第六十六話: 普通よりメリットがあれば普通よりデメリットもある

 
相談事例から“今どきの消費者”

第六十六話: 普通よりメリットがあれば普通よりデメリットもある

 相 談 概 要

 旅行代理店サイトで、2ヵ月後の成田発サンフランシスコへの往復航空券を2人分予約した。
 しかし、翌日に取消をしたところ、一人分につき手配手数料(2,100円)、取消料(30,000円)、取消手続料金(2,100円)の合計34,200円が発生した。事前に具体的な金額は確認せず予約から24時間以内の取消なので、他の会社と同様に5,000円くらいの取消料だと思い取消をしたが、その後一人分30,000円、二人分で60,000円をチャージされた。
 2ヶ月後の予約で約190,000円の航空券代からすると異常に高い取消料と思う。また、カスタマーセンターへ、ネット上での取消の際の確認プロセスを改善するように要望したが問題ないとの回答を受けた。

 ネット上での取引は、しっかりと明確な確認プロセス(取消料がいくら発生するかを明記する)が必要だと思う。最近は、燃料サーチャージが無くなり、ネットにて格安航空券を購入する方が増えている中、このような取消料の金額、確認プロセスの欠陥に対し、改善を求めたい。

 処 理 結 果 及び 解 説 

 当該サイトの海外航空券の取消に関して確認すると、その予約の流れより、予約画面に「旅行条件書」が表示され、その「旅行条件書」に具体的な取消料に関する記載があるように見受けられた。しかし、その具体的な金額等については個別に異なると思われ、予約画面まで進まないと確認が出来なかった。

 もし相談者の予約手続きの段階で、上記「旅行条件書」が表示されており、そこに取消料について具体的な記載がある場合は、他社がどうであろうと当該事業者とはその内容に合意の上取引したこととなり、取消により、その内容通りの請求がなされても特に問題はないことになるので、その点を良く確認するよう伝えた。
 取消料が高いという点は、消費者契約法に該当する余地も十分あると思われるが、早期割引チケットや格安航空券における取消料金は、大体どこも同じような金額設定になっていることが多く、その会社だけが不当に高い取消料を提示していると立証するのもまた難しい部分がある。

 また、取消料の表示方法についての改善については、こちらからサイトに直接求めることは出来ないが、旅行業に関しては業界団体の相談窓口があり当該サイトも加盟していたため、その相談窓口を紹介し提案してみてはどうかと伝えた。

 さて、特に正規料金に比べ大幅に格安なチケット購入においては、安価であるというメリットがある分、変更等が不可能だったり取消料が高額になる等のデメリットが並行して存在すると無意識にでも考えるのが、一般的ではないだろうか。単に「安いから良かった」ではなく、安い原因は何かを探るのも必要な感覚ではないかと思われる。
 もちろんメリットばかりを強調し、デメリット情報を出さない、もしくは小さく分かりづらく表示しておくのは広告として論外であるが、少なくともデメリット情報もきちんと表示されているのであれば、それを天秤に図り買うか買わないかを選択するのは消費者の判断である。後から不当と主張するだけではなく、事前の消費者としての賢い選択も必要なのである。