第六十七話: ところでその商品は何に使うの?

 
相談事例から“今どきの消費者”

第六十七話: ところでその商品は何に使うの?

 相 談 概 要

 (1)
 超小型2.4Ghz無線ピンホールカメラ&受信機セットを買ったら、電気をつけないと見えないので返品をお願いした。すると、「赤外線のものを購入して下さい」とのことだった。
 その商品は諦め、今度は広告に「暗くても鮮明に見える」という事が書いてあったので、赤外線カメラだけを買ったら、1.2Ghzだったので前の受信機では使えず、今度は「1.2Ghzの受信機を買って下さい」ということで、今度は1.2Ghzのセットを購入して接続してみた。

 しかし、何処につないでも明るい所ではなんとなく写るが夕方位の暗さになると真っ暗になって見えない。夜に写る物との交換か返金をお願いしたら、又赤外線が沢山付いてるのを購入して下さい、と返事が来た。鮮明に写ると書いてあるのに少しも見えないというのは全部不良品だと思われ、3万以上も出して何も役にたたない。

(2)
 HPをみてパワーヘルスメーターを購入した。「計る人が手に持って握るだけで健康の度合いが数値によってわかり針が触れて疲労が溜まっているとか健康とか目でみて確かめられる」という測定器だった。HPで行っていたのは、ゲルマニウムのブレスを「つける前」と「つけた後」の数値を比べている写真が載っていて、「つけた後」の写真ではブレスをつけるだけで健康数値が上がっていた。

 商品が届き同じゲルマのブレスをつけて測定してみると、上がるどころか若干下がり他の人でもほとんど数値が変わらない結果だった。また、別の人を測定してみると、今度は数値が上がりすぎ針が振り切れて測れなかった。販売元にたずねると「とても健康な方ですね」との事。しかしその人は体調が良いとはとてもいえない状態。
 販売元は針が動いているのは故障ではないので返品できないとのことだった。私は商売でゲルマ製品を取り扱っていることもあり、商売でこのメーターを使えたらと思っていたが、このようにあいまいでは扱えないので返品したい。 

 処 理 結 果 及び 解 説 

 (1)のケース、販売事業者は海外事業者であった。通信販売の場合、商品を手にとって確認できない以上、商品に対する主観の相違により契約の有効性に際し判断が難しいな場合もあるが、ただ、サイト上の説明と実際の商品の状態が全く異なり、またそれにより購入の目的が達せられないことが明らかであれば、相談者が主張するような購入目的が達せられるような別の商品への交換や、それが出来ない場合は、返品・返金の主張をすることは可能と考えられる。
 ただ、サイトがあくまで対応を拒むような場合は、海外事業者であることから、解決はおのずと難しくなるかもしれない。

 (2)のケースも同様であるが、このケースは本人より何度も販売元とメールにて交渉したところ、販売元は測定器の故障は認めなかったものの返金に応じ、入金の確認が取れたとの報告があった。

 さて、気になるのは、取引の問題というよりも、その商品の特性である。
 (1)の相談者は女性であったが、相談者は夜中でも見られる無線式のピンホールカメラを、いったい何の用途に使うつもりでいたのだろうか。実は他の質問と共に「目的が達せられないのかどうか」を判断するため用途についても質問したのだが、それに対する明確な返答はなかった。

 (2)のケースは、そのメーターを使いゲルマニウム製のブレスレットをつけると健康を示す数値が上がるという事象を期待して、しかもそれを商売で使用するとのことであった。こちらは直接相談者に訊ねたわけではないが、相談機関という商売柄、科学的根拠の極めて低いゲルマニウムなどの健康グッズを、そのメーターを利用して、さも効果があるように見せかけ販売している図が目に浮かぶ。

 どうも、このような商品の相談が寄せられると、被害者でありながら、その救済に際し複雑な心境に陥るのである。