第七十八話: 大量取引のリスク

 
相談事例から“今どきの消費者”

第七十八話: 大量取引のリスク

 相 談 概 要

(1)
 単価150円の雨ガッパをイベント対応のため300個購入したが、想像していたものよりも薄く、いくら使い捨てといっても最初から機能しないような商品であるため返品の旨を申し出たところ、購入者の事情による返品となるため、サイト内の「お買い物ガイド」に記載のあるとおり代金の10%のキャンセル料と送料の負担を求められた。
 この場合負担しなければならないのか。送料の負担は当然のことと思うが、10%のキャンセル料は納得できない。

(2)
 オークションにて出品されていた同人誌本のセット200冊など19点、更に出品予定だったという本のセット11点、計6,100冊、金額にして1,200,002円の品を取引した。
 実際に届いた品を開封したところ、オークションタイトル、説明、及び画像から推察される内容とは全く違い、それらから連想される品は実際の1割程度で、残り9割、大よそ5,000冊以上は、薄っぺらい紙8ページの、全く同じ内容の同一の本だった。
 この5,000冊の大量の屑のような本は、素人が見ても全く価値がないと合理的に判断出来る粗悪品で、詐欺に当たるものと考えている。

 処 理 結 果 及び 解 説

  ネット通販は便利で安価で商品が購入できるメリットがあるが、やはり非対面で商品を直接手にとって確認できない以上、ある程度の取引リスクを伴う。そのために通販事業者には返品特約の表示義務が設けられているのだが、もちろん注文者においても、最初から返品を目的として取引しているわけではなく、広告やイメージにぴったりな商品が届くことを期待して取引をしている。

 ただ、残念ながら通販である以上、やはりイメージ違いは避けられないのだが、初めての商品とお店において、同じ商品を一度に大量に取引するのであれば、せめて注文者側においても注意深く、先ずは1つ、若しくは小ロットで注文して商品を確認の上で、改めて注文を行うというひと手間があれば、無用なトラブルを避けることが出来るかもしれない。

 また、欲しい商品を1度で大量に取引したいという気持ちも分かるが、初めての取引相手と1度に多額の取引を行うと、被害に遭った時の被害額や衝撃もおのずと大きくなる。
 もちろん、1度取引が成功したからといって、その後、その相手が信用できるとは限らず、先ずは小ロットで取引して信用させてから、大きな被害に遭遇するケースもたくさんある。
 最終的にはどの段階で相手を信用するのかにかかってくるのだが、大量・高額取引であれば、先ずは半額入金などの事前交渉も必要かと思う。