<事例>
あるマーケットプレイス上で販売されていた中古の書籍を購入したところ、そこから個人情報が漏れたらしく、その書籍の出版社から広告メールが届くようになりました。
私は、個人情報が漏れた原因を、マーケットプレイスサイト→中古販売業者→出版社→メール送信業者 と推測していますが、個人情報がこのように漏れていく流れをどうしたら止められるのでしょうか。
・・・・
2008年12月より、事業者から送られる広告メールは基本的にはユーザの承諾がなければ送信できないことになっているので、届いている広告メールが、もし相談者が広告メール配信の承諾をした覚えがないところから送られてきているものであれば、それは“違法”な広告メールとなり、販売業者はもちろん、広告メール送信を受諾している電子メール広告受託事業者においても、同様に罰則規定があります。
もちろん配信停止を求めることが可能であり、また仮に承諾したものであったとしても、今後の受信を拒否すると通知することにより広告メールが送られてこないように出来ます。
参照:その19: 特定商取引法(7) 広告メールとオプトイン規制
一方、個人情報に関しては、先ず、個人情報保護法上においては、個人情報取扱事業者において、取得した個人情報の利用目的を予め提示し、その利用目的においては出来るだけ特定する必要があるとされています。
ただ、どのような利用目的にするのかに関しては、個人情報保護法上は特に規制は無いため、例えば、相談者が過去に取引したサイトの個人情報の取扱いやプライバシーポリシーの記載内容において「取得した個人情報は他の何某という関連事業者にも引き渡す」などの記載があった場合は、道義上はともかくそれでも有効で、その場合は他事業者に相談者の個人情報が引き渡されていたとしても、ざっくり言えば問題はないことになります。
もちろん、その事業者の予め提示する利用目的外で利用されている場合、また、個人情報が不正に取得されて利用されている場合は、その利用停止を求めることが可能とされています。その点の確認が必要になってきますが、ただ、ネットの場合、既にサイトが見られなくなっていることも多く、その後追いが限界となることが多々あります。
従って、送信先が相談者に対し送ってきている広告メールに関しては、いずれにせよその配信停止を申し出ることが可能ですが、しかし一方、送信先が取得している個人情報に関しては、この相談内容を見る限りでは、それが不正に取得・利用されているものと一概に判断することはなかなか難しいかもしれません。
逆に不正に取得・利用されているものでなければ、事業者は消費者からの個人情報の削除や利用停止に応じる義務は無いことにもなりますが、ただ、消費者から利用停止等の要請があった場合は、できるだけそれに応じるのが事業者としての適切な対処であるとはいえます。メールを送信するなとはすぐにいえますが、保持している個人情報の削除まではすぐに求められないということです。
そこで理論上は、メール配信の停止とともに、登録されている個人情報の削除の依頼も併せて連絡することになりますが、ただ、もともとこの広告メールが、今や違法となっているオプトアウト方式で送信されている可能性も否定できないため、そのような事業者に対し送信停止を申し出ること自体、従来どおり避けたほうが賢明という考え方があります。
また、万一、個人情報取扱事業者において個人情報などの情報流出事故が発生したとしても、それにおける損害賠償等についての規定は個人情報保護法上はないので、もし、個人情報が漏れて、それで相談者が何らかの被害にあっているのであれば、別途、慰謝料や損倍賠償請求が検討出来るかどうか、その可否などを改めて検討することになります。