ネットで国際航空券を、85,000円で購入した。
その後、出発の2週間前にキャンセルしようとしたら、「航空券の80%を支払って下さい」とのことだった。「契約約款があったでしょう」というのが業者の主張である。確かに後で見たら、契約約款へのリンクが貼ってあった。
しかし、リンクというのは、必ずしも見るとは言いきれないので、契約約款を100%提示したとは、言い切れないと思う。もしこれが許されるとしたら1億ページ先のリンクに契約約款を提示してもOKということにならないのだろうか。
リンクはインターネットの接続環境があって初めて繋がるものだから、契約約款の表示をリンクにするというのは、いかがなものなのだろうか。
チケット予約に際しては、「必ず旅行条件書をお読み下さい」との注意書きがあり、また「旅行条件書」には、目立つようにキャンセルコストが明確に記載されている。
従って、表示上問題があるとはいえず、その他も当該HPにも問題のあるような点は見られなかった。
また出発の2週間前に航空券の予約をキャンセルした場合の違約金が80%というのも、時期に鑑みれば必ずしも社会常識にてらして著しく高額ともいえず、このケースでは、業者側の言い分に従うほかないかと思料する。
たしかに指摘のように、容易にたどりつけないような多数のページ先にリンクして契約約款を提示していれば問題といえるが、本件では、ワンクリックですぐに契約約款が表示され、契約約款を必ず読むようにとの注意書きも色を変えて、注意を喚起すべく掲載されているので、「約款を読まなかった」という反論は通らないと考えることでやむを得ないと思料する。
改めて事業者のサイトを確認すると、当該サイトにはトップページを含め、どのページからも契約約款へのリンクされており、また申込みフォーム画面上にも約款のウィンドウがあり、スクロールで中を確認し、同意チェックボタンが設置されていることが確認できた。従って、申込み時の契約条件に利用規約の内容が組み込まれている状態と見受けられた。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」では利用規約の有効性について、『サイト上利用規約が契約条件に組み込まれると認められる場合』として、「ウェブサイトで取引を行う際に必ずサイト利用規約が明瞭に表示され、且つ取引実行の条件としてサイト利用規約への同意クリックが必要とされている場合」とされている。
また、逆に『契約条件として組み込まれないであろう場合』として、「ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで、ウェブサイトの利用につきサイト利用規約への同意クリックも要求されていない場合」とされている。
また、準則上では、さらに規約の有効性において、それら規約の内容につき、消費者契約法等による内容規制が定められており、消費者に対する過大な損害賠償額の予定の無効や、その他消費者の利益を一方的に害する条項の無効があげられている。
(消費者契約法については、法律解釈:11 参照)
従って、今回の事業者からのキャンセル料の請求は止むを得ないと考えられたのであった。