認できた。
 また、サイト上では、ホームページのディスクの使用量についても、各ユーザにて自ら確認できるよう促されており、そうすると、各ユーザが、自分の使用量が現在いくらなのか、それにより無料分を超過することになるのかならないのかを自ら確認する必要があると思われた。
 また、自らの使用量が分かれば、「100MBまでは無料で、それを超えた場合5MB毎に190円を課金」という記載通りに、自身の手で換算が可能と思われる。

 ユーザはこのような内容に合意の上、当該プロバイダのサービスを利用していることとなれば、プロバイダにおいて、もし無料分を超過したユーザがいた場合、アラートしてくれれば親切であるとはいえるが、アラートすることを義務として負っているわけでもなく、それは各ユーザが個々に自分の状況を把握しておく必要があるのではないかと伝えた。
 また、サーバ使用量に基づいて課金がなされるシステムとあるため、その与えられたサーバ容量を、ウェブ公開を目的として使用するのか、それとも単にファイルの置き場所として使用するかは、単にユーザの意思に任されているだけのものであり、事業者が行う超過課金に直接関係はしてこないものと思われ、したがって、今回のプロバイダの請求やその方法が即ち不当とまではいえないのではないかと伝えた。

 解 説

  例えば更新が必要な自賠責保険であっても、保険会社は契約者に更新時期を知らせるのを義務として負っているわけではない。それを忘れて保険が切れても、それを知らせなかった保険会社のせいとは一概に言えず、自分の保険内容は自ら管理する責任があるといえる。

 この例えが正しいかどうかは別だが、ただ、何かイレギュラーなことがあれば、すぐ事業者から連絡があるだろうと期待していると、必ずしもそうではないということが多々あるのである。
 ただ、日本人は、契約すればサービスは只だと思っている節もあり、いたせりつくせりのサービスをどうしても期待してしまい、良い意味で言えば事業者を信用しきっているともいえる。しかし、契約当事者として、自らの契約内容はきちんと把握し、契約者としての自覚を持つ必要も最低限は必要なのである。

 このケースも、100Mまでは無料で、その後従量制で課金されるのであれば、相談者は、100Mを超えた時に「これ以降は有料になりますよ」というアラームが出て当然、超えればその旨をメール等で知らせて当然と思っていたようである。しかし、予め説明や規約などで、そのようなアラームを出すと謳っていなければ、それはもう自分で確認するしかない。
 もちろん、プロバイダが確認手段を一切提供していないのであれば問題だが、自分の使用量を確認する手段を提供していることから、プロバイダを一方的に責めるのは酷だといえる。

 ただ、知らせてくれれば親切であり、それに越したことはない。親切という部分が顧客サービスの部分であり、親切か否かが、各事業者の差別化に繋がっていくのだろう。