(1)
22歳の息子がオークションで、ゲームをお金もないのに落札してしまい困っている。相手から今日36万円を払ってくださいときたが、払うお金が私どもにもないので、どうしたらいいだろうか。
(2)
携帯にサイト使用料の未納があるとのメールが入り信用し、198,000円を宅急便(品名 書籍)で送り、更に、他のサイト調査費用の請求で返却するといわれ215万円、家の差し押さえの訴訟が起きている、今財産を預かるといわれ1280万円を宅急便で送った。自分はサイトを利用したことがなく息子がしたものと思い込んでいたが、息子には確認していない。
1回のメールであとは桐生と名乗る男と話をしていて信じ込んでしまった。警察には届けた。
(3)
子供(小2)が、ゲーム上の有料の仮想通貨を24,770円分、複数回に分けて購入していた。来月にも携帯電話会社から請求が来る予定。契約者は母親の名前で、私自身もそのゲームを利用しており、サイトを利用して半年程だが、私は今までまったく有料サービスは利用していない。
従って、私自身は仮想通貨を購入したことが無いのだが、購入の際、利用規約に同意する、をクリックすると、簡単に購入できるようである。こんなに簡単に誰でも有料サービスにスムーズに入れる事に困惑している。支払い停止等してもらうことは難しいだろうか。
相談は当事者本人からを原則としているが、親からの相談もよせられる。内容は、未成年者の場合は掲示板などの誹謗中傷や取引トラブル、取引は、最近はやはりゲーム関連などのサービスの割合が多いように思われる。
(1)のケースは、当事者である息子の取引の詳細が相談では分からなかったのだが、ただ、当事者が成年していれば、一旦契約が成立すれば、契約当事者としてそれを履行する義務が発生するというのは致し方ない。
ただ、現時点でまだオークション落札直後で商品のやり取りや代金の受け渡しをする前の段階であれば、相手方には今回のオークション取引のキャンセルをお願いし、検討してもらうという方法が考えられる。(オークション上では出品者しかキャンセル手続きが出来ないため)
そして、当該オークションでは、通常、落札されると出品者側に落札手数料が発生し、手数料は通常の取引では落札額の5%程度のため、取引額が高額となると、出品者側が支払う手数料もそれに伴い高額になる可能性があること、出品者による手数料が発生しないキャンセル手続きには期限があることなども説明した。
そもそも当事者でないとオークションのルール自体も全く分からない可能性があるため、間接相談では、いろいろな可能性についても予想し回答をしなければならない。
(2)のケースは、被害額が高額であるが、聞かされた現金送付先住所(東京都新宿区にある住所)は、警察庁が公開する振り込め詐欺現金送付先に指定されていた。
架電のあった電話番号等の情報で追跡は可能としても、恐らく架空名義の可能性もあるが、どちらにしても個人で動くには限界のある話のため、警察の協力が無いと調査等は困難かと思われた。
息子と日ごろからコミュニケーションがとれていれば、このような被害には遭遇しなかったことだろう。
当事者が未成年者の場合、親権者の承諾なくして行った契約は要件を満たせば取消が可能な場合もある。
特にケータイサイトの場合、支払いにキャリア課金(ケータイ料金と一緒に支払う方法)が利用できるため、特に無料と謳われたゲームでは子どもが使いこむトラブルが多く発生した。そのため、多くのゲームサイト、若しくはキャリア側においては、現在、未成年者が利用できる1ヶ月の利用上限額が低めに設けられている。
ただ、(3)のように、親がケータイやゲームの契約者となり、それを子どもに利用させていたようなケースでは、未だ同様のトラブルが発生する。
こうなると、背景に親が利用していた可能性も否定できず、モラルハザードを引き起こさないためにも充分な聞き取りが必要になるかもしれない。そして、取り消しできたとしても、それと引換にサイトからはゲーム退会を求められる可能性もある。
なお、「第九十七話:ソーシャルアプリゲームにて」でも触れたように、今回改訂された「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」においては、未成年者が利用したコンテンツの契約を取り消すことが出来るかどうか、その解説がなされている。