通信販売は対面販売と異なり、顧客と直接話をするという機会がほとんどありません。ネット通販となればなおさら、ある意味、機械的な対応で全ての取引が済みます。
ただ、それは現在社会においてはメリットとなりうる点も多く、最近は消費者の質や意識も多様化してきています。消費者の中には買い物に時間をとられることを嫌う人や、店員とのコミュニーションが煩わしいと思う人もいます。その点、ネット通販は店員の目を気にせず複数の店を回りショッピングを楽しむことが出来ます。
ネット通販においての顧客対応には、そのほとんどをメールで行っているものと思います。メールは電話と違って片面的なデジタルのコミュニケーションツールですので、時間を気にせず伝えたいことを何度もチェックすることが可能な上、相手に一方的に伝えることが出来ますし、同じ文章を無限に再利用することが出来ます。さらに電話や手紙のような料金の心配がほとんどいりません。
しかし、手軽な分、メールでのコミュニケーションは難しいところもあります。電話であれば相手の口調や声の印象にあわせて、その相手に合わせた個別の対応が出来ますが、メールでは、その受取人がどのような性格を持ち合わせているのかが分からないので、同じ表現を用いても、それを好意的に受取る人もいれば、憤慨する人もいるかもしれません。
砕けた表現を用いた文章に親近感を覚える人もいれば失礼と受取る人もいます。逆に丁寧な文面を慇懃無礼で冷たいと思う人もいます。年齢や性別でも大きく異なりますので、全ての人を満足させるような表現方法はもともと存在しないと考えたほうが楽です。
また、顧客対応をメールでするにおいても、個別対応をしなければならないケースと、複数を同時に機械的に対応しなければならないケースがあります。大体の客は機械的な対応を嫌いますが、だからといって必要以上に長い、重い内容のメールを受け取ることもあまり好みません。
メールといったデジタルなツールを利用しているのに、あまりに“アナログ”な内容には違和感を覚えるからです。重要な内容をメールで送られてくることもあまり馴染まないものと思います。
したがって、メールでの対応は、その片面的でデジタルな手段であることを最大限に利用することで効果が出ると思います。当たり前ですが、メールにそぐわないものは電話や手紙で対応するというような、使い分けが必要であるということを改めて認識する必要があるかと思います。
さらに注意するべき点はメールは一人歩きが可能であるということです。第三者への転送やコピー、改ざん、掲示板への貼り付け等がされることを、認識した上で文章の作成を心掛ける必要があると思います。
次回以降は、実際にメール対応でトラブルとなった事例を挙げて、その内容を検討したいと思います。