第六十八話: それは無理

 
相談事例から“今どきの消費者”

第六十八話: それは無理

 相 談 概 要

 出会い系サイトに退会の手続きに従って退会を依頼しても全く応じてもらえず、2、3度フォームに従って退会の手続きをしてもメールの受信が止まらず、退会手続きの文面に、”退会完了の通知も御願いします。”と送信しても返信無く受信は続いているため、どうしたらメール配信をとめることが出来るのだろうか。

 「退会手続きの送信完了後、24時間程度必要です」という様な文面が表示されるのだが、とっくに24時間過ぎており、更に受信は続いている。
 消費者センターでアドレスを変更する様にアドバイスを戴いたが、アドレスの変更は個人的に不可能。固執しているとは思うが、アドレス変更の回避と滞りなく会員の登録抹消と、受信のドメインなどの設定なしでの受信回避、というより、先方からの送信を完全に停止させたい。

 処 理 結 果

 このようなポイント制の出会い系サイトの場合、一度サイトに登録すると、更なるポイント購入を目的として、故意にスムーズな退会をさせないようなサイトも残念ながら多々あるため、サイトは退会を無視してメールを送信し続け再アクセスするのを待っていること、もちろん法律云々の解釈はあるが、このようなサイトに普段使用しているアドレスを登録、または知られてしまった以上、このような受信が止まらなくなるというリスクがどうしても避けられないということを伝えた。

 従って、連絡手段に関しましては、電話以外にも、サイト所在地に書面で申し出る方法も検討可能と思われるが、ただ、このように、そもそも真っ当な退会処理自体がサイトに期待できないので、既にサイト所定の退会手続きを行っているのであれば、あとは届くメールは無視するか受信拒否、また物理的に届かなくするためには、既に助言を受けているようにアドレスの変更をするしか方法がないのではないかと伝えた。

 解 説

 出会い系サイトの場合、一旦登録すると、無料期間中にサクラによると思われるメールが多数届くようになるが、そのうちポイントを購入するよう促される。そこで退会をしようとしたり、ポイントを購入しても初期の段階で退会をしようとすると、それを阻止するために、サイトからさまざまな妨害措置がとられることになる。
 つまり、そもそも出会い系サイトのようなところに、通常の連絡手段として使用しているようなプロバイダアドレスを登録すること自体、非常にリスクが高いということである。

 ネット上で何らかの登録を行う際に、メールアドレスが必要なサイトが多数存在しているが、そのときにアドレスを知らせるべきなのかどうかを考えるとともに、特に無料を謳う懸賞サイトや出会い系など、広告メールなどが今後多数寄せられそうなサイトであれば、普段メインで使用しているアドレスではなく、いつでも削除が可能なフリーメールアドレスを別途用意し、それを使うという知恵が今や必要なのだろう。
 個人情報保護や広告メールなどの法律論を持ち出す前に、1度スパマーに捕まったアドレスに対しメールを送信しないよう求めること自体が、理不尽だが今の社会では無理というものである。

 ECネットワークの一般消費者相談においても、回答を送るために予め登録してもらうメールアドレスには、今や半数以上がフリーメールアドレスを指定してきている。こちらでは、これを非常に良い傾向だと捉えている。
 もちろんフリーメールアドレスしかもっていないというユーザもいると思われるが、アドレスは複数用意し、はじめてや一度きり利用するサイトに対しては警戒し、メインアドレスは登録しないということが既にネットマナーになっているということである。