第七十五話: 訳あって未成年

 
相談事例から“今どきの消費者”

第七十五話: 訳あって未成年

 相 談 概 要

 このSNSサイト上で、私はアバターやプロフなどで1万円以上の買い物をしている。
 本来コミュニケーションを楽しむSNSサイトである。私はサイト上で未成年で登録して利用していた。先日21時頃、突然「年齢制限によりメール出来ません」との表示があり、メールを送ることが出来なくなった。

 これで、自分の個人情報を守るため、また、いつでも変更できるのだからと思って、出会い系のメールが来ないようにするため、エロバナーを避けるため、ネットストーカーから逃れるためなどの理由で、未成年登録していた成人も全て規制されてしまう形となった。
 ケータイ会社に相談すると、機種変更すれば年齢の変更が出来ると案内しているそうである。

 しかも、プライバシーポリシーに個人情報の訂正と削除についての項目にて、
『プロフィールページを作成するために入力いただいた情報は、ユーザー自身がWEBサイト上で操作することでいつでも訂正・削除することが可能です。またそれ以外の情報の訂正や削除に関しましてもお客様ご本人からお申し出があった場合にはその合理性をすみやかに調査・確認し、可能な範囲でこれに応じます』
 とあるにも関わらず、突然、未成年登録をしていた人の年齢を変更出来ないようにされてしまったのである。

 しかし、未成年はメール出来ないとなれば、直アドを教えあってメールする可能性が高い。また、未成年は、専用のサービスを10円で購入すればメールが出来る、また、未成年は仲間に誘うとゲーム内で使うアイテムが無料でもらえる特典も無いのでお金を使わざるを得ない状態をつくっている。
 青少年保護の為と言っているが、まるっきり方向性が違うのではないかと思う。

 未成年が操作を誤って出会い系サイトに誘導されてしまい、お金を支払わされたという被害も出ており、まずは、そのような事が起きないようにする方が重要だと思うのに対策を講じているとは思えない。

 SNSサイトには、個人情報の訂正と削除の項目を守るようにという事と、未成年保護の方向性が間違っているのではないかと申し入れしてほしい。

 処 理 結 果 及び 解 説

 この相談者は40代の女性であるが、ケータイ上のアダルト広告を避けるためなどから、わざと成人ではなく未成年で登録していたものである。ケータイの通信契約の名義すら未成年で行っていた可能性もある。

 さて、当該SNSは青少年保護の観点から10月より以下のメール送信制限をかけているという。
 13歳未満は一切メールの送受信が不可能。送受信可能な年齢の範囲は13歳は13〜15歳、14歳は13〜16歳、15歳は13〜17歳、16歳は14〜18歳、17歳は15〜19歳。
 また、規制時に18歳未満で登録した人は年齢変更できず、年齢詐称を防ぐため、一度退会して再入会しようとした際にも年齢情報は変更できないとのことである。

 さて、SNSは不特定多数のユーザとコミュニケーションをとることが可能となっているため、未成年者の利用を前提とすれば、未成年者を保護するための措置がどうしても必要となっている。
 だからこそ、そもそも相談者が自ら指摘するように、当該サイトが未成年者保護のための対策を講じること自体を責める理由はないということになる。

 未成年者保護の方向性が間違っているかどうかは、これは客観的に判断する必要があるが、相談者の都合で言えば、そもそも成人であれば、SNSにもそのまま素直に成人で登録することは可能であり、そうであれば未成年者の規制を受けることはない。
 また、SNS上で成人登録出来るのにもかかわらず、「出会い系のメールが来ないようにするため、エロバナーを避けるため、ネットストーカーから逃れるため」に未成年で登録することを少なくともサイトは推奨しているのでもなく、従って、相談者のような成人が、自らの判断で未成年で登録を行っていたと考えれば、それによりサイトが未成年者を保護するための措置を講じたことにより不利益を被ったとしても、それはサイト側の問題ではないということになる。

 この相談者は、自分がサービスにおいて不利益を被ったのを、未成年者による社会問題を例に出してサイトに八つ当たりしているようにも見えるが、ただ、この相談者は、事情はともかく、年齢変更がいつでもできると思って未成年登録していたとのことであり、突然、今後は変更がきかないと聞かされているとのことでもある。

 突然、未成年登録者が年齢変更出来なくなったということであれば、ケータイ会社が言うように機種変更、若しくは個人情報の削除を申し出て、新たに登録し直すことになる。ただ、その場合、既に所持していたアバターやプロフは放棄せざるを得ないため、どの手段を選択しても相談者には何らかの負担がかかることになり、そうであれば、相談者のように、諸般の事情により不利益を被るユーザが出てくることも考えて、ある程度は事前の告知が必要であったのかもしれない。
 たくさんのユーザがいれば、それぞれ思惑があるのである。女性がエロバナーは見たくないという気持ちは良く分かるのである。